北海道新幹線の乗り心地は?試乗会レポート
地元の人たちの熱狂的な見送りを受けた列車は、すべるように新函館北斗駅を発車、函館方面へ向かうJR函館本線と分かれ、左手にH5系のねぐらでもある函館総合車両基地を見つつ加速していく。雪晴れの景色の中を快走。しかし、当日の朝は吹雪で、かなりの積雪が残っていたため、最高速度の260kmは出さず、210kmに抑えての走行となった。それでも、道内初の時速200kmを越える列車の運転とあって、期待は高まった。
揺れもなく快適な乗り心地で、やがて左手奥に函館山が見えてきた。在来線の海越しに見える函館山とは異なった車窓は新鮮だ。さらに進むと山間部に差しかかる。クリスマスツリー状の木々に見とれているうちに全長約8kmの渡島当別トンネルへ突入。闇の中から飛び出せば左手に津軽海峡が見えてくる。しかし、高い防音壁が続くので、海がよく見える場所は限られる。
時速210kmという制限つきではあったが、走行時間13分はほとんど変わることがなかった。木古内駅のコンコースでも地元の歓迎を受け、PR用のチラシなどをもらった。上りホームの案内板には、「東京方面」の文字が誇らしげに掲げられている。未だかつて木古内から乗り換えなしで東京駅や上野駅へ向かう直通列車はなかったので(寝台特急は通過していた)、新幹線の開業は木古内にとっても画期的なことなのだ。
ほぼ30分後、H5系は木古内を発車して新函館北斗駅に戻る。帰路も僅か13分で到着。あっけないけれど快適な旅だった。
北海道新幹線開業後の列車ダイヤは?
3月26日の開業後は、東京~新函館北斗間を「はやぶさ」が1日10往復する。うち、奥津軽いまべつ駅と木古内駅に停車する東京発着の「はやぶさ」は、奥津軽いまべつ5往復、木古内6往復。4往復は、新青森~新函館北斗間ノンストップである。ほかに、仙台と新函館北斗を結ぶ「はやぶさ」が1往復(奥津軽いまべつと木古内は通過)、盛岡~新函館北斗を結ぶ「はやて」1往復、新青森~新函館北斗の北海道新幹線だけを走行する「はやて」が1往復設定されている(「はやて」は奥津軽いまべつと木古内にも停車する)。ちょっと本数が少ない気もするが、乗客の動向を勘案して増発されることだろう。なお、青函トンネルとその前後の区間は、在来線との併用区間となり、貨物列車が走行するので、線路は3線式軌道である。低速の貨物列車との兼ね合いもあり、新幹線電車の最高速度は、この区間では時速140kmに押さえられている。東京~新函館北斗間が4時間を切れなかった原因でもあり、いずれ何らかの対策が講じられるであろう。
そして、在来線である津軽海峡線のうち木古内~五稜郭は、JR北海道の手を離れ、第3セクター道南いさりび鉄道に移管され、再出発となる。青函トンネルを通過する貨物列車は、従来通り移管された道南いさりび鉄道の線路を走行することになる。
また、北海道新幹線は札幌への延伸工事も始まっていて、全通するのは2031年の予定である。
取材協力=JR北海道