洋食・レストラン/おすすめのホテルレストラン

パレスホテル東京に学ぶ、ホテルのフランス料理の魅力

ホテルのビジネスは好調ですが、ホテルのレストランとなると少し事情は異なっています。特に、敷居が高いと思われているホテルのフランス料理は、少し勢いが落ちているのです。ホテルのフランス料理の素晴らしさを知っている私からすれば非常にもったいないことなので、その魅力についてご紹介します。

東龍

執筆者:東龍

ブッフェ・フレンチガイド

ホテルのフランス料理

ホテルのビジネスは好調で、特に海外からの宿泊者が増えており、宿泊稼働率が高くなっています。しかし、国内の需要をみてみると、宿泊はよいものの、ホテルのレストランは敷居が高いと思われています。ホテルのフランス料理ともなると、なおさら敷居が高く感じられる人も少なくないでしょう。

最近では、新しいホテルがオープンする時にフランス料理店がなかったり、ホテルがリニューアルする際にフランス料理がなくなってしまったりと、ホテルのフランス料理は少し勢いがなくなっているように思えます。

ホテルの居心地のよさ、ホテルのフランス料理の素晴らしさを知っている私からすれば、これは非常にもったいないことです。

ホテルのフランス料理であれば、異性とのデートにはもちろん、接待などの仕事での利用でも、友人との食事にも、親類を集めての会食でも、様々なシチュエーションでお勧めできます。

ホテルのフランス料理の素晴らしい点を挙げると、以下の通りです。
  • 空間に余裕がある
  • サービススタッフが充実している
  • よい食材が安定して供給されている
パレスホテル東京「クラウン」を例に挙げて、ホテルのフランス料理の素晴らしさを説明しましょう。

空間に余裕がある

エントランスとアプローチ

エントランスとアプローチ


レストランは「3割が食材費で、3割が人件費」と言われており、それが大きなコストになっていますが、レストランを形成する空間や内装、さらにはテーブルウェアにも、もちろんお金がかかっています。ホテルの場合にはレストラン自体はもちろん、館内が余裕を持って作られていることが多いので、とても優雅に過ごせます。

レストランのドアを開けたらすぐ目の前がダイニングというのでは味気ないでしょう。ウェイティングスペースで身なりを整え、アプローチを経て心の準備をしてから、ダイニングへと到着した方が、胸が高鳴ります。デートであればドキドキと高揚しますし、接待であれば、最初に歩きながら軽い会話を交わした後に、着席して相手と顔を付き合わせた方がよいでしょう。

内観と景色

内観と景色


テーブル間隔が広いことも特徴です。友人や親類で食事している時に、リラックスしたり楽しくなったりして声が大きくなっても、隣のテーブルと離れているので、それほど気にする必要はありません。デザートやフロマージュのワゴンなども余裕を持って通れるので、サービス演出の幅も広がって、より楽しくなります。テーブル自体も広いので食べやすいでしょう。

個室

個室


仕事のことで絶対に他の人に話を聞かれたくなかったり、未就学の子供を連れてメインダイニングは利用できなかったりする場合には、個室を使うのがよいです。ホテルであれば、まず必ず個室が用意されています。メインダイニングとは異なる眺望を臨められたり、特別な内装が施されていたりと、新たな発見もあります。

テーブルセット

テーブルセット


クラウンの場合には、サービスプレートがレイノーでカトラリはエルキューイと普段は利用することのない一流のテーブルウェアで食事を楽しめます。窓の外には内堀通りが真っ直ぐ伸びており、500本のワインセラー(メインダイニングのセラー以外も含めると全部で1100種類)、ホテル全体で700点の館内アートなど、ホテルならではの豪華さです。

サービススタッフが充実している

ホテルでは、サービススタッフの数が多いです。1人のサービススタッフが担当するテーブルが少なくなるので、その分だけ担当するテーブルに気を配ることができます。1人1人のサービススタッフは、サービスのノウハウが蓄えられたホテルでしっかりと教育を受けているので、サービスの質も高いです。

料理やワイン、マナーで分からないことがあったり、何か失敗したりしても、さりげなくフォローしてくれるので、デートの時にも恥をかきません。誰がホストで誰がゲストかを配慮してくれるので、接待の時にも安心して利用できるでしょう。

子供を連れている場合には、子供向けの食器セットやチャイルドシートを当然のように用意してくれます。それだけではなく、例えば、食事の時間が長くなって子供が飽きてきた時には、お絵かきセットを持って来てくれたり、子供の相手をしてくれたりすることすらあるのです。

ワインセラー

ワインセラー


フランス料理であればソムリエが必ずいるので、ワインのことを何でも教えてくれます。最近ではヨーロッパのワインだけではなく、南米やアフリカのワインや日本酒に精通しているソムリエも少なくないので、お酒のことなら何でも訊いてみましょう。

ホテルにはサービスの知見がたくさんあるので、いかなるシチュエーションにおいても、安心して食事を楽しむことができるのです。

また、知る人ぞ知ることですが、日本で初めてのソムリエは、当時パレスホテルに在籍していた浅田勝美氏です。

よい食材が安定して供給されている

ホテルには宿泊者だけではなく、宿泊していない人もレストランや宴会場を使うので、たくさんの食材が必要となります。たくさんの食材を購入するために購買部が存在しています。購買部がよい食材を適切な値段で購入することによって、ホテルの食材を安定させているのです。

ある料理が食べたくて訪れたら、品切れとなっていたり、今日は提供していなかったりということは、予約していても起きうることでしょう。しかし、ホテルでは購買部がしっかりとリスク分散しているので、まず大丈夫です。

大切なデートや接待で希望するものが食べられなければ残念な雰囲気になってしまうだけに、料理が安定して供給されていることは重要です。

また、フランス料理ではトリュフやフォアグラ、ジロール茸やトランペット茸などのフランス産キノコ、鴨や鹿といったジビエなど、特別な食材を使いますが、ホテルだと質量ともに安心できます。またワインも豊富です。フランスやイタリアはもちろん、先程も述べたようにバラエティに富んだワインを用意しています。

シャンパーニュのワゴン

シャンパーニュのワゴン


通常はコスト削減のために、何種類ものシャンパーニュをグラスで用意したがりませんが、クラウンの場合には、食事前にシャンパーニュがワゴンで運ばれてきて、4種類ものシャンパーニュをグラスでオーダーできます。最後に飲むデザートワインも5~6種類用意されているので、ワインを選ぶ楽しみが広がるでしょう。

ここまで説明してきたところで、次のページではホテルのフランス料理そのものの素晴らしさをお伝えします。
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