「秋の乗り放題パス」の使い方基本ルール2018年版
10月14日の「鉄道の日」にちなみ、また「青春18きっぷ」の設定がない秋の旅行シーズンに合わせてJRより企画された「秋の乗り放題パス」。このきっぷが使えるのは、2018年の場合は、10月6日(土)から21日(日)までの16日間のうち、連続する3日間。発売期間は、9月15日(土)から10月21日(日)まで。最初に乗車したい当日に買ってすぐに利用することもできる。値段は、おとな7710円、こども3850円。一日分の値段を計算するとおとな2570円、こども1283円となり、青春18きっぷの1日分である2370円よりは若干割引率が抑えられている。全国のJRの主な駅、JRの旅行センターおよび主な旅行会社で購入可能だ。
利用できる列車は、全国のJR普通列車と快速列車の普通車自由席であり、新幹線を含め特急、急行、グリーン車には乗れない。乗ってしまった場合は、乗車券も別途必要である。「秋の乗り放題パス」+特急券のような組み合わせはできないのだ。例外は、普通列車、快速列車のグリーン車自由席。首都圏を走る東海道本線などの二階建てグリーン車を思い浮かべる人も多いだろう。これについては、別途グリーン券を購入すれば、「秋の乗り放題パス」との組み合わせで利用できる。このあたりのルールは、青春18きっぷと同じである。
青春18きっぷに準じた特例について
列車以外では、気仙沼線、大船渡線の一部区間を走る列車代行としてのBRT(バス高速輸送システム)、宮島口と宮島を結ぶ宮島フェリーに乗れる。JR以外の第3セクター鉄道は、原則乗車できないにもかかわらず、例外がある。
まず、青い森鉄道の青森~八戸、青森~野辺地、八戸~野辺地は、普通車自由席に乗車して通過するだけなら利用できる。これは、奥羽本線から大湊線と八戸線に乗り継ぐ場合、青い森鉄道を経由するしかないからだ。したがって、下車できるのは、青森駅、野辺地駅と八戸駅のみ。それ以外の駅で下車するなら、青い森鉄道の運賃を別途支払う必要がある。
あいの風とやま鉄道の高岡~富山間については、高山本線と城端線、氷見線を乗り継ぐ便を図って、普通列車の普通車自由席利用に限って通過利用が認められている。したがって、富山、高岡以外での途中下車は認められない。それ以外の駅で下車する場合は、あいの風とやま鉄道の運賃を支払う必要がある。
IRいしかわ鉄道の金沢~津幡間については、北陸本線と七尾線を乗り継ぐため、普通列車の普通車自由席利用に限って通過利用が認められる。金沢、津幡以外での途中下車は認められない。
特急列車に乗れる特例区間
特急列車に乗れる特例区間も青春18きっぷに準じている。新青森~青森(奥羽本線)
新夕張~新得(石勝線)
宮崎~宮崎空港(宮崎空港線)
早岐~佐世保(佐世保線)
いずれも、特急の普通車自由席に乗車できる。ただし、特例区間をはみだして特急を利用する場合は、特急券のみならず、特例区間を含めた全区間の運賃を別途支払わなければならない。
また、新青森~青森間を走る全車指定の快速列車「リゾートしらかみ」「リゾートあすなろ」などの観光列車は、この一駅間のみの利用であれば、指定券なしで空いている席に乗車できる。
普通・快速列車の普通車指定席、ホームライナーなどの通勤用指定席は、別に指定券を買えば乗車できる。快速列車扱いの観光列車は、普通車であれば「秋の乗り放題パス」の利用が可能だ。ただし、グリーン車指定席の場合は、「秋の乗り放題パス」は使えず、乗車区間の運賃も別途必要となる。
青春18きっぷ同様、北海道新幹線オプション券も発売
青函トンネルを通って本州と北海道を行き来する場合は、青春18きっぷ同様、北海道新幹線オプション券(おとな2300円、こども1150円)を別途購入すれば、北海道新幹線に乗車できる。この場合の乗車区間は、奥津軽いまべつ~木古内間に限られる。乗車ルートは、本州から北海道へ向かう場合、津軽線津軽二股まで在来線、北海道新幹線(奥津軽いまべつ~木古内)、道南いさりび鉄道木古内~五稜郭となる(帰路は逆ルート)。道南いさりび鉄道線内は通過のみで、木古内、五稜郭以外で途中下車する場合は、全区間の運賃を別途払わなければならない。オプション券は片道1回限り有効である。北海道新幹線「はやぶさ」「はやて」は全車指定席なので、オプション券を使用する時は、空いている座席の利用となる。座席の指定を受けたければ、正規の運賃と指定料金を払う必要がある。
