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ルール改正など……6月のフィギュア界雑感

2015-16シーズンの締めくくりとなった6月は、2016-17シーズン以降の新しい胎動か感じられる時期にもなっています。その2016年6月の、フィギュアスケート界を大きく振り返ってみます。

執筆者:長谷川 仁美

7月に新シーズンがスタートするフィギュアスケート界にとって、6月は、シーズン締めくくりの月。とはいえ、3月に世界選手権を終えたこともあり、6月のフィギュアスケート界は、もう新しいシーズンに目を向けています。今年の6月、どんなことがあったのか、振り返ってみます。
6月

 


いくつかのルール改正

ISU(国際スケート連盟)の総会で、さまざまなルールが改正されました。改正内容はとても細かく、すべてをここでお伝えできませんが、そのうち、私が気になった改正点をいくつかご紹介します。

■ジャッジの匿名性が廃止される
これまでは、ジャッジパネルに並ぶジャッジの名前は公表されていたのですが、誰がプロトコル(選手の得点表のようなもの)のどの評価をしたのかまではわかりませんでした。

「この評価はこのジャッジによるもの」ということが明確になるジャッジの透明性により、選手やコーチたちは、「あのジャッジからの得点が低かったから、アドバイスを聞いてみよう」などと、演技後にピンポイントでジャッジに話を聞いてよりよいプログラムを作れるようになります。また、ジャッジ側も、今以上にさらに評価に責任を持つことが求められます。

■ジャンプの重複による減点が少し緩和される
ショートプログラムで同じジャンプを繰り返した場合に、2回目のジャンプがコンビネーションだと、「コンビネーションジャンプすべてが0点」とされていました。それが、2016-17シーズンからは、コンビネーションの中の「重複したジャンプのみが0点」となることになりました。

フリーでは、同じ回転数の同じ種類のジャンプは2度まで、と決められています。これには変化はないのですが、そのジャンプを3度目にコンビネーションジャンプ内で跳んだ場合、「コンビネーションジャンプすべてが0点」とされていたものが、「重複したジャンプのみが0点」となることになりました。

■男女シングルでのジャンプ転倒の減点の増加
男女シングルでのジャンプの転倒による減点は、これまでは「1回転倒すると-1点」とされていましたが、今後は、「1回目、2回目の転倒は変わらずにそれぞれ-1点」、「3回目と4回目の転倒はそれぞれ-2点」、「それ以降の転倒は、各-3点」となりました。

■スタート前の時間は全員30秒に

名前をコールされてから演技をスタートさせるまでの時間について、これまでは、グループの最初の滑走者のみ60秒の時間があったのですが、全員30秒となりました。

■選手権大会などでのフリーの滑走順の変更
五輪や世界選手権などのショートプログラムの1~3位は、フリーで4~6番目のどこかで滑ることにすることに。フリー4~6番目の順番は、くじで決めます。

■演技時間の変更
2016-17シーズンから、ショートプログラムは、これまで「2分50秒以内」だったものが、「2分40秒±10秒(2分30秒から2分50秒)」に変更されます。

また、2018-19シーズン以降、男子シングルとペアのフリーは、現在の「4分30秒±10秒(4分20秒~4分40秒)」から、「4分±10秒(3分50秒~4分10秒)」に。そのため、ジャンプなどエレメンツの数が1つ減ることになるようです。

■GOEの評価が11段階に
現在、エレメンツの出来を表すGOEは、「-3~+3の7段階」で評価されていますが、2018-19シーズン以降、「-5~+5の11段階」で評価されるようになります。


引退、カップル解消、カップル結成、移籍など

6月に限らないのですが、世界選手権などが終わった3月頃から、新しいシーズンにむけた選手たちの動向が見えてきました。

中でもビッグニュースだったのが、高橋成美選手柴田嶺選手がチームを結成して新しくペアとして練習を始めたということです(5月半ばに発表されたことでしたが)。

高橋選手は、2012年世界選手権では、マーヴィン・トラン選手とのペアで銅メダリストとなり、木原龍一選手とのペアでは2014年ソチ五輪にも出場しています。
柴田選手は、ビールマンスピンや美しいスパイラルなどが魅力の男子シングル選手として活躍してきましたが、2010年に引退。その後、プロスケーターやインストラクターなどとしてスケート界にいましたが、29歳になった今再び戦いの場に戻ってきた彼と、新しいペアに期待が高まります。

その他、男子シングル界ではベテラン中のベテランの33歳となったコンスタンチン・メンショフが、引退を発表しました。昨シーズンも4回転を複数跳び、2014年にはヨーロッパ選手権3位の成績を残しましたが、以降はコーチなどとしてスケート界に残るということです。


新しいプログラムが少しずつ明らかに

世界選手権が終わると、新しいシーズンのプログラム情報が一気に湧き出してきて、6月に入る前にすでに多くの選手たちの新プログラムが発表になってきました。アイスショーなどですでに、新しいプログラムを披露している選手もいます。

その中で、6月下旬にプログラムを発表したのが、浅田真央選手。ショートプログラム、フリーともに、バレエ組曲『恋は魔術師』の『Ritual Dance』だということ。ショートとフリーで同じ曲を使うのは、浅田選手にとって初めての試みになります。どんな世界観を描くのか楽しみです。

といったように、この時期は、曲のタイトルを見聞きしただけで、「どんなプログラムになるのかな」などと想像するのも楽しいものです。


毎週末、アイスショー

この時期は、週末ごとに全国各地でさまざまなアイスショーが開催されています。現役選手だけでなく、荒川静香さん、高橋大輔さん、鈴木明子さん、織田信成さん、安藤美姫さんらプロスケーターや、海外のハビエル・フェルナンデス選手、ステファン・ランビエールさん、ジェフリー・バトルさん、ジョニー・ウィアさんらも出演して、会場を大いに沸かせています。

7月以降もまだまだアイスショーは続きます。


その他

大変におめでたいニュースがいくつかありました。

鈴木明子さんが婚約し、小塚崇彦さんが結婚披露宴を開き、織田信成さんの奥様が第3子を妊娠中とのことです。また、中国のチン・パン&ジャン・トンペアは、2011年のプロポーズから5年目の今年、結婚しました。

また、ISUの会長が、変わります。これまで22年間は、イタリア人のオッタビオ・チンクアンタだったのですが、オランダ人のヤン・ダイケマとなります。ISUはフィギュアスケートだけでなく、スピードスケートとショートトラックも合わせた3つの競技の連盟なのですが、チンクワンタ氏もダイケマ氏もスピードスケート出身の会長になります。

さまざまな大会の会場などが決まりましたが、2018-19シーズンの世界選手権が、日本・さいたまで開催されることになりました。


2016年6月のフィギュアスケート界は、こんな流れでした。7月は、スケートの新年度がスタートします。

新しいシーズンの幕開けが、少しずつ近づいています。
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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