資産運用/資産運用をするときの鉄則

マイナス金利時代に資産運用で対応すべきポイント

マイナス金利政策が導入されましたが、預金金利や住宅ローン金利がマイナスになるわけではありません。そのため家計に対する影響は限定的です。資産運用においても、運用方針を大きく変えるほどではありませんが、預金や債券の金利が低下するなかで、今後これまでよりも重要になる考え方があります。それは、税金や手数料をいかに抑えるかという視点です。

高橋 忠寛

執筆者:高橋 忠寛

成功する資産運用ガイド

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マイナス金利の導入は家計にはどんな影響がある?

マイナス金利時代の資産運用

マイナス金利時代の資産運用

日銀がマイナス金利の導入を決めました。私たち個人の家計にはどのような影響があるのでしょうか。また、導入決定から2週間が経過し、各金融機関の対応も明らかになってきました。こうした環境の変化を受けて、個人は今後どのように資産運用に取り組めば良いのかをまとめます。

マイナス金利とは

では、マイナス金利とは何でしょう。通常、預金をすれば、利息を受け取れます。反対にお金を借りると利息を払っていかなくてはいけません。マイナス金利とは、この利息の受取や支払の立場が逆転することです。つまり、お金を借りるとご褒美(利息)が貰えて、お金を預けるとペナルティ(利息)を払わなくてはいけない状況です。

1月29日に日本銀行は金融政策決定会合で「マイナス金利政策」の導入を決定しました。金融緩和政策の一つの手段として、民間銀行が日銀に預けている預金の一部に対してマイナス金利を適用するという政策です。

家計への影響

次に、マイナス金利導入による家計への影響を見ていきましょう。
まず、住宅ローン金利について、一部の銀行では住宅ローン金利の引き下げを発表しています。長期金利の指標として使われる10年国債利回りもマイナスになっている状況では、他の金融機関も続々と住宅ローンの適用金利引き下げを決めることが予想されます。

ローンを利用中の人や今後利用する予定の人はマイナス金利導入によるメリットを享受できそうです。一方で、金利低下によってマイナスの影響を受けるケースもあります。

預金の金利は、もともとゼロに近い金利水準ですが、既に多くの金融機関で定期預金金利を引き下げています。定期預金の金利は預入期間が長くなるほど高くなるのが通常ですが、期間にかかわらず一律の金利を適用する銀行も増えています。

預金金利もマイナスになってしまうのではと心配されている人もいますが、個人向けの預金金利がマイナスになることは当面は考えられません。預金を預けるだけで元本が目減りしていくマイナス金利の適用は預金流出など社会的な混乱に繋がってしまうからです。

今回のマイナス金利導入は、デフレ脱却に向けた日銀の強い決意が伺えます。黒田日銀総裁は、日銀が掲げる2%の物価安定目標の実現に必要とあれば「躊躇なく量・質・金利という3次元の追加緩和手段を駆使し、目標達成に全力をあげることを誓う」と述べており、今後、インフレが急激に進んでしまうリスクについては考慮しておく必要があります。

資産運用への影響

資産運用への影響はどうでしょうか。

日銀のマイナス金利導入発表後の2週間で、マーケットは大きく変動しました。株式市場は一時的に上昇したものの海外市場の影響も受けて大幅な下落が続いています。為替相場も一時的には121円台まで円安が進みましたが、再度大きく円高が進行しています。

個人が利用する運用商品にも影響が出ています。

金利の急低下を受けて、MRFやMMF、国内債券ファンドも新規の受け入れ停止や繰上償還を決めています。現在のマイナス金利が定着してしまうと、他の債券ファンドでも募集停止や運用成績の悪化が確実に予想されます。

また、生命保険会社は、保険料収入の多くを国債で運用していることから、終身保険や学資保険などの貯蓄性の高い保険商品の募集停止や保険料の引き上げを検討しています。

マイナス金利時代にどう対応するか

では、マイナス金利時代に、どのように資産運用をしていけばよいのでしょうか。結論から言うと、考慮しておくべきことはありますが、基本的にやることは変わりません。資産運用は、日銀の政策に応じて変化させるものではなく、個人のライフプランや資金計画に基づいて取り組むべきものだからです。 資産運用に取り組んでいない人はインフレ社会に対応するために資産運用を始めることで生活防衛に繋がりますし、すでに資産運用に取り組んでいる人は無理して何かを変える必要はありません。

重要なのは、税金や手数料を抑えることに注力することです。

これまで誰も経験したことがないマイナス金利時代において、今後も市場環境は不安定な局面が続くことが予想されます。そして、預金や債券など安全資産の利回りは低下しています。NISAや確定拠出年金(DC)など税金優遇が受けられる制度はフルに活用し、手数料負担の少ない商品や方法を利用することに意識を向けることが今後さらに重要になります。

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