有田焼創業400年を記念し、佐賀県有田町を中心とした全国各地で様々なイベントが行われています。1616年、朝鮮より連れてこられた陶工・李参平は、有田にて日本初の磁器の焼成に成功し、そこから磁器作りが発展した、といわれています。

有田を訪ねると、有田焼陶祖の神である陶山神社の奥の高台に李参平の記念碑があり、そこからは有田の街を一望に見渡すことができます(陶山神社は鳥居や狛犬なども磁器でできた珍しい神社なので、併せて訪ねると面白いと思います)。

佐賀の焼き物を使って楽しむ、期間限定の体験型美術館 「USEUM ARITA(ユージアム アリタ)」

佐賀が誇る人間国宝などの器を使い、佐賀の食材を使った料理を楽しむ体験型施設「USEUM ARITA」が11月27日までの期間限定でオープン。今回はこちらを訪問し、実際に料理を味わい、器を体感してきましたので、その様子をご紹介します。

ガラス張りの温室がいきなり登場してインパクト大!

ガラス張りの温室がいきなり登場してインパクト大!


ロゴマークは、器のイメージと口元のスマイルを表現しているのだとか。

ロゴマークは、器のイメージと口元のスマイルを表現しているのだとか。


JR有田駅からは徒歩12分くらい。九州陶磁文化館の隣に、大きなガラス張りの明るい温室のような建物があります。天井が高く開放的な、この建物がUSEUM ARITAです。佐賀が誇る究極の器を使って「朝御膳」「昼御膳」やカフェを楽しむことができます。佐賀出身の建築家・西村浩氏が代表を務める建築事務所ワークビジョンズが設計を行っています。

お客様は前もって予約してくる方が多く、私達が訪ねた時は、ほぼ満席でした。県外から来る方も多いそうです。食事の場合は予約をした方が、スムーズに席に着くことができるようです。(カフェタイムは予約不可。お隣の九州陶磁文化館を鑑賞した帰りにお茶することも可能です。)地元の陶芸家がふらりと訪ねて来ることもあり、私達が行った時は、人間国宝の井上萬二さんが食事を楽しみにいらしておりました。

店内レストランスペースの様子。天井が高く気持ちよい空間です。

店内レストランスペースの様子。天井が高く気持ちよい空間です。


料理は、地元有田にある料理店のメンバーが中心となって考案したそうですが、「器を主体として料理を考える」という、新しい試みを行っています。佐賀を代表する人間国宝と三右衛門の器を使用。井上萬二窯、弓野窯(中島宏氏)、今右衛門窯、柿右衛門窯、中里太郎右衛門陶房の5つの窯元です。御膳は1つの窯元をフルセットで使うスタイルです(どの窯元かは来てのお楽しみ)。

柿右衛門窯の器を使った和食の昼御前セット。

柿右衛門窯の器を使った和食の昼御前セット。


彩もカラフルできれい。野菜を中心に佐賀の食材がたっぷり。

彩もカラフルできれい。野菜を中心に佐賀の食材がたっぷり。


メニューには季節感を盛り込み、シーズンで内容を変えています。10月23日までの昼御膳では、和食と中華の2種類から選べ、和食には玄界灘甘鯛、中華には佐賀牛がメインの食材として使われていました。厳選された佐賀の食材を使った料理が美味しいのはいうまでもなく、野菜がたっぷり使われているのも嬉しい試みです。

実は佐賀県は農業が盛んな県であり、稲作も多く行われ、そのクオリティが高いことでも知られています。美味しいごはんと野菜をしっかり味わって欲しいという想いが、料理に表現されているように思います。

さて、ここでは器とのマリアージュも楽しみのひとつ。器の形や絵柄と料理の盛り付け方に、さりげない工夫が凝らされています。なかなか普段気軽に使うことなどできない特別な器ですが、そんな器を実際手に取りながら食事をするというのは、そうそうない贅沢な体験でもあります。

この日に私が使ったのは柿右衛門窯でしたが、ほんのり温かみのある白色の素地に、余白を適度に入れた赤絵の小花模様が上品でエレガントな器でした。絵柄に合わせて料理も彩を持たせ、着物の柄のような華やかな雰囲気がありました。高価なものではあるので、手にするのは一瞬ドキドキしますが、繊細な薄さや手触り、程よい重さや持ちやすさなど、使い勝手の良さの方に目が行き、適度な緊張感と共に、心地良く堪能させていただきました。

