「愛」はコンビニでも買える?
生まれたての赤ちゃんには尊さを感じるのに、大人になるとなぜ尊重できなくなるのでしょうね
筆者はNHK連続テレビ小説の大阪制作の作品において、俳優陣にインタビューする仕事をしています。「ごちそうさん」「マッサン」「あさが来た」など、この数年、江戸時代から昭和までの時代背景の作品が続いています。そこには、不便ではありながら、一つひとつ、一人ひとりを、大切に思う心が描かれています。
親が決めた許嫁と結婚するなど想像もつかないこともありますし、親や時代を、「当たり前に受け止める」ことについては、アラフィフの筆者でも「ついていけないな」と思うことも多々あります。しかし、物や人を大切にする「心」や、時間をかけて作ったり育んだりするという行為が当たり前であることについては学ぶべき姿勢ではないかと思うのです。
「本当にいいもの」ができあがるには、時間がかかります。
「理想の関係」を手に入れるのにも、時間がかかるものです。
現代は、簡単に手に入るものが増えています。「愛はコンビニでも買える」なんていう歌詞もありますし、お金で買えないモノは無いと豪語する方もいらっしゃいますよね。
でも恋愛する相手は、人間。人間は「命」です。命に対して、自分のそばにいてほしいと考えるとき、相手の心はもちろん、育ってきた環境、背景、事情、愛情表現方法、生き方……すべてを尊重しなければならないのではないでしょうか。そして、命あるものは「変化し続けているもの」です。その変化を喜び、受け入れ合えるかどうかも重要です。
「命」の価値を認識し相手を尊重できるかどうか
お腹のなかで初めて赤ちゃんが動くのを体験すると、愛おしいと同時に不思議な気持ちになります。母にとって赤ちゃんは分身のような存在です
「命」という大切なものと関わるのは、本来、面倒なもの。互いに相手の欠点を丸ごと受け入れる覚悟も要ります。大切な相手のために自分を変える努力も必要ですが、欠点丸ごと受け入れられない相手なら、いずれにしろ継続は困難です。
「使い捨て」のものが増えたことも、人間関係を煩わしいと感じる一因と考えられます。便利であることは、時間に追われる生活をしている私たちにとって重要なファクターですよね。
でも「自分」という人間を、使い捨て感覚で扱われたらどんな思いがするでしょうか。ノーメイク派だった筆者は、10代後半のころオシャレ男子からは、第一印象で「対象外」という目で軽く見られた経験があります。自分以外の女性がちやほやされ、疎外感を感じた経験のある女性は多いのではないでしょうか?
一方で、私自身、新たな職場や習い事で男性と出会うと「この人アリ。この人ナシ」と振り分けてきました。娘という大切な命を一生懸命育ててきて、最愛の夫と出会った今は、「とても失礼なことをしてきたんだな」と反省しています。
大切に扱われたいのなら、人を大切に
季節がめぐるように二人の関係にも冬が来ることがあります。でも「大切だなぁ」「失いたくないなぁ」と思えたなら、危機をのりこえられるはず
育まれてきた「命」に寄り添いたいのなら、歩み寄る努力が必要。つきあい始めは、少しずつ互いの「素」の部分を見せ合い、相性を確認しなければなりません。長いつきあいの恋人と別れた後など、一からやり直すにはやっぱり面倒ですよね。でも、それは通らなければならない道なのかもしれません。建築でいう基礎工事みたいなものです。そこから構築していくしかないのです。
自分は相手を大切にしたけど、相手からは大切にされなかった……という経験があるのなら、それは選択を誤っただけ。あなたを大切にしてくれる男性もいるはずです。お互いに大切に思える相手と出会えたなら、危機があろうと乗り越えていけます。例えば、相手を大切だと思うのなら、サプライズで「欲しくなかったもの」をプレゼントされたとしても、その「想い」に対しては感謝できるはずです。
「大切」「傷つけたくない」と思えるほど愛せる相手は簡単に見つかるものではないかもしれません。でも、運命の出会いはどこに転がっているかわかりません。自分と直接関わりがあるかないかで対応を変えるのではなく、どんな相手に対しても、やさしく対応できるように心がけていれば、つながりも広がり、ほどよい「隙」も生まれるはずです。
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