ジュニアグランプリシリーズ
シニアよりも少し早めのスタートとなるジュニアでは、すでにグランプリシリーズ全7大会中5大会が終了し、現在6大会目が開催中です。ここまでの5大会では、日本選手たちが大活躍を見せています。表彰台に乗った日本選手たちは以下の通りです。
▼男子シングル:島田高志郎(フランス大会3位)、友野一希(スロベニア大会3位)
▼女子シングル:坂本花織(フランス大会2位、日本大会1位。ファイナル進出決定)、新田谷凜(フランス大会3位)、紀平梨花(チェコ大会2位、スロベニア大会1位。ファイナル進出決定)、本田真凜(日本大会2位、スロベニア大会2位)、山下真瑚(日本大会3位)
▼現在までのジュニアグランプリのポイント順位
男子シングル/女子シングル(順位表・英語サイト)
残り2大会の行方によって、ジュニアグランプリファイナルに進出する選手が決まります。その動向はもちろんですが、試合ごとに進化を見せる選手たちのはつらつとした演技、怖いものなしのまっすぐなスケート……そういった若々しい時代の息吹を感じるのが、ジュニアグランプリのひとつの楽しみでもあります。
これまでのシニアの主な大会
シニアに目を向けてみましょう。まず、9月8~11日にはベルガモ(イタリア)で、ロンバルディア・トロフィーがありました。男子シングルでは、宇野昌磨が優勝しました。きれいな着氷とはならなかったものの、ショートプログラムで1つ、フリーで2つの4回転フリップを組み込み、フリーではさらに4回転トウループをきれいに着氷して、シーズン序盤から、世界に彼の存在感を見せつけました。
女子シングルでは、今シーズンからシニアに上がる高校1年生の樋口新葉が優勝。ショートプログラムでは、後半に3回転ルッツ+3回転トウループを入れるなど、シニア国際大会デビューを優勝で飾っています。
その翌週14~18日には、ソルトレイクシティ(アメリカ)で、U.S.インターナショナル・クラシックが開催されました。
男子シングルに出場した無良崇人は2位。女子シングルでは、宮原知子が優勝を果たしました。さらに、結成2シーズン目のアイスダンスカップル、村元哉中&クリス・リードが、嬉しい国際大会初表彰台の2位に輝いています。
さらに翌週の22~24日には、オーバストドルフ(ドイツ)でネーベルホルン・トロフィーが開かれました。
男子シングルでは川原星が9位となり、女子シングルでは今年シニアに上がった高校2年生の三原舞依が、ショートプログラム2位から逆転優勝を果たしました。若年性突発性関節炎と戦いながら競技を続けている三原選手。シーズン序盤とはいえ、2季前の世界女王・エリザベータ・トゥクタミシェワ選手を抑えたことは、大きな自信になったことでしょう。
こうした、シーズン序盤の大会の楽しみは、プログラムの全貌が見られるところ。夏の間のアイスショーでショートプログラムやフリーの一部を見ることはあっても、競技用リンクより小さなショーのリンクでは、スピード感やジャンプやステップの迫力を競技会ほどまで感じることはなかなか難しいものです。
さらに、新しいコスチュームはどんな感じなのか、ジャンプ構成はどうなっているのか、など、それぞれの選手のこのシーズンにかける思いが、シーズン序盤の競技会からは立ち上ってきます。そんなことを感じながら見るのが、10月下旬にグランプリシリーズがスタートする前くらいまでの楽しみかもしれません。
全日本選手権にむけて
年末の、全日本選手権にむけた地方大会も始まっています。全国に先駆けて、東京、中国・四国・九州の選手たちにとっての全日本選手権までの道のりのスタート、東京選手権(通称:東京ブロック)と中四国九州選手権(通称:中四国九州ブロック)が23~25日に開催されました。
今週末からは、他地域のブロック大会も開かれます。
9月29日~10月2日 関東選手権(通称:関東ブロック)(ひたちなか市)
9月30日~10月2日 中部選手権(通称:中部ブロック)(長久手町)
10月7日~10日 東北・北海道選手権(通称:東北・北海道ブロック)(八戸市)
10月7日~10日 近畿選手権(通称:近畿ブロック)(高石市)
ブロック大会の次のステップである東日本選手権や西日本選手権にどんな選手が進むのかと、じっくり演技を見るのが楽しいブロック大会。とはいえ、それだけでないのもブロック大会の楽しさです。
有名だったりそうではなかったり、難しいジャンプが跳べたり跳べなかったり、こちらが見たことのある選手だったり初めての選手だったり、ブロック大会にはいろいろなスケーターがいます。
ですがそういったことに関わらず、まったく知らなかった選手の演技に感激したり、「この選手のこういうところいいなあ」と感じたり、また次の年に同じブロック大会で1年ぶりに同じ選手を見て「去年よりスピードが出ているような気がする」とか「スピンが速くなったかもしれない」、「大人になったなあ」などとぼんやり思ったり……そういった、テレビでトップ選手たちを見ることからだけではわからないかもしれない魅力がフィギュアスケートにはあり、ブロック大会やもう少し小規模の大会には、そういった魅力が詰まっているように感じます。
ブロック大会は、見に行こうと思えば基本的にはぱっと行ける大会です。テレビ放送はない、動画サイトにもアップされない、映像記録が残らない、自分の記憶だけが頼りだからこその観戦のよろこび、というものを、ぜひ感じていただければと思います。
今週末の3つの試合と、それから
今週末にも、いくつかの大会が予定されています。ヨーロッパのブラチスラバ(スロバキア)ではオンドレイ・ネペラ・メモリアルが開催され、日本からは、村上大介と宮田大地が出場しています。この大会は、ライブストリーミングで観戦できるようです。
北米のモントリオール(カナダ)では、オータム・クラシック・インターナショナルがあり、羽生結弦、本郷理華、木原万莉子が出場します。
こちらもライブストリーミングで演技を楽しむことができそうです。世界中からたくさんのファンがPC経由で演技を見ることになるため、動画の具合がどの程度になるか気になったりもしますが……。
さらに日本のさいたまでは、ジャパンオープンが開催されますので、会場に足を運ぶ方も少なくないでしょう。この大会は、日本、北米、ヨーロッパの3チームによるチーム戦となり、各地域とも男女シングル選手が2名ずつの4名が出場して、その合計点で順位が決まります。
出場選手は以下の通り。
▼日本:宮原知子、樋口新葉、宇野昌磨、織田信成
▼北米:アシュリー・ワグナー、グレイシー・ゴールド、アダム・リッポン、ジェレミー・アボット
▼ヨーロッパ:エフゲニア・メドベージェワ、アンナ・ポゴリラヤ、ハビエル・フェルナンデス、フローラン・アモディオ
その他ゲストスケーターの演技や、同日夜に開催されるカーニバル・オン・アイスでの趣向の違った演技も楽しめます。
さらに次の週になりますが、10月6日~フィンランドで開催されるフィンランディア・トロフィーには浅田真央が出場を予定しており、これで、日本のトップ選手たちのほぼ全員が、シーズンをスタートさせることになります。
今回は日本選手たちの出場試合に注目しましたが、もちろん日本以外の選手たちの新シーズンもとても楽しみです。来年春までの長いような短いようなスケートシーズンですが、ライブストリーミングや動画サイトを見たり、ときにはブロック大会の会場に足を運んだりして、シーズン序盤の選手たちのいきごみを感じるのが、この時期の楽しみのひとつです。