料理の最後にはデザートも付き、有田の郷土料理である呉豆腐(豆乳を葛などで固めたもので、モチモチとした食感)に抹茶や黒蜜をかけたものと嬉野茶が出てくるのは、この土地らしさがあって良いものでした。

こちらは今右衛門窯に佐賀牛のゴージャス中華風ランチ。

こちらは今右衛門窯に佐賀牛をのせたゴージャス中華風ランチ。


デザートも付きます。お茶を淹れたカップは、パリのメゾン・エ・オブジェで発表された源右衛門窯の最新作。

デザートも付きます。お茶を淹れたカップは、パリのメゾン・エ・オブジェで発表された源右衛門窯の最新作。


USEUM ARITAは、極上の器で料理を味わう他に、内装や展示も興味深く楽しめます。天井からぶら下がるたくさんの植物をよくよく見ると、全て陶磁器の皿や碗が植木鉢替わりに使われています。インフォメーションカウンターのテーブルの下には無数の豆皿が敷き詰められていて、自分だったらどれが欲しいかなぁとつい目を泳がせてしまいます。

ハンギングされたグリーンをよーく見ると鉢の部分がお茶碗です。

ハンギングされたグリーンをよーく見ると鉢の部分がお茶碗です。


カウンターのガラステーブルの中には、有田焼の豆皿がぎっしり。

カウンターのガラステーブルの中には、有田焼の豆皿がぎっしり。


建物の半分は現代の有田焼の展示スペースになっています。「呑む」「設える」「生ける」「灯す」「遊ぶ」「旅する」「贈る」という各テーマを設け、それに合わせた最新作が展示されています。

有田焼創業400年に合わせ、主に海外に向けた展開として、現在進んでいる17のプロジェクトの発表の場ともなっています。2015年に行われたミラノ万博や、パリの国際見本市メゾン・エ・オブジェへの出展作品、オランダ大使館との交流から生まれたクリエイターとのコラボ作品など、海外視野のものが多く、これからを担う新しい有田焼の姿を垣間見ることができます。

「贈る」をテーマにした展示。「このまま下さい」というお客様もいました。

「贈る」をテーマにした展示。「このまま下さい」というお客様もいました。


「遊ぶ」がテーマ。ミラノ万博で発表された有田焼のガチャガチャ!

「遊ぶ」がテーマ。ミラノ万博で発表され、現地で大人気だったという有田焼のガチャガチャ!


USEUM ARITAではたくさんの器が展示されていますが、残念ながらこの場所で購入はできません。窯元に関する情報を得る場所として機能しています。「産地に来てリアルな有田を感じてもらう」ことがコンセプトのひとつでもあることから、ここがハブとなって、気になる窯元へ実際に出向き、作業の現場を見たり、作り手と話をしたりしながら、有田焼ともう一歩深いつながりを持ってもらいたいという思いがあります。

USEUM ARITAを起点とし、有田の街を自由に回遊して、作り手との交流の場を増やすことがこの場所の存在意義でもあるのです。実際に、器について聞いてくる人が、その後窯元や商店を直接訪ねていることもよくあるそうです。

有田焼の作品展示スペース。展示台は地層を表現し、陶石が生まれる様子をイメージ。

有田焼の作品展示スペース。展示台は地層を表現し、陶石が生まれる様子をイメージ。


秋の有田では他にも催しがもりだくさん。10月より「有田まちなかフェスティバル」として、100以上ものイベントが行われ、賑わいをみせています。「秋の有田陶磁器まつり」も開催(11月19日~27日)。さらに佐賀市では、佐賀インターナショナルバルーンフェスタもあります。ぜひこの時期の有田の街を訪れ、有田焼創業400年の歴史を体感してみて下さい。

次回は有田の窯元をいくつかご紹介します。

■USEUM ARITA
会期:2016年8月11日(木)~11月27日(日)
会場:九州陶磁文化館 アプローチデッキ
佐賀県西松浦郡有田町戸杓乙3100-1
予約受付ダイヤル(USEUM ARITA内):0955-41-9120
受付時間:10:00~16:30
http://anniversary.arita-episode2.jp

※※予約受付ダイヤル、またはUSEUM ARITAでの事前予約が可能。予約は朝御膳と、昼御膳の席のみで、カフェ利用の予約は出来ません。料理の内容は季節で変わります。また、器を選ぶことは出来ません。空席があれば当日席も利用できますが、待ち時間をなくすためには事前の予約をおすすめします。



【編集部おすすめの購入サイト】

楽天市場で人気の雑貨を見る

Amazonで人気の雑貨を見る

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。