バイク/バイクのモデル紹介

注目のカフェレーサー対決!ハーレーvsトライアンフ(2ページ目)

今、バイクのカスタムスタイルでもっとも人気を博しているのがカフェレーサー。そんなスタイルをテーマに、ハーレーダビッドソンとトライアンフが新たなバイクを生み出しました。それぞれの魅力を徹底リサーチします!

田中 宏亮

執筆者:田中 宏亮

バイクガイド

王道か異端か キャラクターが明確に分かれた

トライアンフ スラクストンとハーレーダビッドソン ロードスターを乗り比べた

トライアンフ スラクストンとハーレーダビッドソン ロードスターを乗り比べた


同じカフェレーサーをテーマとしていても、メーカーが違うことでこうも異なるキャラクターになるものか……。乗り比べてみた最初の感想がこれでした。まずはスラクストンから。

正常進化を遂げた王道カフェレーサー!

トライアンフ スラクストン レフトビュー

トライアンフ スラクストン レフトビュー


まず軽い! ロードスターの総重量259kgに対して、スラクストンは乾燥重量206kgとあります。燃料類を注入しても、220~230kgのあいだでしょう。セパレートハンドルも、トップブリッジの下にマウントされていつつもグリップする高さ自体はバーハンドルのような場所にあるので、ポジションが楽なのはもちろん、取り回しも容易にしてくれています。シート高はロードスターの785mmに対してスラクストンが805mmと2cm高いので、こちらの方がグッと持ち上げられる感じですね。

ロードスターとスラクストンのポジションを比較。その違いは明白に。

ロードスターとスラクストンのポジションを比較。その違いは明白に。


ポジション比較はこのようになりました。やはりスポーツスターらしいライディングポジションのロードスターと違い、スラクストンのそれはレーシーなスタイルに。とは言っても、実際はハンドル位置もさほど低くなく、ステップも後ろ過ぎないので見た目以上にニュートラルなポジションです。ザ・カフェレーサーなスラクストンと、我が道を貫くロードスター。すでにキャラクターの違いが明白になっています。

往年の英車そのままのフューエルタンク、セパレートハンドル&バックステップ、スポークホイール、メガホンマフラーなどなど、造形へのこだわりを随所に見せるスラクストン

往年の英車そのままのフューエルタンク、セパレートハンドル&バックステップ、スポークホイール、メガホンマフラーなどなど、造形へのこだわりを随所に見せるスラクストン


タンクやシートの造形、セパレートハンドル&バックステップという組み合わせ、ラウンド型ヘッドライト、スポークホイール、左右2本出しのメガホンマフラーと、まさに60'sカフェレーサーを見事に再現しつつ、水冷エンジンには不可欠なラジエターを最小限に食い止めるなど、インダストリアルデザインにかけるこだわりを随所に感じ取れます。

走り出して驚かされたのが、エンジンフィーリング。水冷エンジンということで、シャープで切れ味が鋭い先入観を抱いていたのですが、一瞬「空冷?」と驚いてしまうツインエンジンの味わい深さが再現されているのです。さらにすごいのが、最先端の技術を投入した「ライディングモード」。「レイン」「ロード」「スポーツ」の3パターンはそのテーマどおりのキャラクターを発揮、やや鈍めの立ち上がりでスピンを予防してくれる「レイン」、ニュートラルにエンジンフィーリングを楽しませる「ロード」、よりクイックでレスポンスの良さが魅力の「スポーツ」と、一粒で3度楽しめる仕様になっていました。

さらに、前後17インチホイールという現代のロードスポーツのフットワークを取り入れることで、最高のライディングパフォーマンスを引き出しているのです。これぞネオクラシックの代表格、進化した王道カフェレーサー。本家たるトライアンフの意地と情熱が注ぎ込まれた渾身のモデルと評したいです。

己の流儀を貫くロードスターの楽しみ方とは

スポーツスター本来のスタイリングを軸に、フロント19 / リア18インチホイール化、コンチ型ハンドルバー、ガンファイターシートなど、オリジナリティがふんだんに付与されたハーレーダビッドソン ロードスター

スポーツスター本来のスタイリングを軸に、フロント19 / リア18インチホイール化、コンチ型ハンドルバー、ガンファイターシートなど、オリジナリティがふんだんに付与されたハーレーダビッドソン ロードスター


