食材を“あたためる”ではなく、“よみがえる”ヘルシオの技術
2000年以降、日本の世帯環境は大きく変化した。1980年には614万世帯とまだ少数だった共働き世帯は、2000年近辺を境に専業主婦世帯を上回り、2015年には1114万世帯にまで増加。これは1980年の専業主婦世帯と同数で、35年のあいだに世帯構成は完全に逆転したことになる。また、厚生労働省が平成27年に行った国民生活基礎調査によれば、全世帯の50%が少人数世帯だという。世帯環境の変化は、食のスタイルにも影響を与えている。代表的な例が、調理済み商品を自宅で食べる“中食”市場の拡大だ。パン食が増加し、有職主婦の増加によりお惣菜市場の伸びも著しい。また、忙しい共働き世帯では冷凍食品やホームフリージングした作りおき料理が欠かせない存在だ。
このような現代の食スタイルにおいて、“食材の加熱”は欠かせない行動のひとつ。その役割は電子レンジやトースターオーブンが長らく担ってきたが、ほとんどのケースにおいて、仕上がりは食材を“あたためる”に留まっていた。今回発売されるグリエが目指すのは、食材を“あたためる”のではなく、作りたてのように“よみがえる”加熱。そしてそれを実現するのが、シャープが12年にわたって培ってきたヘルシオの技術だ。
かなりスゴイ、水で焼く「過熱水蒸気」という技術
100℃で気化した飽和水蒸気をさらに加熱した、高温で無色透明の気体“過熱水蒸気”によって、ヒーターによる熱風ではなく“水で焼く”ヘルシオの技術。「水で焼く」と言われてもピンと来ない人は、100℃の熱湯風呂とサウナを想像してみるといい。同じ100℃でも、前者は大火傷だが、後者は問題なく入ることができる。その理由は、空気(サウナ)と水(風呂)では熱量が異なるから。ヘルシオで使われている過熱水蒸気の熱量は、通常の熱風に比べて約8倍もあるため、加熱する力も非常に高くなるわけだ。
加えて、過熱水蒸気には温度が低い方により多くの熱を与えるという特性もある。これらの特徴によって、グリエの食材が“よみがえる”加熱は可能となった。
たとえば、従来までのトースターとグリエで、それぞれ冷凍の鶏の唐揚げを8分加熱した場合、前者は中心部がまだ冷たいうえに表面が黒く焦げてしまうのに対して、後者は中心までしっかりと熱が通り、かつ焦げもない仕上がりになる。
また「パンと簡単な焼き物に生の卵」といったまったく異なる食材も、前述した“特性”のおかげで同時調理が可能。さらに、水蒸気を使っているのでトースターは水分量が保たれて、焼きたてのようなもっちりとした仕上がりになるのだ。
過熱水蒸気の熱量の高さは、食材の脂を表面に浮き出させる効果も生む。それ加えて、庫内の水分が余計な油を水の膜で包んで落としてくれる。シャープの調査によれば、えびの天ぷら1人前(エビ天4尾 125g)をグリエで過熱すると約4グラムの脱油効果が期待できるそうだ。仮に1年間・毎週食べた場合は300mlの油がカットされる計算となる。つまり、グリエの過熱は“ヘルシーな加熱”でもあるというわけだ。
そのほか、グリエでは簡単な調理にも対応。うなぎの白焼き、しいたけのバター焼き、牡蠣のガーリック焼きといった酒の肴にピッタリなレシピもあるようなので、家飲み派の人も楽しめるだろう。
操作は「水をセット、パワーを設定、タイマーオン」の3ステップ
じつは、ここまでに紹介したグリエによる過熱・調理は、既存のヘルシオ(オーブンレンジ)でも実行できるものである。では、グリエは下位互換なのかというと、そうではない。決定的な違いとしてまず上げられるのが、過熱・調理をする際の手軽さだ。グリエでは、水が入った専用ケースを本体上部にセットすると電源がオンになり、あとは本体右側にあるツマミ部分で過熱水蒸気のパワーと時間をセットするだけで設定は完了。
パワーの目安は“弱:ふっくら”、“中:サックリ”、“強:こんがり”と感覚的な表現でわかりやすく、かつ代表的な食材ごとの設定時間も書かれているので、失敗する可能性も低いだろう。
優れているのは手軽さだけではない。ヘルシオに比べてグリエは庫内が小さいため加熱効率がよく、同じメニューでもグリエのほうがスピーディーに仕上げることができるそうだ。機能面の違いではないがロゴも注目したいポイント。グリエの本体正面下部にアルファベットで書かれた「HEALSiO」というロゴは、よく見ると「i」の上の点が水滴の形になっているのだ。
惣菜や冷凍食品をより美味しく食べたい人はもちろん、ヘルシオをもっと手軽に使いたいと考えている現ヘルシオオーナーも注目のグリエ。ちなみに本商品、見た目はトースターに似ているがあくまで“ウォーターオーブン専用機”なため、量販店などでの置き場は検討中とのこと。トースターの売り場にはない可能性もあるので、ご注意を。
【関連サイト】
シャープ:ヘルシオ公式サイト