「ドローン」と「ロボット」が多くの命を救う

日本最大の危機管理産業のトレードショーが国際展示場で2017年10月に開催された。同一会場にて「サイバーセキュリティワールド」も開催され、併設展示として「テロ対策特殊装備展」などもあり、日本中の災害・犯罪対策業界が一同に会している感じだった。

実際に「災害対策」と「犯罪対策」「テロ対策」は表裏一体の部分があり、今や市民だけでなく企業や自治体、政府機関に至るまでそのリスクは拡大していると言っても過言ではない。災害と犯罪は同時に起きる可能性は高く、警察や消防、自衛隊の装備は犯罪やテロ、万が一の武力衝突などの時にのみ使われるものではなく、災害発生時の被災地や重大事故(大規模火災や化学汚染など)に活躍するものであるからだ。

そんな中、今年の展示会の目玉はやはり「ドローン」であった。数年前の展示会でも無人ヘリなどによる消火剤の散布などはデモンストレーションされてはいたが、デモンストレーションコーナーの広さを含めて、複数の業者が様々な利用法を提案しているのを見るのは初めてであり、ドローン技術の進歩と業界の拡大が明らかに進んでいる。

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年々進化するドローン技術により広範囲の使用が可能になった。


以前はせいぜい上空からの写真データ収集ぐらいだったものが、航続距離や運搬能力の拡大によって様々なシチュエーションにも利用できるように。これまでドローンは微風・雨の降っていない時にしか使用できなかったのだが、風や雨にも強いドローンの登場により、海難事故や水害の発生時に、浮き輪や救助用具の運搬などにも利用できるようになってきている。

もうひとつ目を引いたのは災害救助用ロボット。日本のこの分野での技術革新は世界の最先端を行く。これまでは、崩れた室内をキャタピラなどで進む探査ロボットが中心だったが、さらに進化してより狭い場所までもぐりこめるヘビ型のロボット、ぶつかっても落ちない技術を使った飛行ロボット(ドローン)、瓦礫そのものを遠隔操作などで除くことが可能になるロボットなどがデモンストレーションされていた。

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遠隔操作で瓦礫の除去を行うことのできるロボットのデモ。


さらに災害救助犬に様々なセンサー技術を使った装置を背負わせる「サイバー救助犬」などもあり、日本のロボット技術、センサーの開発技術の高さをうかがわせるものだった。


進化する技術、捨てられてしまう技術がある。

一方、同一会場にあった「サイバーセキュリティワールド」では、ハッキングや情報漏洩などの昨今の日本の置かれているサイバー空間上での危機的状況を受け、非常に盛況であったが、そこで多く見られたのはUTM(統合脅威管理Unified Threat Management)の国内の主だった会社の製品であった。

同行したサイバーセキュリティの専門家である三田典玄氏(元韓国慶南大学のIT学科教授)は、企業や自治体の「BCP」の要は、これまでのように組織のある場所とか建物を守るのが中心ではなく、明らかに個々のPCやスマホを使って組織の構成員がつながる「ICT」に移行した、いうことが言えるという。様々な外部からの脅威に対しては、組織のまとまりを守る=ICTこそが重要になってきたと分析する。

これまでの過去の災害・犯罪などの脅威に関するトレードショーでは地震予知や被害予測ソフト、耐震技術、非常時の通信、監視カメラ・認証技術などの展示が多く見受けられたが、近年、地震の予知予測に関する政府の認識が大きく変わったことや、熊本地震などのかつてないタイプの強震の発生、クラウドやUTMの利用などによってその勢力図は大きく変化。進化する部分もあれば、現実の脅威の拡大に追いつけずに全く必要性が無くなり、もはや捨てられてしまっている技術もある。

しかしそれでも日本のこれらの技術の積み重ねがあってこそ、様々なリスクに日本は何とか対応出来ているのだな、と感じることが出来た一日だった。
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最新技術のヘビ型ロボットは狭い空間を進むことが可能。



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