映画の巨匠、小津安二郎監督のフィルムからインスパイア
小津安二郎監督は黒澤明監督と並んで、世界で最も知られた日本の映画監督です。先頃亡くなった大女優・原節子さんが出演した『東京物語』(53年)はとりわけ評価が高く、日本映画の最高傑作ともいわれます。その小津監督作品にはなぜか赤いやかんがしばしば登場します。オランピアはこの赤いやかんモチーフを今回のコレクションで多用しています。こんな細かい点にまで目配りしてくれるなんて、何だかうれしくなってしまいます。形の異なる様々なやかんで埋め尽くしたミニ丈ワンピースはユーモラスな風情。着物帯風のベルトも利いています。
日本的なモチーフはほかにもあります。こちらのシャツには、日本髪を結った女性の横顔がたくさん描かれています。結い方にバリエーションがいっぱいあって、さながら和風ヘアスタイルの見本集のよう。袴を連想させるミニ丈のプリーツボトムスも古風な風情。朱色に近い鮮烈なレッドにも東洋的なムードが漂います。洋の東西をまたいだカルチャーミックスが趣深い無国籍感を醸し出しています。
今回のコレクションを見ると、デザイナーの熱心な研究ぶりが感じられます。ジャケットとパンツのセットアップは洋服なのですが、うっすらと着物ライクなフォルムに仕立ててあって、ボーダーレスなたたずまい。作務衣や柔道着のような、紐でウエストを締める仕組みにも和テイストが薫ります。着物の帯モチーフをだまし絵(トロンプルイユ)風にあしらってあるのも、ウィットフルなムードを濃くしています。
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