携帯・スマホのキャリア比較はデータ定額サービスがポイント
NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの携帯大手3社の料金プランは、かつてはどの会社も横並びで、あまり大きな違いは見られませんでした。ですがここ最近、ワイモバイルやMVNOなどの低価格なモバイル通信サービスの人気が高まったことで競争環境が大きく変化しています。そうした影響を強く受け、各キャリアの料金プラン改変が相次いでおり、3社それぞれ料金プランに違いが出てきているようです。では実際のところ、3社の料金プランにはどのような特徴があるのでしょうか。一般的なスマートフォンを利用する際に用いる、各キャリアの主力の料金プランを基準として説明しましょう。なおここで紹介する料金プランは、いずれもいわゆる“2年縛り”の割引を適用し、それ以外の割引やキャンペーンは適用しない場合の料金となりますので、あらかじめご了承下さい。
まずは、大手キャリアの料金プランの基本的な仕組みを確認しておきましょう。3キャリア共に料金プランを構成しているのは、大きく分けて、音声通話をするのに必要な「基本プラン」と、インターネットに接続するための「インターネット接続サービス」、そしてデータ通信をするのに必要な「データ定額サービス」の3つになります。
このうちインターネット接続サービスは、3キャリアとも300円で共通しています。また基本プランに関しても、3キャリア共に音声通話が定額のプラン(2700円)、5分間だけ通話定額の定額プラン(1700円)を用意しています。ソフトバンク以外の2キャリアは、通話が少ない人向けの従量制のプラン(980円)も用意しているという違いがありますが、仕組み的に大きな違いはないといえます。
それゆえ3キャリアの料金プランで最も大きく違ってくるのは、最後のデータ定額サービスの部分です。ここで3社がそれぞれ特徴を打ち出している訳です。ここから、データ定額サービスを中心とした各社の料金プランの特徴について解説していきましょう。
NTTドコモは家族で利用するとお得に
NTTドコモの料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」の特徴は、一言で表すならば「家族で契約するとお得」ということです。カケホーダイ&パケあえるのデータ定額サービスは、個人で契約する「データパック」と、家族向けの「シェアパック」の2種類が用意されているのですが、後者を利用した方がお得になるよう設計されています。 シェアパックは、家族の代表となる親回線が家族全員のデータ通信量まとめて支払い、その通信量を家族内でシェアして利用するというもの。それ以外の子回線は1回線当たり月額500円の「シェアオプション月額定額料」を支払うだけでよく、基本プランに5分間定額の「カケホーダイライトプラン」(月額1700円)を選んだ場合、子回線の月額料金はインターネット接続サービス「spモード」の料金との合計で、2500円で済んでしまう訳です。家族内で通信量をシェアすることにより、個々でデータ定額サービスを契約するよりも無駄な通信量が発生しにくいほか、子供のデータ定額料金を、親がまとめて支払えるなどのメリットも生まれます。またデータパックとシェアパックの料金を比べてみると、シェアパックで契約した方が安くなることが分かります。
例えば3人家族で、通信量が15GBの「シェアパック15」(月額12500円)を契約し、1人当たり5GBを均等に使用した場合。2人分のシェアオプション月額定額料(月額500円×2)を合わせて13500円、1人当たりのデータ通信料は4500円となります。一方、5GBの「データMパック」(月額5000円)を1人ずつ契約すると、月額15000円かかる計算となることから、シェアパックの方がお得であることが理解できるでしょう。
またデータパックの場合、通信量が2GBと最も小さく安価な「データSパック」(月額3500円)は、余った通信量を翌月に繰り越すことができませんが、シェアパックであれば通信量が最も小さい「シェアパック5」(月額6500円)であっても繰り越すことができます。さらに家族内通話のみ定額となる料金プラン「シンプルプラン」(月額980円)を使いたい場合、データパックでは通信容量が20GBの「ウルトラデータLパック」以上を選ぶ必要がありますが、シェアパックであれば通信量、親・子回線の違いを問うことなく、シンプルプランの利用が可能です。
NTTドコモの料金プランの特徴としてもう1つ、「docomo with」の存在も忘れてはいけません。これはNTTドコモが指定するスマートフォンを購入すると、それ以降の携帯電話料金が1500円値引きされるというものです。
端末を買い替えない、あるいはdocomo with対象端末に買い替え続けるという条件が付きますが、仮に子回線でシンプルプランを選んだ場合、docomo withが適用されると永遠に月額280円(980+300+500-1500円)で利用できてしまう計算となります。ただし対象端末に人気のiPhoneなどは含まれていないので、端末の種類にあまりこだわらないが、毎月の通信料は一層抑えたいという人に適したサービスと言えるでしょう。
auは段階制で無駄のない料金プランが特徴
