本格的なフランス菓子とアイスケーキを学んだ江森シェフが独立オープン
2017年7月7日、田園都市線と小田急線が利用可能な中央林間駅から徒歩5分ほどの場所に、「パティスリー メゾン ジブレー(MAISON GIVRÉE)」がオープンします。黄色をメインカラーにした明るい雰囲気の建物が印象的です。「ジブレー」とは、果物を器にして盛り付けるのが一般的な、フランスの氷菓の一種のこと。日本でアントルメグラッセをいち早く始めた草分けの店「ベルグの4月」で基礎を学び、「パティスリー フレッソン」でフランス本場のアントルメグラッセのスタイルも身につけた江森シェフ。さらに現在は、日本各地の農家との出会いにより、フレッシュの果物を活かしたお菓子がスペシャリテとなっています。店名も、そして、様々な果物を描いたお店のロゴマークも、そんな江森シェフにぴったりだと言えるでしょう。
けれども、これからしばらくは、原点であるパティシエとしての自分を見てほしい、と江森シェフは仰います。代表作ともいえるアントルメグラッセやジェラートも、店頭販売や通販での展開はしていきますが、「パティスリー メゾン ジブレー」で、まずお客様に届けたいのは、これまでの様々な経験を活かして、フレッシュフルーツを贅沢に使った、生菓子や焼き菓子。また、可愛らしいデザインを得意とする江森シェフらしい、お子様から大人まで幅広い世代に愛されそうな「おやつ菓子」にも注目です。
オーナーの江森宏之シェフは、専門学校卒業後、横浜市青葉区にある「ベルグの4月」に入社。その後、フランスへ渡り、ロレーヌ地方で国家最高職人の称号M.O.F.を持つフランク・フレッソン氏に師事しました。2012年、表参道「GLACIEL」のオープンに際しシェフを務め、華やかなアントルメグラッセ(アイスケーキ)で注目を集めることに。その後、イタリアのミラノ万博内で開催された世界大会の菓子コンクールでチーム優勝。イタリアでのジェラートワールドカップに出場するなど、ジェラートの世界にも活躍の幅を広げています。
出身地の栃木県からの依頼で「とちぎ県未来大使」に就任しているほか、日本全国の自治体や農家とのつながりを持ち、地元の農産品を活かした活性化にも一役買っています。
「パティスリー メゾン ジブレー」のショーケースに並ぶプティガトーの中でも、ひときわ可愛らしく、華やかな「フリッソンルージュ」は、“鮮烈な赤”という意味。その名のとおり、外側のビスキュイジョコンドには、グリオットチェリーとフランボワーズをブレンドした、鮮やかな赤色のコンフィチュールを散りばめて焼き上げています。
中身は、レモンの皮で香りづけしたババロア入り。真ん中には、酸味のほどよく効いた苺とパッションフルーツのジュレ。そしてフレーズ・デ・ボワという、フランスではおなじみの酸味の強い森の苺の果実も隠れています。ピンク色のクリームは、苺味の生クリームです。
苺やフランボワーズを使ったベリー系のお菓子は色々とありますが、レモンやパッションといった素材を組み合わせることで、奥行きがありバランスのよい酸味や香りが表現されています。
「ルノー(le noo)」という名前の由来は、「ノワゼット(ヘーゼルナッツ)」と「オランジュ(オレンジ)」を使っているからという、江森シェフの造語だそう。
自家製オレンジマーマレードとオレンジリキュール入りのバタークリームと、ノワゼットを使ったビスキュイジョコンドとを重ねたプティガトー。ビスキュイには、オレンジリキュールのシロップをたっぷり打ってしみ込ませています。一番下の生地のすぐ上には、サクサクした食感のフィヤンティーヌに、ビターチョコレートをからめた層がアクセントに。飾りに、ローストしたノワゼットを自家製で挽いたペースト入りの生クリーム。これを絞っている口金が、お花の形に絞れる新しいタイプのもので、さりげなくキュートなルックスにも注目です!
