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2016年のサッカー界で注目すべき7人の日本人選手

2016年が幕を開けた。新天地へ賭ける。再建を担う。野心剥き出しの挑戦──。様々な立場で飛躍が期待されるタレントを紹介しよう。

戸塚 啓

執筆者:戸塚 啓

日本代表・Jリーグガイド

今年注目すべき、7人の日本人選手を紹介する。

今年注目すべき、7人の日本人選手を紹介する。

2016年の日本サッカー界は、1月12日から中東カタールの首都・ドーハで行われるリオ五輪アジア最終予選で幕を開ける(日本の初戦は13日)。五輪は23歳以下の選手でチームが編成されるため、日本代表ではなくU-23(23歳以下)日本代表が出場する。

最終予選には16か国が集い、上位3か国のみが出場権を得る。五輪は16か国参加のため、W杯に比べると狭き門となっている。そのぶん競争は熾烈だ。


五輪出場のキーマンとなる「遠藤航」

手倉森誠(48歳)が率いるU-23日本代表で、キャプテンを務めるのが遠藤航(えんどう わたる、22歳)だ。

湘南ベルマーレの下部組織で育ち、高校卒業を待たずにJリーグへのデビューを飾った。センターバックを定位置としながらも、サイドバックとボランチでも高次元のプレーを見せ、15年8月にヴァイッド・ハリルホジッチ監督(63歳)のもとで日本代表に初選出された。ロシアW杯アジア2次予選にも出場するなど大きな可能性を示し、新シーズンからJ1リーグの強豪・浦和レッズへ移籍することが決定している。

U-23日本代表ではキャプテンの腕章を巻くのはもちろん、攻守の要となるボランチとしてプレーする。2016年の飛躍が期待されるひとりで、五輪出場のキーマンである。

リオ五輪出場を目ざすチームには、海外でプレーする選手も招集されている。久保裕也(くぼ ゆうや)南野拓実(みなみの たくみ)だ。


スイスで活躍するマルチなストライカー「久保裕也」

22歳の久保は京都サンガの下部組織で実力を蓄え、2012年2月には当時のアルベルト・ザッケローニ監督によって日本代表に選出された。将来性を見越したセレクトだったが、彼の才能はすぐにヨーロッパのクラブが認めるところとなる。13年6月、スイスのヤングボーイズへ移籍することになったのだ。

スイスで3シーズン目を迎える今季は、12月までに消化されたリーグ戦18試合のうち15試合に先発し、4ゴールをマークしている。豊富な得点パターンを持つマルチなスナイパーだ。ストライカーだけでなくチャンスメーカーの仕事もこなせるが、手倉森監督の構想では得点源として機能することを期待されている。


強豪国の選手としのぎを削る「南野拓実」

最終予選の期間中に21歳となる南野は、15年1月にオーストリアのレッドブル・ザルツブルクへ移籍した。

リーグ後半戦からの加入だった14-15シーズンは13試合出場で3ゴールに終わったが、今シーズンは前半戦だけで7ゴールをマークした。ブラジルやスペイン、アフリカ各国の選手としのぎを削りながら、得点ランキングで4位に食い込んでいる。ハリルホジッチ監督の日本代表にも、遠藤航とともに選出されている。「結果がすべて」と語る20歳の瞳は、ピッチで鋭い輝きを放つ。

久保と同じように南野も、攻撃の様々な役割をこなすことができる。U-23日本代表では中盤での起用が濃厚だが、求められるのはゴールでありアシストだ。南野自身も得点につながるプレーをすることで、最終予選突破に貢献することを誓う。


広島のスピードスター「浅野拓磨」

Jリーガーにも有望なタレントがいる。サンフレッチェ広島の浅野拓磨(あさの たくま)だ。

遠藤、久保、南野がJリーグのクラブの下部組織育ちなのに対して、21歳の浅野は高校サッカーの名門・四日市中央工業の出身だ。冬の全国高校選手権では得点王に輝き、複数のクラブから勧誘を受けたなかでサンフレッチェを選んだ。

