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「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」は得なのか

青函トンネルを北海道新幹線の列車が通過するようになったのと引き換えに、在来線の定期旅客列車は全廃となったので、津軽海峡線を18きっぷで乗車するのは不可能になってしまった。そこで、救済策として新規に登場したのが「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」であるが、うまく使えるのだろうか?

野田 隆

執筆者:野田 隆

鉄道ガイド

「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」とは?

木古内駅

北海道新幹線の木古内駅


青函トンネルを北海道新幹線の列車が通過するようになったのと引き換えに、在来線の定期旅客列車は全廃となったので、津軽海峡線を青春18きっぷで乗車するのは不可能になってしまった。そこで、救済策として新規に登場したのが「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」である。

このオプション券は、青春18きっぷを携行していることを条件に利用できる。オプション券の料金は2300円で、北海道新幹線の奥津軽いまべつ駅と木古内駅の間と木古内~五稜郭の道南いさりび鉄道の普通列車を、それぞれ片道1回に限って乗車できる。
道南いさりび鉄道

木古内~函館は、道南いさりび鉄道の列車を利用する


上記の区間以外の乗車は認められず、また道南いさりび鉄道は、木古内駅と五稜郭駅に限って乗降が可能で、それ以外の途中駅で下車することはできない。

オプション券を使った行程

奥津軽いまべつ駅

本州側で乗り換えをする奥津軽いまべつ駅


こうした条件のもとで、「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」を使った行程を検討してみると、奥津軽いまべつ駅に停車する列車が少ないこと、この駅に隣接している津軽線の津軽二股駅の列車ダイヤ、道南いさりび鉄道のダイヤともに列車本数が少ない上に接続が悪いため、乗り換え時間のロスが多くて使いづらいものとなっている。
ディーゼルカー

津軽線の蟹田~津軽二股駅間で利用するディーゼルカー


在来線(JR津軽線)と北海道新幹線、道南いさりび鉄道を組み合わせた青森~函館の移動を考えてみる。青森駅発の場合、函館まで直通できる行程は4通りしかなく、最短でも5時間弱、最長で7時間近くもかかる。
「北海道新幹線オプション券」を使った青森発、函館着の行程表(画像クリックで拡大表示)

「北海道新幹線オプション券」を使った青森発、函館着の行程表(画像クリックで拡大表示)


一方、函館駅発の場合は、直通できる行程はわずか2通り。函館駅を午後に出る列車だと、乗り換え時間が20分程で、青森まで4時間を切る。朝早く函館駅を出る場合は、接続が悪く、青森駅まで7時間以上かかるので、事実上選択肢は、函館駅を午後に出発する列車の一択しかない。
函館発、青森着の行程表。函館を朝早くに出発する場合だとかなり時間がかかることが分かる。(画像クリックで拡大表示)

函館発、青森着の行程表。函館を朝早くに出発する場合だとかなり時間がかかることが分かる。(画像クリックで拡大表示)


そうであれば、新青森駅から新函館北斗駅まで新幹線の特定特急料金で移動することを考えてみると、所要時間は1時間1分~6分と速いけれど、運賃=2810円、特定特急料金=3930円だから合計=6740円となって、青春18きっぷ愛好者には重い負担となりそうだ。

結局、「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」は、行程が限られてしまうけれど、上手く使えば、新幹線にも乗れるので変化に富んだ鉄道旅行が楽しめるだろう。奥津軽いまべつ駅に隣接した津軽二股駅と木古内駅には道の駅があり、とくに木古内駅前の「道の駅みそぎの郷きこない」はレストランやショップがあるので、待ち時間を過ごすには適している。


青函フェリーもおすすめ!

函館山

函館のシンボル函館山は港からよく見える


津軽海峡横断を安くあげるには、鉄道にこだわらず、青函フェリーを利用することも考えたい。運賃=1600円(6~9月は2000円、往復割引、学生割引あり)だから、特に学生には有利だ。
函館港

函館山から眺めた函館港


所要時間は、3時間50分~4時間だから、乗り換えなしを考えるとオプション券利用よりも楽だ。青森と函館の港までのアクセスであるが、青森側は、青函フェリーdeお気軽タクシー(青森駅西口~フェリーターミナル=10分、760円、要予約=青森タクシー 電話017-738-6000)を使うのがおすすめだ。とくに3人ほどで移動するならバスよりもお得となる。函館側は、JR函館駅と函館ターミナルを結ぶ路線バスがあり、所要時間11分、大人200円で済む。

さらに詳細な情報は、青函フェリー公式サイト を参照するとよい。

津軽海峡横断は、北海道新幹線開業によって様変わりした。青春18きっぷでは新幹線には乗れなかったのだが、「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」の登場によって、ごく一部とはいえ利用可能になった。行程には、かなり制約があるので、スムーズな移動とは言い難いけれど、知恵を絞れば観光や滞在にも活かせるであろう。青函フェリーの利用も選択肢のひとつなので、じっくり考えて思い出に残る旅ができればと思う。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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