キャリア回線からの乗り換えをする前に知っておきたいコトとは

すっかり一般にも普及してきた感がある格安スマホ、格安SIM。キャリアのスマホに比べればグッとお安くスマホを使えるのは魅力ですが、今までキャリアのスマホだけを使ってきた人にとっては、環境が大きく変わることになります。

ここではそんな格安スマホ、格安SIMのメリット・デメリットをご紹介していきます。
いろいろ。

格安スマホと格安SIMもいろいろ。



格安SIM、格安スマホのメリットは?

まずは格安SIMのいいところ、メリットをご紹介します。

■スマホや回線を自由に選べる
大手キャリアでは回線とスマホをセットにして販売しています。契約する回線によって、ユーザーの選択できる端末が決まってしまうことになります。たとえば、現在、京セラのTORQUE(トルク)というタフな携帯電話(スマホではない)が一部で人気ですが、同機はauでしか契約できません(もっとも、この携帯電話はSIMフリー版が日本国内では正規販売されていないので、格安SIMでも使うことができないのですが)。

また以前までは、サムスンのギャラクシーがドコモでしか販売されないとか、ソニーモバイルのXperiaがソフトバンク回線向けでは販売されないなど、端末の選択にはさまざまな制約があったのです。

さて、現在、日本のSIMフリースマホのなかで人気があるのは、HUAWEI、ASUS、アップルです。これらはドコモ系の格安SIMであれば、自由にMVNO業者(格安SIMを販売する業者)を選択して、使うことができます。

たとえば、ASUSのZenFone 3は人気機種の1つですが、OCNモバイルONEの回線でも、DTIの回線でも、IIJmioの回線でも自由に組み合わせて使うことができるわけです。
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SIMフリースマホならSIMを選んで使える。写真はZenFone3。


■リーズナブルに使える
格安スマホ、格安SIMはその呼称の通り、キャリアサービスよりもローコストに利用することができます。かつては格安SIM系列には「通話し放題サービス」が一般的ではなかったため、その点においてキャリアは優位でしたが、最近では多くのMVNO業者が通話し放題オプションを用意しているため、実用的にはほぼ同等に近くなってきています。

ちなみにこの通話し放題というのは無制限に話し放題というわけではなく、メインストリームは5分か10分間以内の通話であれば、何度使っても無料というもの。

以前、総務省で携帯電話による通話の平均時間を調査したところ、4分台だったので5分以内であれば多くの人のほとんどの通話をカバーすることができる、という考えです。

なお、現在のMVNO業者では5分以内の通話し放題オプションを用意しているものがほとんどで、10分以内に対応するのは多くない感じです。

では具体的にどれくらいリーズナブルなのでしょうか。5分間以内は通話し放題な、UQモバイルの「おしゃべりプラン」を例にした場合、端末をASUSのZenFone 3 Deluxeを利用すると想定して、他社からMNPして使うと、おしゃべりプランMで初年は毎月2980円、2年目以降で毎月3980円となり、キャリアスマホを使う場合のほぼ半額程度で済みます。

また、最近ではファーウェイNOVA liteやMOTO G5など端末価格が2~3万円程度でも十分に使える格安スマホがいろいろ登場するなど、よりリーズナブルに使いやすい環境が整ってきています。

■スマホ端末が気に入らなければ、買い換えることができる
キャリアでスマホを契約すると、通常2年間は同じ端末を使い続けなければなりません。そのスマホが自分にマッチしていればいいですが、使ってみて「これは違う」と思った場合でも2年間、使い続けなければならないのがつらいところです。もちろん、違約金を払えばキャリア端末でも買い換えることができますが、それは避けたいところです。

これが格安スマホであれば、回線はそのままに端末を買い換えて、SIMを差し替えるだけで同じ電話番号を使い続けることができます。

また、仕事で急に自分が必要とする機能が変わったりした場合でも柔軟に対応することができます。
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専用プレイヤー並の音楽再生機能を持つオンキヨー「グランビート」。


■デュアルSIM(DSDS)機種なら海外で便利
最近ではZenFone 3やレノボ MOTO G5などのようにSIMのスロットを2つ持ち、かつどちらのSIMでも必要に応じて通話回線にしたり、データ通信に使ったり、必要に応じて切り替えることができるものがあります。

そのため、海外に行って現地のSIMを使う場合でも、日本のSIMと現地のSIMの両方を挿して、切り替えて使うなど、手間がなく使うことができます。日本国内で使うにしても、通話とデータを異なるSIMで使うなど、自由度の高い使い方ができます。

大手キャリアも現在では海外のほとんどの国で現地の通信会社と契約し、現地のモバイル通信が使えるように配慮していますが、利用料金はやや高いのがネック。ドコモの「海外パケ・ホーダイ」は1日最大2,980円になるなど、割高感があります。

ただし、キャリアの場合はSIMを入手するなどの手間をかけずに使えるので、短期間の滞在で時間的な余裕がない場合などは便利という考え方もあるでしょう。
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DSDS対応なら、2つのSIMを切り替えて使える。

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DSDSに対応するMOTO G5 Plus。



格安スマホ、格安SIMのデメリットは?