「フラン・フラン」は、イタリアで開催されたコンクールに出場した時の作品をべースにしたものであり、江森シェフがフランスでお世話になった師匠、フランク・フレッソン氏のお名前「Franck」からとったという、オマージュが込められた一品です。斜めがけのグラッサージュという、プロでもなかなか難しく手間のかかる仕上げ技法も、フレッソン氏から学んだそう。
土台にはチョコレート味のサブレ。べースはプラリネとミルクチョコレートのムースで、ミルクチョコレートのガナッシュとレモンのクリームが中に入っています。さらに、小麦粉の入らないチョコレート味の軽いビスキュイとや、皮のほろ苦さや香りがしっかりと感じられる自家製のレモンマーマレードも忍ばせてあります。フランス菓子では、レモンとミルクチョコレート、ヘーゼルナッツという組み合わせは王道の一つですが、江森シェフは、こちらも美味しいからと、あえてピーカンナッツのキャラメリゼを入れたそうです。
パーツが多く、仕込みにも時間のかかるお菓子ですが、江森シェフとフレッソン氏との絆を感じさせ、ぜひ召し上がっていただきたいガトーの一つです。
チョコレート系のケーキの中でも、「グアナラ」はその名のとおり、ヴァローナ社のカカオ分70%のチョコレート「グアナラ」を主役としたもの。小麦粉を入れないビスキュイショコラと、グアナラのムースを重ねていて、ガナッシュのようになめらかなチョコレートのクリームの層も入っています。ビターなチョコレートをまろやかに味わえるよう、乳脂肪分47%のコクのある生クリームをたっぷりめに絞っています。こちらも、花形口金の絞りがポイントです。
「グラムー」は、“グラマラスな”という意味のとおり、かなりボリューム感のある一品で、土台は濃厚なフォンダンショコラ、上は生クリームという組み合わせです。こちらには、高脂肪分の生クリームを合わせると重たすぎるため、乳脂肪分42%ほどのクリームを合わせています。フォンダンショコラの中にはガナッシュが絞り入れてあり、冷蔵庫から出したての冷たい状態ではなく、3分くらいおいて食べると、口どけもよく、チョコレートの香りや味わいがしっかりと楽しめるそうです。
「パティスリー メゾン ジブレー」の個性豊かな焼き菓子とアントルメグラッセ
続いて、フレッシュな味わい抜群の焼き菓子や、お土産にも喜ばれそうな個性ある「おやつ菓子」。さらに、さらなる進化を遂げたアントルメグラッセなどをご紹介します。江森シェフ曰く「フレッシュな焼き菓子」というコンセプトで楽しんでいただきたいのが「ウィークエンド」だそう。日保ちするギフト向けには、別にパウンドケーキを提案しますが、このクグロフ形で焼いた「ウィークエンド」は、水分の多いみずみずしい生地で、より日保ちも短い、生菓子感覚の焼き菓子となります。
<日向夏>には、宮崎県産の日向夏の果実を使用。なんといっても特徴は、生地に、果皮を削ったものと果汁をたっぷり入れて香り豊かに、表面のグラスアローにもしっかり果汁の酸味を効かせていること。上に飾られているのは、レモンの輪切りを日向夏果汁で煮た自家製コンフィ。さらに、日向夏の葉をオーブンで乾燥させたものも添えるという、他にないデコレーション。産地から届くフレッシュフルーツを使っているからこその強みですね。
他にも、愛媛県・岩城島産のレモンを使ったものや、チョコレート、コーヒーなどの味を揃えます。
もちろん、江森シェフのスペシャリテであるアントルメグラッセ(アイスケーキ)も、いずれ店頭や通販で販売していくそうで、現在は、予約受付中とのことです。
「サマーリース」は、ローストしたココナッツ入りのダックワーズ生地の上に、ココナッツアイスクリームと角切りにしたマンゴーとパッションフルーツのシャーベットを盛りつけたアントルメグラッセ。ココナッツアイスの中には、粒状の凍ったココナッツピューレも散りばめられていて、サクサクとした食感がアクセントとなっています。飾りの葉も本物を使いたいということで、フレッシュのローリエだそう。
その名の通り、真ん中が抜いてある可愛らしいリースの形状が特徴。江森シェフ曰く、この方が包丁を入れやすく、お客様がご家庭でカットしやすいからとのこと。また、冷凍庫から出したての硬い状態を、食べやすい温度に戻していく時間も短くてすみます。外側と中心との温度差が少なく、外側はちょうどよくても中がまだ硬すぎるといったことが起きにくいそうです。
このリース状のアントルメグラッセを、季節によって素材を変えながら、通年出していく予定とのこと。さらに、イベント時期や通販限定などで、各地のブランドフルーツを贅沢に使った特別製のアントルメグラッセも、数量限定販売することも考えているそうです。カップ入りで注文できる単品のジェラートも、季節に応じて内容を変えながら販売予定だそうですので、楽しみですね。
また、江森シェフご自身が大好きという「グラノーラ」は、パティシエが作るグラノーラらしく、クランブルのサクサク感と共に、ドライフルーツやナッツの食感と味が楽しめる、リッチな配合が特徴です。牛乳と合わせて、朝食やおやつに、気軽に食べてほしいとのこと。
甘い香りのローストココナナッツとドライパイナップル入りや、クランベリー・ホワイトチョコレート・アーモンド入り、きなことピーカンナッツ入り、コーヒー・ミルクチョコレート・胡桃入り、抹茶・ホワイトチョコレート入りなど、まだまだアイディアが尽きないようです。
心ほのぼのとする動物柄をパッケージデザインに採り入れた、おやつにぴったりの焼き菓子シリーズも、地元のファミリー層に喜ばれそうです。「なかよしスフレチーズ」「ころころレモンケーキ」といった、昔懐かしい洋菓子をアレンジしたものや、「くるっとしっぽのティグレ」と、フランスの伝統菓子を日本人にもなじみやすくアレンジしたものと、江森シェフならではのセンスが光ります。
今後の展開が楽しみな、江森シェフの「パティスリー メゾン ジブレー」。おそらく秋頃には、1階にイートイン席がオープンする予定。さらに将来的には、2階をサロンとして、デザートなども出すことができればと考えているそうです。とどまらない進化から目が離せません!
<ショップデータ>
「パティスリー メゾン ジブレー」MAISON GIVRÉE
http://givree.tokyo/
神奈川県大和市中央林間4-27-18
電話 046-283-0296
営業時間 10:00-19:00 ※開業後、1階にイートイン席もオープン予定
定休日 月曜(祝日は営業、翌日休み)火曜不定休