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USB Type-Cケーブルで安心・安全に充電するためには?

USB Type-Cの充電と他のUSB端子との電流の流れる量について、現状をメーカーに尋ねました。

岡安 学

執筆者:岡安 学

デジタルカメラガイド

※2017年10月5日に記事タイトル、内容を更新しました

USB Type-C記事の修正について

2017年5月、USB Type-Cに関する記事を扱った際、各方面から内容に誤りが含まれているといった旨の指摘をいただきました。記事をしっかりと読んでいただき、また内容に関するご指摘をいただいた皆様にお礼を述べるとともに、ご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。

5月に掲載した記事はUSB Type-CがこれまでのUSB規格と比べて、機能や規定が増え、わかりづらい部分があることについて、警鐘を鳴らす考えから記事執筆を行いました。作成に当たっては、USB Type-C規格のケーブルを販売しているメーカーに質問をし、記事確認も行いましたが、内容的に曖昧な部分や間違った部分、勘違いしやすい点があったことで、読者に迷惑をかけてしまったと思います。

そこで今回、改めてUSB Type-Cの規格について複数メーカーへの取材を行いました。

なお、5月の記事では、USB Type-Cの性能の中で、電流の話と電圧の話、データ転送量の話を一緒くたにしてしまったことも内容の混乱を招いた一端と考え、今回はUSB Type-Cを利用した充電機能(電流のみ)についてピックアップして扱います。
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現在主流となりつつあるUSB Type-Cケーブル。これまでのUSBケーブルよりも多機能になった分、複雑に感じる部分も増えています。



USB端子の種類によって、給電の条件は変わる

そもそもの話として、USBケーブルはデータを転送するだけでなく、電気を流すことが可能で、電源ケーブルとしても広く使用されています。代表的な例で言えば、スマートフォンやタブレットなどは充電用ケーブルの多くはUSBケーブルです。

一方で、意外と知られていないのが、USBケーブルは端子の規格によって、流せる電力の大きさが変わってくるということです。

例えばUSB Standard-A端子の場合は、USB2.0規格であれば最大で5V/0.5A、USB3.0規格であれば最大で5V/0.9Aで給電できます。それに対してUSB Type-C端子は最大で5V/3Aの給電が可能となっています。つまりUSB Type-CはUSB Standard-Aに比べて、多くの電流を流せる仕様というわけです。

一度ここで話を整理すると、両端がUSB Type-C端子のケーブルの場合は5V/3Aで電流を流すことができ、両端がUSB Standard-A端子の場合は、USB2.0なら0.5Aまで、USB3.0なら0.9Aまでしか流せません。

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USB Standard-A to USB Type-Cの変換ケーブル。



片方がUSB Type-C、もう一方がUSB Standard-Aの場合、給電はどうなる?

ここで疑問に思うのが「変換ケーブルの場合どうなるのか?」という点です。一般に販売されているUSBケーブルのラインナップを見ても、両端でUSBの端子が異なるものは少なくありません。実際、変換ケーブルを使っている読者の方も多いでしょう。

そういった変換ケーブルでは通常、給電可能な数値が少ない方に合わせられます。つまり、片方の端子がUSB Type-Cだとしても、もう一方がUSB Standard-Aであれば、0.5Aもしくは0.9Aでしか給電できないと言うことです。これを「下位互換」と言います。また、USB Type-CとUSB Standard-Aの変換ケーブルには56kΩの抵抗が入っており、必要以上に電流が流れないようにもなっています。

しかし、一部ではUSB Type-CとUSB Standard-Aの変換ケーブルでも、UBS Type-Cと同性能となる5V/3Aの通電を謳っているモデルもあるのです。

果たしてUSB Standard-A to Type-Cの正しい給電量は? この疑問に関して、USB Type-Cケーブルを開発・販売しているメーカーであるエレコムとAnker(アンカー)の2社に話を聞いてきました。

なお、今回言及する変換ケーブルは、給電する側がUSB Standard-Aで充電する側がUSB Type-Cでのケースを考えています。


USB Standard-A to Type-Cでも規格上3Aの供給は可能……だが

まず、エレコムからは「A to Cのケーブルは、56kΩの抵抗が入ったケーブルですが、給電はいわゆるBCモード(最大1.5Aまでの給電)しかできないわけではなく、ケーブルが対応していれば、接続する端末によっては、1.5A以上の電流値で給電することはできます」との回答を得ました。

またAnkerからは「USB-IFのプロトコルに準じると、A to Cケーブルの給電規格は5V/0.9A(ただしUSB BCの場合は5V/1.5A)ですが、急速充電のプロトコルでは5V/3Aを認めているものもあります」という回答に加えて

「その一方で、急速充電のプロトコルにも、USB-IFのプロトコルにも正しく準じていないケーブルも、残念ながら世の中に出回っています。なお、3Aの場合は端末側、電源側、ケーブルの全てが当該の急速充電規格に対応しているものでないと、破損を招く可能性があるので十分ご注意下さい」

