盆栽は難しくない
世界最小の庭「盆栽」。盆栽といっても難しく考えることはありません。ようは鉢植えです。厳格なルールがあるわけではありません。慣例的に「鉢は小さいほうが良い」や「薄いほうが良い」とされているようですが、その植物と自分の力に合った鉢サイズを選び、良質の土で植えれば、それほど難しくはありません。鉢植えに適した植物を選択して、水さえ忘れずにあげれば、誰にでも楽しめます。「ミニ盆栽」とは
「ミニ盆栽」と呼ばれるジャンルには厳格な決まりはないようです。基本、盆栽は小さいものですが、その中でも手のひらにのるサイズの盆栽を小品盆栽と呼びます。小品盆栽をミニ盆栽と称して販売する園芸店も多く見られますが、もっと小さくてかわいい雰囲気のものをミニ盆栽と呼びます。植物を選ぶ
ミニ盆栽は5cm、3cm、いやもっと小さな鉢に植栽します。ですから、植物選びは重要です。盆栽の植物として王道の松は、海に浮かぶ岩の割れ目にも育つほど悪条件にも耐えます。しかしミニ盆栽にできるサイズの松では、盆栽として魅力があるとはいえません。
紅葉のきれいなもみじなど、種で簡単に育つ植物は、種から環境に慣れさせて育てれば可能です。
シャガなどのように親株から子株が生える植物は、子株を株分けして植えることができます。生命力の強い蔓植物も充分可能です。
園芸店等で売られている苗の中にも、充分ミニ盆栽に成り得るものがあります。たとえば、3、4株寄せて植えられたミニバラは株を分けて植えることで最高のミニ盆栽の材料になります。
3cm未満のミニ盆栽を作るときに便利な植物が多肉植物です。発根に土が必要ないくらい生命力があり、1cmほどの鉢でも盆栽を作ることができます。
鉢を選ぶ
植物が決まれば、次に鉢を選びます。ミニ盆栽なので、直径10cmを超えない鉢を選びましょう。植物を植えたとき、鉢の内々に植木が納まるようではバランスが悪く感じます。鉢から枝がはみ出すくらいのほうが良いでしょう。3cm未満になるとあまり市販されていません。食器としては使えなくなった、湯飲みやお猪口等の底にドリルで根気よく穴を開けて使用する、粘土やモルタル造形で自作するなどの工夫で素敵なミニ盆栽ができます。植物のイメージに合った鉢を工夫してみてください。
盆栽に見せる工夫 植え付け
鉢が小さいので、植物が限られます。性質が強健なものを選ばざるを得ないので、これまでの盆栽では使用されなかった種類の植物が多く、和を感じさせることが、ミニ盆栽を作るうえで最も難しいことです。盆栽の基本樹形を頭に入れて植物を選び、植えつけることが最も重要です。幹をまっすぐ伸ばし堂々とした趣を作る「直幹(ちょっかん)」。これは枝振りが重要になり、上級者向きです。
幹を斜めに倒し、自然に影響された姿を表現する「斜幹(しゃかん)」。傾けるだけですが、直幹よりは和を感じやすいのではないでしょうか。
もみじなどの種から育てた植物を盆栽にする場合は、5本以上を同じ向きに傾けて寄せ植えします。風に吹かれて林の植物がすべて同じ方向へなびく様を表した、「ふきながし」と言う樹形に仕立てると良いでしょう。
蔓植物は真横に幹を伸ばし最後は少し鉢より下向きに成長させる「懸崖(けんがい)」という樹形がいいでしょう。この樹形は簡単に和のイメージを作れる便利な樹形です。バラなども懸崖に作るだけで盆栽らしくなります。
その他、下のほうの枝を少なくして、すらりと伸びた幹の上部に数本の枝であっさりと表現する「文人木(ぶんじんぎ)」や二股の幹がおのおの主張する「双幹(そうかん)」。幹や枝ではなく葉で表現する「草物盆栽」。「草物盆栽」は寄せ植えや花が咲く植物を使うと楽しみが増えます。根を見せて自然の厳しさを表現する「根上がり」。どの樹形に作るかはその植物をよく観察して性質を見極めて選択してください。
植え付けの最後に土が見えなくなるように苔を張ります。苔を張るだけで、魔法のように盆栽らしさを主張してくれます。