2次予選首位は最低限のノルマ

好成績で2次予選を突破した日本代表だが、気になる点もある。

好成績で2次予選を突破した日本代表だが、気になる点もある。

日本、シリア、アフガニスタン、シンガポール、カンボジアによるW杯2次予選グループEを、日本は7勝1分けで突破した。2次予選はアジアの強豪国が8つのグループに分散されるだけに、好成績に驚きはない。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督(63歳)が率いるチームは、最低限のノルマを果たしたに過ぎないのだ。

2次予選は全グループが終了し、サウジアラビア、オーストラリア、カタール、イラン、タイ、韓国、ウズベキスタン、それに日本がグループ首位で最終予選へコマを進めた。さらにグループ2位の成績上位4か国として、イラク、シリア、アラブ首長国連邦(UAE)、中国も、9月にスタートする最終予選に加わる。

3月29日に行われたシリアとの2次予選最終戦には、14年のブラジルW杯のメンバーがスタメンの10人を占めた。2年前のW杯に出場していないのは、宇佐美貴史(ガンバ大阪、23歳)ひとりだけだ。

ハリルホジッチ監督が先発に選んだ11人は、それぞれに所属クラブで存在感を発揮している。移籍1年目のレスターシティ(イングランド)で奮闘する岡崎慎司(29歳)などは、風格すら感じさせるプレーを見せた。

しかし、気になるのは平均年齢である。

平均年齢がジワジワと上昇している

過去の代表チームと現在の代表チームの平均年齢を、同じタイミングで洗い出してみる。

前回のブラジルW杯2次予選最終戦(当時は3次予選として開催)のスタメン平均は、26.0歳だった(小数点2位以下は切り捨て。以下同)。23人のチーム平均は25.9歳である。スタメンの最年長は32歳の遠藤保仁(ガンバ大阪)で、最年少は22歳の香川真司(ドルトムント/ドイツ)だった。ベンチメンバーには、19歳の宮市亮(当時ボルトン/イングランド、現ザンクトパウリ/ドイツ)も含まれていた。

さらにさかのぼって、南アフリカW杯の2次予選最終戦(当時は3次予選として開催)はどうか。こちらはスタメン平均が26.3歳、チーム平均は26.4歳だった。スタメンの最年長は32歳の楢崎正剛(名古屋グランパス)で、中澤佑二(横浜F・マリノス)も30歳だった。最年少はともに20歳の内田篤人(当時鹿島アントラーズ、現シャルケ/ドイツ)と安田理大(当時ガンバ大阪、現名古屋グランパス)だった。22歳の本田圭佑(当時フェンロ/オランダ)は、この試合が国際Aマッチのデビュー戦だった。

今回のシリア戦は、スタメンの平均年齢が27.5歳だった。11人の控えメンバーを含めた23人のチーム平均も、27歳をこえる。このままメンバーが変わらずに18年6月のロシアW杯開幕を迎えると、平均年齢は29歳以上になるわけだ。


ブラジルW杯で優勝したドイツとの違い

29歳という年齢は高いのか、妥当なのか。ブラジルW杯で優勝したドイツと比較してみよう。

通算4度目の世界制覇を成し遂げた2年前のドイツは、平均年齢が25.7歳だった。レギュラーの最年長は30歳のフィリップ・ラームで、得点源のトーマス・ミュラーは24歳、司令塔のメスト・エジルは25歳といったように、20代前半から25、26歳がボリュームゾーンとなっている。

準優勝のアルゼンチンはどうか。

こちらは経験豊富な選手が多かった。30歳以上の選手が8人を数える。25歳以下の選手はふたりだけだった。大黒柱のリオネル・メッシ、彼の重要なパートナーとなったアンヘル・ディマリアとゴンサロ・イグアインは、いずれも26歳である。


総力戦を乗り切れるチームに!

ハリルホジッチ監督のチームに話を戻そう。

今回招集されたメンバーで、30歳以上の選手は川島永嗣(33歳、ダンディー/スコットランド)と長谷部誠(32歳、フランクフルト/ドイツ)のふたりだ。サッカー界では世界的に選手寿命が延びており、彼らのプレーも依然として日本代表にふさわしい水準を保っている。アフガニスタン戦とシリア戦にフル出場した長谷部は、いまなおチームのシンボルとなり得ることを証明した。

問題は2年後のロシアW杯で、何を目ざすのかである。

アジア最終予選を突破することが照準なら、現在のチームのままでも大きな問題はない。最終予選はホーム&アウェイなので、その時々で調子の良い選手を使うことができ、ベテランの経験や実績も生きてくる。

だが、2年後のW杯で上位進出を目ざすとなると、色彩は変わってくる。

グループリーグを突破するには、中4日や中5日で3連戦を消化し、少なくとも勝点4をつかまなければならない。具体的には1勝1分1敗以上の成績が求められる。勝点3=3引き分けでグループリーグを突破するのは、かなりのレアケースだ。

この時点ではまだベスト16である。世界の8強へ食い込むには、次の決勝トーナメント1回戦で勝たなければならない。ここからはノックアウト方式なので、延長戦までもつれることもある。ベスト4入りにはさらに1試合、決勝進出にはもう1試合を勝ち抜かなければならないのだ。それも、スケジュールはほぼ変わらないなかで、である。

世界のトップ・オブ・トップ相手に連戦をこなし、そのうえで勝利をつかんでいくとなると、心身の消耗はアジアのW杯予選の比ではない。疲労によるケガや、出場停止のリスクも付きまとう。世界で勝ち上がるには、総力戦で挑まなければならないのだ。

そう考えると、チームの厚みは欠かせない。14年のブラジルW杯で優勝したドイツには、23歳のアンドレ・シュールレや22歳のマリオ・ゲッツェが、途中出場から価値ある働きを見せた。メッシに頼るしかなかったアルゼンチンとドイツとの、決定的な違いである。

代表チームのポジションは、監督から与えられるものではない。選手自身が奪い取るものである。ただ、可能性を感じさせる選手については、積極的に登用していくべきだろう。新たな戦力の台頭を促すテストはあってもいい。

日本代表の次の活動は、6月のキリンカップだ。欧州からボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルガリア、デンマークが来日するこの大会から、2年後を見据えたテストを進めていくべきだろう。チーム内の競争激化なしに、ロシアW杯での上位進出は望めない。


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