そんな王道スタイルのスラクストンに対して、まったく違う角度から切り込んできたかのようなロードスター。往年の名車XLCRを知る人なら納得のこのスタイルは、110年以上の歴史を持つハーレーダビッドソンとしての伝統が生んだもの。フロント19/リア18インチというホイールサイズやダークなボディカラーなどはその最たる部分で、そこに最大限まで性能を引き出されたVツインエンジンや43mm倒立フロントフォークといった21世紀バージョンとも言える最新機能が与えられ、歴代最高のパフォーマンスマシンに仕上げられているのです。

ハーレーダビッドソン ロードスター レフトビュー

ハーレーダビッドソン ロードスター レフトビュー


その重量もあって、スラクストンより重ったるい乗り心地のロードスター。しかしながら重心が低く設定されているので、いざ走り出せばその重さに悩まされることはありません。むしろ、スポーツライドを楽しむ際にその重さが良い効果を引き出してくれるのです。

軽快にコーナーを駆け抜けられるスラクストンに対して、ロードスターはその重さをうまい具合に足かせとし、ハイスピードではなくロースピードで気持ち良くコーナリングを楽しませてくれます。独特のポジションはバイクに乗り慣れた人を戸惑わせる部分がありますが、体が馴染んでくれば「この乗り方は今までになかったもの。スポーツライドのスピリットを感じさせる!」と感じ取れることでしょう。

残念なのは、エンジン性能が最大限まで引き出されていないこと。これはアメリカと日本の排ガス規制値の差によるもので、本気のパワーを引き出された海外仕様に乗った経験がある私としては「本気のロードスターはこんなもんじゃない」という想いが残りました。未来のオーナーとなる方は、ぜひコンピューターセッティングを変えるチューニングで、本気のロードスターにしてあげてください。

それぞれが独特の世界観を持つカフェレーサーモデル。あなたの好みはどっち?

それぞれが独特の世界観を持つカフェレーサーモデル。あなたの好みはどっち?


王道のスラクストンと、亜流のロードスター。それぞれに異なる楽しみが秘められており、甲乙つけがたい結果になりました。「これから初めてバイクを買うけど、欲しいと思うバイクの良し悪しがイマイチわからない」という人は、ライバルとなるモデルを探し出し、乗り比べてみると良いでしょう。今回のカフェレーサー対決のように、同じテーマでもここまで違うキャラクターになっていることがあるのです。

まずは乗ってみること、乗り比べてみることです!

>> ハーレーダビッドソン XL1200CX ロードスター試乗記事を読む

[HARLEY-DAVIDSON XL1200CX ROADSTER SPECIFICATIONS]
HARLEY-DAVIDSON XL1200CX ROADSTER(2016)

HARLEY-DAVIDSON XL1200CX ROADSTER(2016)

全長/2,185mm
全幅/840mm
全高/1,080mm
ホイールベース/1,505mm
シート高/785mm
車両重量/259kg
エンジン型式/Air-cooled, Evolution
排気量/1,201cc
フュエルタンク容量/12.5L
フロントタイヤ/120/70R19 M/C 60V
リアタイヤ/150/70R18 M/C 70V

【メーカー希望小売価格】(消費税込/2016年6月現在)
[ビビッドブラック] 154万円
[ブラックデニム] 156万2000円
[ベロシティーレッドサングロ] 156万2000円
[ビレットシルバー / ビビッドブラック] 158万4000円

[TRIUMPH NEW THRUXTON]
TRIUMPH NEW THRUXTON(2016)

TRIUMPH NEW THRUXTON(2016)

全長/---mm
全幅/745mm
全高/1,030mm
ホイールベース/1,415mm
シート高/805mm
乾燥重量/206kg
エンジン型式/水冷SOHC並列二気筒
排気量/1,200cc
フュエルタンク容量/14.5L
フロントタイヤ/120/70 ZR 17
リアタイヤ/160/60 ZR17

【メーカー希望小売価格】(消費税込/2016年6月現在)
[コンペティショングリーン] 161万2000円
[ピュアホワイト] 161万2000円

【編集部おすすめの購入サイト】
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