昨年は飛躍のシーズンとなった。プロ3年目にしてJ1リーグで初ゴールをマークし、通算でも8得点を記録したのだ。そのすべてが、途中出場からである。50メートル5秒台の快足を生かし、“スーパーサブ”として圧倒的な存在感を放った。ハリルホジッチ監督の招集を受けて日本代表でもプレーし、Jリーグのベストヤングプレーヤー賞にも輝いている。

U-23日本代表では久保、鈴木武蔵(すずき むさし、21歳・アルビレックス新潟)、オナイウ阿道(おないう あど、20歳・ジェフ千葉)らとポジションを争う。スタメンでも途中出場でも結果を残すスピードスターには、手倉森監督も信頼を寄せている。


ドイツで磨いた技術と経験でJ1昇格を目ざす「長澤和輝」

2016年のJリーグからは、3人の選手をピックアップしたい。

ひとり目は長澤和輝(ながさわ かずき、24歳)だ。173センチの攻撃的なミッドフィールダーは、ちょっと変わった経歴の持ち主である。Jリーグでプロとしてプレーすることなく、大学卒業とともにドイツ・ブンデスリーガの1.FCケルンへ加入したのだ。

ドイツで経験を積んだ24歳は、浦和レッズと契約を結んだ。そのうえで、16年はJ2のジェフ千葉へ期限付き移籍する。長澤にとっては出身地のチームだ。ドイツで磨いてきた技術と経験を、J1昇格を目ざす地元のチームに注いでいく。


名波監督の下でさらなるスケールアップを期待「小林祐希」

ふたり目は小林祐希(こばやし ゆうき、23歳)である。下部組織から育った東京ヴェルディでトップチームに昇格し、10代でキャプテンを任されるなど、その将来性は高く評価されてきた。年代別代表にもコンスタントに選ばれ、12年のロンドン五輪代表の候補合宿にも招集されたが、その後は周囲の評価と実際のプレーが少しずつ噛み合わなくなっていった。

13年からはジュビロ磐田へ新天地を求めた。ここでもポテンシャルを解放しきれずにいたが、15年のJ2リーグではスタメンに定着するだけでなく、得点やアシストにもしっかりと絡んだ。リーグ戦6ゴールは潜在能力に見合ったものでなく、なおも物足りなさを残すが、チームのJ1昇格に貢献した事実は大きい。

ジュビロの名波浩監督(43歳)は、現役時代に日本代表の背番号10を背負った。テクニックに優れた攻撃的なミッドフィールダーから、ディフェンスにも献身的なボランチへと転身した。自らのプレースタイルを、時代の要求にアジャストさせていった。クラブのレジェンドでもある指揮官のもとで、小林のさらなるスケールアップが期待される。


古巣セレッソへ復帰する「柿谷曜一朗」

3人目は柿谷曜一朗(かきたに よういちろう、26歳)である。

2014年のブラジルW杯が終了した直後、柿谷はスイス・スーパーリーグのFCバーゼルへ移籍した。18年6月末までの4年契約だった。日本代表のストライカーが、欧州の地で飛躍の階段を駆け上がると期待された。

移籍直後は出場機会を得ていた。しかし、スタメンに定着することはできなかった。15年夏に開幕した15-16シーズンは、リーグ戦18試合のうち4試合にしか出場できていなかった。

所属クラブでのアピール不足は、日本代表への招集を遠ざける。15年3月に就任したハリルホジッチ監督のもとで、柿谷は一度もプレーできていない。

その一方で、古巣のセレッソ大阪がJ1昇格への戦力アップをはかっていた。出場機会を求める柿谷と、彼の実力を評価するクラブの思惑が一致し、今シーズンからの復帰が発表されたのである。

J1ではなくJ2からの復活を期す26歳のチャレンジは、2016年のサッカー界の見どころのひとつとなるだろう。
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