それでは、デメリットにはどんなものがあるでしょうか?

■サポートが弱い?
格安スマホを使うには、モバイル回線と格安スマホの用意が必要なわけですが、大きくわけると2つの方法があります。端末を入手して、回線を別に入手する方法。そして、回線とスマホを同じ業者から手に入れる方法です。

前者はたとえば、OCNモバイルONEのモバイル通信とASUSのZenFone 3とか、nuroモバイルの0 SIMとファーウェイのNOVAを組み合わせて使うような場合です。これに対して後者はTONEモバイルやUQモバイルのように回線と端末を両方提供しているような場合です。

この2つの大きな違いは、別々に入手した場合はサポートが分散してしまい、1つで入手した場合よりも問題解決に時間がかかる可能性があるということです。一方、後者の場合は、TONEは端末も自社で開発しているので、回線から端末まで同社のものであるため、サポートレベルが高くなります。ちなみにそのようなことをしているのは、日本ではTONEだけになります。

とはいえ、TONEモバイルはTONEのために1機種だけを提供しているので、高性能なスマホを使いたいとか、カメラ機能に優れたスマホを使いたい人などはUQモバイルのほうが合っているでしょう。
TONE

スマホ本体も自社で提供するTONEモバイル。


■格安SIMはキャリア回線ほど高速じゃない
大手キャリアの回線と端末のなかでも高速なものでは、今やドコモは公称でダウンロードで最大500Mbpsにも達しています。実際に東京都内で使用すると、100Mbpsも出れば速いほうなのが現実ですが、普通のスマホの用途の実用レベルを超えて速い速度が実現しているため、特に問題はありません。

これに対して、格安SIMの回線はそこまで高速ではありません。「ドコモ回線網を使用」とアピールしているものもありますが、これは言葉のままにドコモの回線網を使用していることを表しているにすぎず、その格安SIMの通信速度がドコモと契約しているスマホ並みであることを示しているわけではありません。

これは手元にドコモと契約しているスマホがなくても簡単に試すことができます。「ドコモスピードテスト」というドコモが提供している通信速度測定アプリでは、その場所でのドコモ回線の平均値を知ることができます。

とはいえ、格安スマホの回線も多くの場合は実用レベルの通信速度は出ているので問題にはなりません。たとえば、YouTube動画をHD解像度で表示させるのであれば5Mbps程度も出ていれば十分だからです。

多くの人のスマホの用途はメールやメッセンジャー、FacebookなどのSNSですが、このような用途であれば、通信速度は500Kbpsも出ていれば普通に使えてしまうので問題にならないのです。
スピードテスト

ドコモ回線の通信速度がわかるドコモスピードテスト


■APN設定が面倒?
格安スマホと格安SIMを別々に購入した場合、SIMの通信のためのAPN情報をスマホに設定する必要があります。また、モバイル通信のための設定を選択する必要があります。これはキヤリアのスマホを使っている場合、あらかじめ設定されており、ユーザーが設定する必要がないので、ちょっと面倒に感じるかも知れません。

このAPN情報というのは通信のために必要な情報なわけですが、最近の国内のSIMフリースマホでは代表的なMVNO業者のAPN情報をあらかじめセットした状態で販売することが多くなっており、APN情報に関しては自分の使っているものを選択すればイイだけになってきています。

また、ユーザーが自分で入力するにしても、あまり項目が多いわけでもないので、数分で入力できます。

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最近は標準で多くの格安SIMのAPN設定を持っていることが多い。写真はZenFone3。


■端末、回線の選択が難しい
現在、日本国内では膨大な数のSIMフリースマホが販売されていますし、格安SIMの回線業者もかなりの数になります。そのため、どれを選択するか? が難しい状況になっています。

自分に合った格安SIMや格安スマホを選択するには、普通に大手キャリアの端末を購入するよりも知識が必要になり、いろいろ勉強をする必要があります。
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※機種やOSのバージョンによって画面表示、操作方法が異なる可能性があります。