株価上昇!ラウンドワンの株主優待は本当にお得?
ラウンドワンは複合アミューズメント施設を国内で唯一全国展開する国内大手企業です。「遊びの百貨店」を標榜し、全国107店舗と北米15店舗で展開するROUND1では、ボウリングのほか、ゲームセンターやカラオケ、ビリヤードなど、子供からお年寄りまでが客層となり得る遊びの場を提供しています。業績は好調で株価も非常に綺麗な上昇トレンドを描いています。同社の株主優待は同社施設の割引券となりますが、利回りが高く、最低投資金金額も比較的小さいため、株主優待の人気銘柄でもあります。今回はここまで株価が上昇したラウンドの株主優待が本当にお得なのかを検証してみたいと思います。まずは同社のデータです。
【銘柄名】ラウンドワン
【市場:コード】東証1部<4680>
【予想配当+予想優待額面利回り】:4.6%
【2017年9月6日株価】 1315円
【株主優待獲得最低投資額】 100株=13万1500円
【今期予想現金配当(1株あたり)】 20円
【株主優待権利確定月】 3月末、9月末
【優待内容】割引券等
→100株以上の場合
500円割引券:4枚 クラブカード引換券:2枚 初心者向け健康ボウリング教室 株主様ご優待券:1枚
→500株以上の場合
500円割引券:8枚 クラブカード引換券:2枚 初心者向け健康ボウリング教室 株主様ご優待券:1枚
※詳しくは同社のHPをご覧ください。
※今回は100株を購入したケースを想定しています。株主優待は500円割引券×8=4000円で評価し、利回り計算を行っています。
ラウンドワンの誕生:廃業寸前のローラースケート場から脱皮
同社を創業したのは二十歳の大学生だった社長の杉野公彦氏で、父親の経営するローラースケート場を引き継いだことがキッカケでした。引き継いだローラースケート場は閑古鳥が鳴き、7000万円の赤字を抱える廃業寸前の状態だったと言います。杉野氏は客が来ずに持て余していた暇を、事業計画に使いまくり、ローラースケート場を改造してボウリング場、ビリヤードなど屋内型遊具を取り入れることを思いついたのでした。廃業寸前のローラースケート場が、複合アミューズメント施設に生まれ変わり、まさに現在のラウンドワンの形ができたというわけです。
杉野社長は暇な学生に目を付けて割引券を配り歩き、その結果客足は増えて売上はローラースケート場時代の2倍、4倍・・・と急角度で伸びていきました。事業は2号店、3号店開店と軌道に乗り、とうとう4号店目にはベンチャーキャピタルから20億円の出資を受け、これが上場への道筋となりました。
現在では国内107店舗、北米15店舗、合計122店舗を展開し、年間売上は870億円を超えるまでになっています。2010年からは北米での出店を加速させており、現在においても、新たな市場開拓によって営業基盤が拡大しています。
ボウリング場として有名ですが、同社全体の売上構成比で言うと、ボウリングは26.1%で、最も大きいのが46.2%を構成するゲームセンター(アミューズメント)です。そして14.0%を構成するのがスポッチャ。10.4%がカラオケとなっています(17/3期実績)。
業績は明らかな改善傾向
ただ、順調に業績を伸ばしてきた同社ですが、一時は業績不振に陥ります。ボウリング市場やゲームセンター市場が、家庭用ゲーム機の進化やインターネット、スマートフォンの普及を背景に、縮小傾向となったためです。しかし、同社は不採算店を撤退し、自社所有店舗を売却した上でリースバックする形で賃借店舗に転換して有利子負債の圧縮を行うなどして構造改革を図り、業績は明らかな改善傾向にあります。
また、営業面でも「大人1名に対して小学生1名無料キャンペーン」や「1,000円キャッシュバックイベント」の実施、最新ゲーム機種や最新アイテムの導入が奏功して既存店売上は拡大しています。
現行比2倍の経常利益を狙う!消費意欲高い北米での展開を加速!
同社はこれまで国内出店を積極的に進めてきましたが、今はもうすでに北米での出店を加速させています。北米での展開は、2010年の初出店以来、大型ショッピングモールを中心に15店舗を出店しており、売上は堅調に推移しています。同社は今後数年間、北米店舗数を増やして行き、国内では100店舗強程度の店舗数を維持していく戦略を継続する方針です。中期的な計画では2025年までに北米店舗を最大100店舗とするとの目標が掲げられており、国内と同規模、あるいは国内を超える規模とすることが計画されています。
同社が北米での出店を加速させる理由ですが、所得が高く、人口構成に占める若者比率が高いこと、車所有率が高く、出店に適した大型ショッピングモールが多数存在することなどがあります。
日本ボウリング市場は、2017年現在600億‐700億円と推測されます。一方、米国のボウリング市場は約7700億円に及び、ザックリ日本の10倍規模となります。参加人口も日本が1220万人に対して7100万人とスケールが大きい市場です。
米国経済が改善していく中では、一層個人消費の拡大が期待できるかと思います。具体的には、米国のショッピングモール約900ヵ所のうち、各エリアで上位に位置する300ヵ所を対象にした店舗開拓を進めていく計画です。家族連れや若者層が多く訪れるショッピングモールでの出店コストは約6億円。これは日本と同程度なのですが、利益率が国内の2倍のレベルであることから、軌道に乗れば企業全体として採算性が改善していくことになります。いずれ北米の利益は国内に匹敵するようになると睨んでおり、現行比で2倍の経常利益達成を狙っています。
経済の安定成長が継続していて、開拓の余地が大きい米国出店は、中長期的成長ドライバーとして同社の営業基盤を拡大することになるというわけです。
株価は上昇していますが、同社の株主優待は魅力的と考えることも
足元の業績は好調。国内では新規出店よりも不採算店舗の整理や集客に注力しており、この国内事業の堅調な推移ベースに、北米での新規開拓を進めており、中長期的な成長基盤の構築がしっかり行われています。一人当たり消費量の多い米国での事業は好採算なので、米国事業拡大が業績を急成長させるポイントとなってくると思います。
財務内容は良好で、自己資本比率は51.0%で有利子負債は158億9000万円(前期末164億4000万円)、これは現金等170億7300万円でカバーしており実質無借金経営です。17/3期の実績ROEは5.4%、18/3期の予想ROEは7.1%となっています。16/3期実績ROEが0.6%だったことからみると、大きく改善が進んでいることがわかります。このROEの改善が株価上昇につながっているわけです。
きちんと株価上昇の裏付けがあり、今後も北米の業績次第で更なる業績拡大が期待できるところです。現金配当と株主優待を合わせた予想利回りは4.6%と、まずまずの利回りとなっています。株価に上昇余地があるのだとすれば、ラウンドワンをよく利用する人にとっては魅力的と考えることもできるのではないでしょうか?
なお、同社は、安定した配当を継続しており、18/3期も20円を予定しています。財務面はここ数年間継続して改善が続いており、自己資本比率で見てみると、2011年3月期の31.3%から50.1%まで上昇してきています。キャッシュフローも良好で、長短共に支払い能力には問題ありません。現預金を除いた実質的な有利子負債もゼロとなっており、健全な状態が続いています。
参考:日本株通信
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