キッコーマンの株主優待は本当にお得なのか?

キッコーマンはしょうゆの老舗企業で、保守的な内需企業というイメージもあるかもしれまえんが、海外では革新的なグローバル企業として一目置かれる存在です

キッコーマンはしょうゆの老舗企業で、保守的な内需企業というイメージもあるかもしれまえんが、海外では革新的なグローバル企業として一目置かれる存在です

キッコーマンの設立は1917年。創業100周年を迎えた老舗企業です。主力製品がしょうゆの老舗企業というところから、保守的な内需企業というイメージもあるかもしれませんが、海外では革新的なグローバル企業として一目置かれる存在です。

売上の5割、営業利益の7割を海外で稼ぎ、国内で30%、海外では55%の売上シェアを誇ります。特に米国やドイツ、フランスといった主要国で需要が多く、業績を牽引。国内では価格競争に巻き込まれにくく、高採算の高付加価値製品を強化しながら生産性を改善しています。

海外での拡販や、高付加価値製品の生産強化など成長カテゴリーに対しては投資を惜しまず、工場の生産能力を増強。マーケティング費用も掛けています。ただ、同時に原価低減やコスト削減にも取り組んでおり、こうした先行費用を吸収しています。

海外でのしょうゆ需要拡大、国内での「いつでも新鮮シリーズ」や豆乳飲料を牽引役とした好調な業績と、為替による業績押し上げ効果が見込まれます。焦って買う必要はありませんが、円安が追い風となる国際的な優良企業としてマークしておいていきたい企業です。

今回はそんな同社の株主優待が魅力的なのかを検証していきたいと思います。

【銘柄名】キッコーマン
【市場:コード】東証1部<2801>
【予想配当+予想優待額面利回り】:1.2%
【2017年10月30日株価】3860円
【株主優待獲得最低投資額】 100株=38万6000円
【今期予想現金配当(1株あたり)】 35円
【株主優待権利確定月】 3月末
【優待内容】自社製品
100株以上……1年以上:1,000円相当の自社グループ商品
1000株以上……
1年以上:3,000円相当の自社グループ商品
3年以上:5,000円相当の自社グループ商品等
※詳しくは同社のHPをご覧ください。
※今回は100株を購入したケースを想定しています。株主優待は1000円で評価し、利回り計算を行っています。


グローバル規模で収益基盤を持つしょうゆの老舗企業

キッコーマンは、国内外でしょうゆを核に事業展開するキッコーマングループの持株会社です。しょうゆ市場においては国内で30%、海外で55%シェアを誇る大手調味料メーカーで、グローバル規模で強固な収益基盤をもっています。また主力のしょうゆのほか、デルモンテ、紀文、Manns Wineブランドを所有し、トマトジュース、豆乳、ワインなどの幅広い製品を取り扱っています。

1957年の米国法人設立、1965年の現地工場建設を皮切りに、現在、100カ国以上でしょうゆを中心とする同社製品が販売されています。早くから海外に成長機会を見出した同社は今や売上高の5割以上、営業利益の7割以上を海外で稼ぐというグローバル企業となりました。海外売上比率は、57%で、この内75%が北米での売上で、海外事業の営業利益のうち7割が北米で稼いでいるということになります。

イチかバチかの大勝負!海外での工場設立が今の姿に繋がった

営業利益の7割を稼ぐ海外では、米国やフランス、ドイツなどの主要市場で高い市場ポジションを確立しており、シェアは55%を誇ります。キッコーマンブランドとして認められ、品質面で優位性を維持していると、販売手数料の負担が軽くなりやすく、こうしたことを要因として20%という高い営業利益率を実現していると考えられます。

海外事業は国内と違って、しょうゆ製品の普及率拡大の段階にあることから成長機会が多く、伸びしろが非常に大きい市場です。世界的な健康志向の高まりや世界無形遺産に登録された事などを背景とした日本食の人気化も好機となっているとは思います。ですが、同社が世界的ポジションを築くことができたのは、こういったトレンド的な理由ではないことは重要なポイントだと思います。

同社が本格的に海外進出を決めて米国に法人を設立したのは1957年ですが、同社のしょうゆが海外に渡ったのはもっと古い戦前でした。同社は第二次世界大戦前からすでに海外に住む日本人に向けてしょうゆを輸出していました。(※その間、現地でも徐々に浸透していたようで、米国では、しょうゆ(Soy Source)を「Kikkoman」と呼ぶこともあるそうです。米国でしょうゆの代名詞となるほど、浸透している、ということです。また、戦前から米国では「Kikkoman」として売り出し、日本では「野田醤油」で展開していました。すると米国人から「日本には野田醤油というメーカーがあるそうだね」との質問。これを機に社名を「キッコーマン」に統一したと言います。)