なお、青春18きっぷの場合、オプション券の発売は利用期間の終了前に早々と終わる年度もあったが、今回のオプション券の発売は、利用期間最終日の10月21日(日)となった。急に思い立っての利用も可能である。
宿泊料金割引などの特典
青春18きっぷ同様、JRホテルグループの加盟ホテルに宿泊の場合、宿泊料金などの特典が受けられる。各自で、JRホテルグループ東京予約センターに電話のうえ(03-5391-6916、平日 9:30~18:00、土休日は休業)ホテルのチェックイン時に、「秋の乗り放題パス」を提示すると良い。「青春18きっぷ」と異なる点
その1.利用期間内の3日間連続で利用すること
青春18きっぷは、利用期間内に5回だったので、とびとびの日に利用してもよい。
その2.複数人では使えない。3日間ひとりで利用すること
青春18きっぷは、2人から5人まで同一行程なら1枚のきっぷで一緒に利用できたが、それはできない。二人旅の場合は、各自が、それぞれ「秋の乗り放題パス」を購入しなければならない。
「秋の乗り放題パス」を使ったおすすめの鉄道旅行 東日本編
東京駅から新潟駅へ向かい、磐越西線と磐越東線を使って南東北を日本海側から太平洋側へと横断するプラン。磐越東線でいわきに出たあとは、常磐線で都内へ戻るルートとする。1日目
東京 9:22
↓ 快速アーバン 高崎行き グリーン車自由席利用可能
高崎 11:05着
(駅弁購入など)
高崎 12:02発
↓ 普通 水上行き
水上 13:07着
水上 13:40発
↓ 普通 長岡行き
長岡 15:29着
長岡 15:32発
↓ 普通 豊栄行き
新潟 16:50着
東京~新潟の通常運賃=5620円 (3050円おトク)
2日目
新潟 9:19
↓ 普通列車 会津若松行き
会津若松 11:54
(市内観光)
会津若松 17:10
↓ 快速 郡山行き
郡山 18:15
新潟~郡山の通常運賃=3350円 (780円おトク)
3日目
郡山 8:00
↓ 磐越東線 普通 いわき行き
いわき 9:38
いわき 10:48
↓ 常磐線 普通 水戸行き
水戸 12:17
(昼食、市内散策)
水戸 15:00
↓ 常磐線 普通 上野行き、グリーン車自由席利用可能
上野 17:02
郡山~いわき~上野の通常運賃=5400円 (2830円おトク)
「秋の乗り放題パス」を使ったおすすめの鉄道旅行 西日本編
大阪~岡山~米子~鳥取~福知山~東舞鶴~敦賀~米原~大阪と山陽、山陰、若狭エリアをぐるり一周するプラン。山陽本線、伯備線、山陰本線、さらには舞鶴線、小浜線、北陸本線、東海道本線とルートにこだわってみた。1日目
大阪 9:05発
↓ 新快速 姫路行き
姫路 10:08着
姫路 10:09発
↓ 播州赤穂行き
相生 10:28着
相生 10:29発
↓ 岡山行き
岡山 11:38着
(昼食)
岡山 12:40発
↓ 伯備線 新見行き
新見 14:27着
新見 16:24発
↓ 伯備線・山陰本線 西出雲行き(電車)
米子 18:12着
大阪~岡山~米子の通常運賃=5620円 (3050円おトク)
2日目
米子 8:39発
↓ 山陰本線 快速 とっとりライナー 鳥取行き
鳥取 10:21着
(観光、昼食)
鳥取 12:19
↓ 山陰本線 普通(一部区間快速) 城崎温泉行き
城崎温泉 14:31着
米子~城崎温泉の通常運賃=3020円 (450円おトク)
3日目
城崎温泉 8:58発
↓ 山陰本線 普通 豊岡行き
豊岡 9:10着
豊岡 9:12発
↓ 山陰本線 福知山行き
福知山着 10:25着
福知山発 11:05発
↓ 山陰本線・舞鶴線 東舞鶴行き
東舞鶴着 11:48着
(昼食、散策)
東舞鶴発 13:39発
↓ 小浜線 普通 敦賀行き
敦賀着 15:33着
敦賀発 16:04発
↓ 普通 長浜行き
長浜着 16:54着
長浜発 16:57発
↓ 新快速 播州赤穂行き
大阪着 18:43着
城崎温泉~東舞鶴~敦賀~大阪の通常運賃=5940円 (3370円おトク)
以上のプランは、早朝から深夜まで列車に乗り続けるようなハードなものではなく、比較的ゆるく、のんびりした旅ができるよう工夫してみた。それでも、旅慣れない人にはハードに感じるかもしれない。途中でつらくなったら、プラスアルファの出費が必要とはなるけれど、新幹線や特急列車に乗り換えても何ら問題はない。各自の判断で「秋の乗り放題パス」を有効に利用して、優雅に旅をしてもらえればと思う。
「秋の乗り放題パス」の発売について(JRグループからのリリース)