庭造り

モルタル造形 DIYにもおすすめなその魅力とは

土木資材でしかなかったセメントが、庭におしゃれな装飾を施す、新しい材料として注目を浴びています。特殊セメントを使うことで、施工が簡単になり、DIYにもお勧めです。場所を選ばず、表現の幅が格段に広くなります。

執筆者:辻尾 仁志

モルタル造形とは?モルタルの材料やその魅力

モルタル造形の古びたレンガの壁

モルタル造形デザイナー磯山賢太氏作の古びたレンガの壁

モルタル造形とは、文字通りモルタルで造形すること。ではモルタルとは? モルタルとはセメントと砂など粒子の細かい骨材を混ぜて水で練ったものです。ちなみに、そこに砕石など粒子の粗い骨材を混ぜたものがコンクリートです。どちらも土木工事や庭の工事には欠かせない材料です。

そのモルタルを駆使して様々な形を生み出す、それがモルタル造形です。壁や床などが石に見えるように、レンガに見えるように、石やレンガを模した模様をつけるといった建築の内外装の材料として使用されることが多いです。最近はガーデニングの新しい材料として注目され、ミニチュアガーデン(箱庭)や植木鉢として、庭を飾るガーデンアクセサリーとして人気が出ています。


モルタル造形の歴史

「モルタル造形の歴史」と検索しても、まだあまりきちっと書かれたものがありませんが、「日本では東京ディズニーランド以降」と言う声をよく耳にします。そうでしょうか、わたしが子供のころ、すでに疑木のパーゴラはありましたし、モルタルでできた灯篭もありました。ひねくれた見方をすると、左官職が壁に作るこて絵などもモルタル造形ではないでしょうか。
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土佐鏝絵

世界に目をやるとモルタル技術はローマ時代に完成しており、サグラダファミリアでも今に近いモルタル技術で彫刻されていますし、ヨーロッパ各地の遺跡の補修でもその技術は古くから施されていました。


現在のモルタル造形

モルタル造形は大掛かりな建築物で発展してきました。日本では主にテーマパークがモルタル造形を発展させたことは間違いのない事実です。逆に言うと、「テーマパークの建設以外の仕事がない」がこれまでの現実でした。日本のモルタル造形師の苦労がしのばれます。彼らの努力によりモルタル造形は一般建築にも採用されるようになり、そこに女性の感性が加わり、今では趣味の世界にも広がりつつあります。庭やガーデニングの世界でもどんどん広がりを見せています。


モルタル造形のメリット

モルタル造形の意義は、建築分野では一つは工期の短縮です。たとえば東京ディズニーランドやユニバーサル・スタジオ・ジャパン®の石造りの構造物を本当の石で造ると10倍以上の工期が必要としたのではないでしょうか。当然工費も縮小できるでしょう。もう一つは、不可能を可能にすることでしょう。「石を積むには場所がない」「崩れかけたものは安全上使用できない」等建築現場では不可能だったことが、モルタル造形では表現できます。

趣味やアートの分野では、立体的な表現、特に硬いものの立体表現は他にない素材といえます。
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彫刻のある壁と石の立水栓

最近のモルタル造形の技術はモルタルが完全に固まる前に削るため、硬いものに彫刻の表現がたやすくできます。これが最大の意義ではないでしょうか。本物には表現できない表現が難しい、それを実現することがモルタル造形の醍醐味です。


モルタル造形を庭に採用するときのコツ

庭にモルタル造形を採用する場合は充分に注意が必要です。あくまでもモルタル造形はイミテーション(模造品)です。庭は元来自然を造るものです。自然を模写してイミテーションを作るのではなく、あくまでも新しい素材として、自然とは違うメルヘンチックなアニメチックな要素を加えるつもりで造るといいでしょう。庭の価値として、植物や木材や金属などをモルタル造形で作るのは避けたほうがよいでしょう。できれば本物を使いたいものです。


モルタル造形でDIY!庭に遊び心を

最近ではモルタル造形を趣味に取り入れるかたが増えています。ガイドの庭造りスクールでもモルタル造形教室は人気をはくしています。ミニチュアを造ったり、植木鉢を作ったり、可能性は無限です。壁や門柱など大掛かりなものだけではなく、動画のようなミニチュアをモルタルで造って庭に飾ると、遊び心がプラスされた空間になりそうです。



■モルタル造形をもちいたミニチュアの作り方
  1. 薄い板等で形を作る
  2. カチオンと呼ばれる下地材を塗る
  3. セメントと水と接着強化材を合わせ練り、モルタルを作る。
  4. モルタルを塗りながらおおまかな形を作っていく。
  5. ある程度固まったら、鏝やセンマイドウシ等で削り質感や表情を仕上げていく。
  6. 水生塗料で着色する。
  7. 上塗り材を塗る。


【執筆協力】モルタル造形デザイナー磯山賢太氏にご協力いただきました。感謝いたします。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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