auはNTTドコモと異なり、基本的に個々の契約者が自分の使い方に応じた通信容量のデータ定額サービスを選ぶ仕組みで、不足した容量を家族などにプレゼントすることも可能です。そしてauの主力の料金プランの特徴を一言で表すと「無駄がない」ということになるでしょう。 現在auが主力と位置付けている料金プランは、「auピタットプラン」「auフラットプラン」の2つですが、最も特徴的なのはauピタットプランです。というのも、このプランはその月に使用した通信量に応じて料金が変化する、段階制を採用しているのです。5分間通話定額の「スーパーカケホ」(月額1700円)と組み合わせた料金を例に挙げますと、月に1GBまで使った場合は月額3480円、2GBまでの場合は4480円、3GBまでの場合は5480円と変化していきます。最大20GBまでの利用が可能で、その時の料金は7480円。使い過ぎるとあまりお得にならないことから、あまりデータ通信をしない人や、毎月通信量が大きく変動する人がお得になりやすいプランといえます。
一方のauフラットプランは、大容量通信を積極的に利用する人向けのプランです。通信量が20GBの「auピタットプラン20」と、30GBの「auフラットプラン30」が用意されており、スーパーカケホと組み合わせた場合はそれぞれ月額6500円、8500円で利用でき、余った通信量は翌月に繰り越されます。auピタットプランで3GBから5GBまで利用した時の料金が6480円となることから、毎月必ず3GB以上通信しているならば、20円プラスしてより大容量通信ができる、auピタットプラン20を選んだ方がお得といえるかもしれません。
ただしauの料金プランを選ぶ上で注意しなければならないのは、従来のようなスマートフォンの値引きが利かないということです。auピタットプラン、auフラットプランはいずれも、スマートフォンの値引きをしない代わりに通信料をよりお得にする仕組みとなっているため、スマートフォンは値引きなしで購入する必要があるのです。
ただ、それではiPhoneなどの高額なスマートフォンが買いづらくなってしまうので、auでは「アップグレードプログラムEX」を提供していることも覚えておくといいでしょう。これはスマートフォンを48回払いで購入し、月額390円を支払い続ける代わりに、24ヶ月間支払った後に新機種に機種変更し、古い端末を返却すると、25ヶ月目以降の残債支払いが不要になるというもの。アップグレードプログラムEXを契約し続け、なおかつ古い端末が手元に残らないというデメリットはありますが、頻繁にスマートフォンを買い替える人にとってはメリットがあるサービスといえるでしょう。
ソフトバンクは50GBのプランを用意、ヘビーユーザー重視
ソフトバンクの主力の料金プラン「スマ放題」の特徴は、やはり一言で表すならば「大容量重視」となるでしょう。スマ放題にはNTTドコモと同様、家族間で通信量をシェアする「データシェアプラス」も用意されていますが、ソフトバンクが最も力を入れているのはau同様、契約者が個別にデータ定額サービスを選ぶ「データ定額プラン」の方です。ただしauピタットプランのような段階制のサービスはなく、5つの「データ定額プラン」の中から自分に適した容量のものを選ぶ、スタンダードな仕組みとなっています。
データ定額プランには、通信量が1GBの「データ定額ミニ」(月額2900円)から、通信量が50GBの「ウルトラギガモンスター データ定額 50GB」(月額7000円)までの5つを用意。あまり通信しない人から、大容量通信する人まで広くカバーしていますが、ソフトバンクが力を入れているのは大容量の「ギガモンスター」です。
ギガモンスターには、ウルトラギガモンスター データ定額 50GBと「ギガモンスター データ定額 20GB」(月額6000円)の2種類が用意されています。前者を契約した場合、5分間通話定額の「スマ放題ライト」(通話定額ライト基本料、月額1700円)とウェブ使用料(月額300円)との合計で、月額9000円支払えば毎月50GBという、ひと昔前では考えられない程の通信量が利用可能となります。外でも動画を頻繁に視聴するなど、毎月ヘビーにスマートフォンを使っているならぜひ利用したいプランといえます。 一方で、通信量が少ないデータ定額プランにはいくつかの制限が設けられていることに注意が必要です。データ定額ミニを選んだ場合は毎月の端末代を値引く「月月割」が受けられなくなりますし、通信量が2GBの「データ定額ミニ 2GB」(月額3500円)は、通話定額の「スマ放題」(通話定額基本料、月額2700円)を選んだ時しか選択できません。また両プランとも、余ったデータの繰り越しには対応していません。
またスマ放題には、NTTドコモの「シンプルプラン」やauの「シンプル」に相当する、家族間以外の音声通話が従量制ながら、料金が月額980円と安価な基本プランが存在しません。基本料の安さを重視するなら、以前の料金プランであるホワイトプラン(月額934円)を選ぶという手もありますが、選択できるデータ定額サービスが月額7GBまでの「パケットし放題フラット for 4G」「パケットし放題フラット for 4G LTE」(月額5700円など)しか選べず、選択の余地が少ないという弱点があります。安価な料金で利用したいなら、同じソフトバンクが運営しているワイモバイルに移行するのも1つの手かもしれません。
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