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伝統を発信するイタリア菓子店「ラトリエ モトゾー」

イタリア菓子の「L'atelier MOTOZO ラトリエ モトゾー」が、2016年8月13日、池尻大橋の目黒川沿いにオープン。2014年3月まで表参道にあった人気店「ソル・レヴァンテ」でシェフパティシエを務めた藤田統三シェフが、ついに待望の独立。ティラミスやイタリア流モンブランといった定番菓子はもちろん、伝統的な焼き菓子も並び、さらにスタンディングのバールコーナーも備え、新たな形でイタリア菓子・食文化を発信します。

平岩 理緒

執筆者:平岩 理緒

スイーツガイド

イタリア菓子ならこの人!の藤田統三シェフが待望の自店「L'atelier MOTOZO ラトリエ モトゾー」をオープン

「ラトリエ モトゾー」のオーナー藤田統三シェフ

「ラトリエ モトゾー」のオーナー藤田統三シェフ

2016年8月13日、イタリア菓子を語るうえで外せない人物、藤田統三シェフがついに独立し、自身の名を冠した「L'atelier MOTOZO ラトリエ モトゾー」をオープンしました。東急田園都市線の池尻大橋駅から徒歩3分ほどの立地、目黒川沿いの住宅街の一角にあります。

大阪のイタリアン・バールや、表参道で2014年3月まで多くのファンに愛されたイタリア菓子店&バール「ソル・レヴァンテ」のシェフを務めた藤田シェフ。イタリア各地で現地の食文化を学び、菓子はもちろん、料理や、ジェラート、コーヒーなどに幅広く精通。

古典文献研究に基づくイタリア菓子の発信にも取り組んでおり、「ソル・レヴァンテ」時代にはイタリア本国よりパティスリーでは初めてとなる権威ある認証「イタリアホスピタリティー国際認証マーク<MOI>」も取得するなど、その功績を認められた人物です。

「ラトリエ モトゾー」の「ティラミス」(税別600円)

「ラトリエ モトゾー」の「ティラミス」(税別600円)

イタリア菓子を代表する「ティラミス」も、藤田シェフが作るものは、現地の歴史や伝統にのっとったクラシックなもの。

「ティラミス」は、直訳すると「私を引っ張り上げる」という意味を持つように、リッチな材料を使い元気になれるような大人向けのイタリアンドルチェ。そのため、マスカルポーネのクリームの層は、卵黄の入ったなめらかでコクのある味わい。また、マルサラ酒というイタリアを代表する酒精強化ワインを使っているのも特徴です。

エスプレッソをべースとしたコーヒーシロップをたっぷりとしみ込ませたビスキュイ2枚と層になった味のバランスもほどよく、テイクアウトできるスタイルとして、考え抜かれた構成と食感。日本のイタリア菓子界を代表するティラミスとして、ぜひ召し上がっていただきたい一品です。

「ラトリエ モトゾー」の「モンテ ビアンコ」(税別540円)

「ラトリエ モトゾー」の「モンテ ビアンコ」(税別540円)

また、藤田シェフの代表作と言えるのが、フランス菓子の「モンブラン」と同じ意味を持つ「モンテ ビアンコ」(白い山)。

多くのモンブランは、メレンゲなどの土台に生クリームをのせ、表面を栗のクリームで覆いますが、「ラトリエ モトゾー」の「モンテ ビアンコ」は、逆に、サクサクしたココア味のメレンゲ生地の上に濃厚なマロンクリーム、その上にまるで雪をいただいた山のように、ほんのり甘い生クリームがたっぷりとのせられています。

このお菓子の名前の由来となったアルプス山脈の最高峰の山麓一帯のフランス、イタリア、スイスには、頂きに白い雪をかぶった姿そのもののような姿のデザートが存在しています。本来の郷土菓子としての姿は、栗のクリームの上に生クリームをのせるという、「ラトリエ モトゾー」のスタイルに近いものなのです。

黒に近い焦げ茶色の濃厚なマロンクリームには、以前は2種類の栗素材をブレンドしていましたが、さらに様々な素材を試食検討した結果、現在のレシピは4種類をブレンドし、さらに奥行きのある味わいを生み出しました。そのうちの1種類であるイタリア・ピエモンテ州産のものは、マロングラッセを作る時に形が壊れたものをペーストにしたものなので、味が濃厚で凝縮されています。生クリームも、以前使っていたものと種類を変えて、コクがありつつすっきりした乳風味豊かなものを使用。3つのパーツが見事なバランスで完成されています。

かつては、秋になると、和栗バージョンの「モンテ ビアンコ ジャポネーゼ」も季節限定で作っていらした藤田シェフ。今後また、繊細な和栗版と、洋栗版との食べ比べが楽しめるといいですね!