とはいえ、当時、原料の大豆小麦を米国から輸入して日本で醤油にしてからまた米国に輸出するという輸送コストがかかって採算が悪く利益が取れなかったといいます。

一方、国内しょうゆ市場は、戦後の復興が一巡するまでは販売は伸びる一方でしたが、各家庭に行き渡った後は世帯数の増加以上に成長が見込まれない市場となりました。つまり国内市場は頭打ちでした。

不採算の海外展開をやめたとしても国内市場は飽和状態。悩ましい状況ですが、米国での試食デモンストレーションで味付けにしょうゆを使ったステーキを出したところヒットし、「しょうゆは世界で成功する!」という確信を得たと言います。

1965年には米国生産工場の建設に着手しました。この時の資本金36億円に対し、工場建設費は40億円という巨額の大規模投資となりました。イチかバチかの大勝負といったところですよね。結果的に海外事業は現在、利益率20%という好採算事業となっています。

成長の機会が海外にしかない事を受け止め、現地の料理に合わせることができる万能「調味料」として、普及させることに注力したことが成功に繋がったということです。

高付加価値品の展開で採算性を改善

また、同社は高付加価値製品の展開に成功しています。同社はしょうゆで国内トップのポジションを確立しているとはいえ、国内しょうゆ市場は競争が激しいのが現実。それはしょうゆが長い歴史を持つ日本国民にとっての生活必需品であり、コモディティ化しているから仕方がありません。そのため、原材料市況や為替変動など外部環境によって、利益が変動しやすい性質を持ちます。

一方、高付加価値化されたものは、外部環境の影響に強く価格競争に巻き込まれにくい性質を持ちます。これはしょうゆに限らず、化学品などの他の業界全般に言えることです。高付加価値製品の売上構成比が高まればそれだけ、収益の安定性が高まり、販売が伸びることで利益率が改善します。同社では、「いつでも新鮮シリーズ」や豆乳などが好採算商品として製品構成の改善に寄与していると見られます。

国内外ともに業績は好調

国内では「いつでも新鮮」シリーズを牽引役に、主力のしょうゆが好調だったほか、健康志向を背景に豆乳飲料や野菜ジュースも伸長しました。ヒット商品となった密閉ボトルの「生しょうゆ」は好調が続いています。

売行き好調の生しょうゆや豆乳の生産設備を増強したほか、しょうゆ関連調味料の収益性向上もめざしています。生しょうゆは高価格帯のため、増産によって収益力向上が期待できると思います。

海外においても特に米国を中心とした醤油需要の拡大を追い風に売上を伸ばしています。なお、2018年3月期第1四半期の業績は純利益が44.9%の減益になっていますが、これは前年同期にあった「株式売却に伴う税負担の軽減」がなくなった影響が要因となっています。前期の一時的なプラス要因の剥落、と考え、特に問題ありません。

株主優待は魅力的

ここまで書いてきたように、同社は醤油業界の雄であり、かつ成長性を併せ持つ優良企業であると思います。17年6月末時点の財務内容は、自己資本比率が67.5%、有利子負債が461億7600万円。442億円の現金等を考慮するとほぼ無借金状態です。また、ROEは15年3月期が6.9%、16年3月期が8.7%、17年3月期が10.3%と改善が続いています。

また、2017年1月に、4月からの単元株式数の変更(1000株から100株に)、2017年3月末には、株主優待制度の拡充を実施しています。1000株以上だった単元株式数を100株に変更したことを踏まえ、株主優待の対象も100株以上一年以上継続保有の株主(初年度は3月末に保有している株主)としました。これによって、個人株主層を増やす狙いでしょうが、機関投資家のように売り浴びせるようなことをしない個人株主による保有は、株価の下支えになり、株式市場の急落時などでも底は守られるように推移する傾向があります。

配当利回りは低いものの、同社製品は幅広い層にとって使いやすい製品であり、しかも長期的に株価は上昇する可能性があるのだとすれば、株主優待は魅力的だと思います。株価が下がったところで購入できるようにすると良いでしょう。

参考:日本株通信

※記載されている情報は、正確かつ信頼しうると判断した情報源から入手しておりますが、その正確性または完全性を保証したものではありません。予告無く変更される場合があります。また、資産運用、投資はリスクを伴います。投資に関する最終判断は、御自身の責任でお願い申し上げます。

【抽選で10名にAmazonギフト券1000円分プレゼント】All Aboutで「お金」について、アンケートを実施中です!
回答いただいた内容をAll About記事企画の参考にさせていただきます
※2021/10/1~2021/10/31まで

「毎月の家計についてのアンケート」に回答する

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。