という注意喚起も。

両社の話から考えると、USB Standard-AのとUSB Type-Cの変換ケーブルでも3Aの電流は流すことができるということのようです。ただ、この点に関しては曖昧さも残るため、現時点では“そういうものもある”程度に考えた方が良いかもしれません。

加えて、USB Type-Cと同等の電流を流すには、給電元となるUSB充電器やモバイルバッテリー、A to Cなどの変換ケーブル、スマートフォンなどの充電する端末……これらすべてが3Aに対応したものでないとダメだということですね。
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USB充電器でUSB Standard-A端子で5V/3Aに対応したモデルは少ない。



USB Type-Cの給電能力をフル活用したいなら現状はC to Cが○

つまり、せっかくUSB Type-C対応のスマートフォンなどを購入したので、より高い電流で給電、充電したいと思うのであれば、どちらもUSB Type-C端子になっているC to Cのケーブルを利用するのがオススメ、ということ。

ケーブルと同時にUSB Type-C対応のUSB充電器やモバイルバッテリーを買い替えなくてはならないのは、いたしかたないと言ったところです。本来であれば、USB Standard-Aに対応したUSB充電器やモバイルバッテリーの資産を活かしたいところですが、これらは順次切り替えていくようにした方が無難です。

とは言え、今後はUSB Type-Cが主流となっていくと考えられますので、A to Cのような変換ケーブルは徐々に使われなくなっていくでしょう。
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モバイルバッテリーもUSB Type-Cの端子のあるタイプに買い換えて、USB Type-C to Cでの接続をすることがオススメ。



USB Type-Cの変換アタッチメントはどうなる?

また、変換ケーブルと同様に、これまでの資産を活かすツールとして、USB micro-BをUSB Type-Cに変換するアタッチメントもあります。これは完全に元のケーブルの給電量に準拠するので、5V/0.5Aあるいは0.9Aの給電になるとのことです。とりあえず、ケーブルを使わなくなるのも、もったいなから使う、といった感じで利用するための商品と割り切った方が良いようです。

最後に、今回取材にご協力いただいたメーカー2社が販売しているC to CケーブルやUSB Type-C対応のUSB充電器、モバイルバッテリーを紹介します。

まだ使えるUSB Standard-A、micro-B対応のUSB充電器やモバイルバッテリーがある以上、ちょっともったいないかもですが、今後はUSB Type-Cが主流になっていくのは間違いないので、今から取り揃えても早くはないですよ。


AnkerのおすすめUSB Type-C関連アイテム

■Anker PowerLine II USB-C & USB-C 3.1 (Gen2) ケーブル (0.9m)
データ転送速度10GbpsのUSB3.1 (Gen2)と、Anker製品で初めて最大100W(20V/5A)までのUSB Power Delieveryに対応したC-Cケーブル。USB-IF認証を取得しているため、安全に使えます。
Anker PowerLine II USB-C & USB-C 3.1 (Gen2) ケーブル (0.9m)

Anker PowerLine II USB-C & USB-C 3.1 (Gen2) ケーブル (0.9m)


■Anker PowerPort Speed 1 PD30
USB Power Delivery対応で、ノートパソコンやスマホ、タブレット端末等のUSB Type-C対応機器を最大30Wで充電できる。101gと軽量で折り畳み式プラグのため、旅行にも最適(世界各国の電圧に対応(AC 100-240V))。

Anker PowerPort Speed 1 PD30

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■Anker PowerCore+ 20100 USB-C
USB Type-Cポートを搭載し、新しいMacBookの充電に最適。20100mAhの超大容量により、iPhone 6に7回以上充電が可能。また、一回の充電で新しいMacBook、iPhone、iPad Air 2の3台を同時に満充電できる。
Anker PowerCore+ 20100 USB-C

Anker PowerCore+ 20100 USB-C



エレコムのおすすめUSB Type-C関連アイテム

■MPA-CCRL07BK
スマートフォンを初めとしたモバイル端末で利用するのに最適。巻取りタイプなので、コンパクトに持ち歩くことができる。
MPA-CCRL07BK

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■MPA-ACCFS154BK
家庭用コンセントからタブレット・スマートフォンを急速充電できるAC充電器。
3Aの高出力タイプで、コネクタUSB Type-Cケーブルを同梱している。Type-Cケーブルが一体になった型もあり、そちらは少し価格が抑えめ。
MPA-ACCFS154BK

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■MPA-CCC05BK
USB Type-Cコネクタに対応の車載充電器。巻取り式のUSB Type-Cコネクタと、おまかせ充電に対応したUSBポートを搭載し、合計最大出力5.4Aの高出力でスマートフォンやタブレット2台を同時に充電できる。
MPA-CCC05BK

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