「ラトリエ モトゾー」の「カーヴォロ」(税別330円)

「ラトリエ モトゾー」の「カーヴォロ」(税別330円)

「カーヴォロ」とはイタリア語で「キャベツ」のこと。イタリアには「Bignè ビニエ」と呼ばれるシュークリーム風の菓子がありますが、フランス菓子でも「シュー」がキャベツのことを差すとおり、藤田シェフらしいオリジナルのシュークリームです。

さらに、通常のシュー生地ではなく、シュー生地とパイ生地とサブレ生地が一体となった、オリジナルの生地となっていて、抜群のサクサク感!中には、とろんとなめらかなカスタードクリームがたっぷりで、食感の対比が楽しめます。

「イタリアでは、“Pasta”(パスタ)というのは生地全般のこと。フランス菓子で生地を指す“pate”(パート)の語源にもなっています」と藤田シェフが仰るとおり、“Pasta”の国・イタリアらしく、塩味もほどよく利かせ、しっかりと焼き上げた生地の旨味を堪能できます。

「ラトリエ モトゾー」の「パンナコッタ アル バルサミコ」(税別430円)

「ラトリエ モトゾー」の「パンナコッタ アル バルサミコ」(税別430円)

「パンナコッタ」は、一般的には、生クリームをゼラチンで固める作り方をする店が多いのですが、藤田シェフの「パンナコッタ アル バルサミコ」は、イタリアの古典文献などを研究してたどりついた、昔ながらの作り方。卵白が入り、蒸し焼きにしているため、少しねっとりした食感と、乳風味がぎゅっと詰まった濃厚な味わいが特徴です。

底には、イタリアのエミリア・ロマーニャ州のモデナ産バルサミコ酢入りのカラメルソースが。ほのかな酸味をほろ苦さが、クリーミーなパンナコッタを引き立てます。飾りには苺や木苺、ぶどうなど季節のフルーツにピスタチオを散らしてあり、白・赤・緑のイタリアンカラーもおしゃれです。

「ラトリエ モトゾー」の「ババ アル ラム」(写真左)と「ババ アル リモンチェッロ」(写真右)(税別各420円)

「ラトリエ モトゾー」の「ババ アル ラム」(写真左)と「ババ アル リモンチェッロ」(写真右)(税別各420円)

お酒が効いた大人向けのお菓子の代表格は、イタリアのナポリ名物の「ババ」。ラム酒の効いた芳醇でコクのあるシロップに生地を浸した「ババ アル ラム」と、リモンチェッロの効いた爽やかでキレのあるシロップに生地を浸した「ババ アル リモンチェッロ」の2種類があるので、これも食べ比べてみると面白いですね。

「ラトリエ モトゾー」の「トルタ ディ リコッタ」(税別450円)

「ラトリエ モトゾー」の「トルタ ディ リコッタ」(税別450円)

チーズケーキが好きな方にお試しいただきたいのは、タルト土台の生地にチーズのアパレイユを流して焼いた「トルタ ディ リコッタ」。黄金の焼き色が美しく、リコッタチーズなので見た目以上にさっぱりして重たさを感じさせないのが特徴。ほろほろとした食感でしっとりした焼きチーズケーキ。リコッタならではのやさしい甘さの中に、レーズンのアクセントが効いています。

「ラトリエ モトゾー」の「トルタ アル リモーネ」(税別450円)

「ラトリエ モトゾー」の「トルタ アル リモーネ」(税別450円)

他にも、「トルタ アル リモーネ」は、酸味の効いたレモンクリームに、ウイキョウなどイタリア料理でもおなじみのハーブを散らしたレモンタルト。

「ラトリエ モトゾー」の「タルティーナ」(税別520円)

「ラトリエ モトゾー」の「タルティーナ」(税別520円)

「タルティーナ」は、ヨーグルトクリームの上にブルーベリーと小さなメレンゲを並べた、見た目も愛らしいフルーツタルトです。

これらのお菓子は、いずれ、店内の壁際に設置されたカウンター席に座っていただくことができるようになります。また、近いうちに、スタンディングのバールコーナーや、川沿いに面したテラス席もオープンし、それぞれの楽しみ方ができるようになるので、楽しみです。

さらに、コーヒーと共に味わうのにぴったりの愛らしいプチサイズのお菓子達や、手土産にしたい個性あるイタリアの伝統的な焼き菓子などをご紹介します

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