離婚/離婚を決意する前に

浮気&DV対策の公正証書と早期離婚のための裁判方法

「もう、離婚しかない」と思った時、考える時間を持つのはとても大切です。「DVや浮気にもうガマンの限界」、「とにかく早く離婚したい」という状況ではどのような戦略で立ち向かうべきか、あなたを不幸な現状から解放するための法的なワザをお教えします。

岡野 あつこ

執筆者:岡野 あつこ

離婚ガイド

離婚の原因の上位に挙げられる、浮気やDV。
愛する人が他の異性に心を奪われて精神的にキツい浮気も、肉体的に限界まで追い詰められるDVも、それに耐えられずに離婚に向かうのは当然の成り行きと言えるでしょう。しかし、DVや浮気さえなくなれば何も問題がないのに……と夫婦関係をやり直したいと思っている人も少なくありません。
やり直すのか、とにかく離婚したいのかを考えて

やり直すのか、とにかく離婚したいのかを考えて

やり直したいのか、とにかく離婚したいのか、相談者が幸せになる方向に舵を取って、スムーズな問題解決を目指すのが私、夫婦問題研究家の仕事であり、使命です。

今回は、浮気やDVなどで離婚に瀕している夫婦がやり直せる方法と、早く離婚したい人のためのスピード解決策の法的なワザをご紹介します。

夫婦がやり直すための公正証書を作成する

私は“夫婦問題修復カウンセリング”で、やり直すことが決まった夫婦には公正証書を作ってもらいます。夫婦が破綻に瀕したときだけに作れる公正証書というのがあるのですが、浮気やDVなどが破綻の原因となっている場合の改善策として非常に有効です。

公正証書とは、調停や裁判をせずに約束事が決められる公文書のこと。法律の専門家である公証人が公証人法・民法などの法律に従って作成するため、高い証明力があります。

ですから、「今度DVや浮気をしたら違約金を払うのよ。即離婚ですよ」というように、違約金、慰謝料、財産分与、生活保障費、転居費用、親権、養育費などの約束事項を公正証書にしてしまうという方法です。

公正証書を作成した後に浮気をしたり、暴力を振るったりと、約束が破られた場合、相手は公正証書にかかれた規約に沿って、その代償を負うことになります。

公正証書の作成には、証書に記載される金額により手数料(5000円~)がかかります。また身分証明書や印鑑証明、実印、戸籍謄本などが必要になるので、インターネットなどで事前にチェックしておくといいでしょう。

強制執行認諾約款を付ければ最強の武器に

公正証書を作成する時は、「強制執行認諾約款」を付けてもらうことをおすすめします。

「強制執行」とは、裁判所に申し立てて、支払い義務のある人の給与や預貯金、不動産などを差し押さえてもらい、換金できるものはお金に換えて支払い分にあてるという制度です。強制執行を行うには、一般的には裁判を起こして勝訴判決を得ることが必要ですが、一定の条件を備えた公正証書を作成している場合には、勝訴判決がなくても強制執行が可能です。その条件のひとつが「強制執行認諾約款」が付いていることなのです。

つまり、「強制執行認諾約款」を付けておけば、仮に相手が支払いを怠った場合でも、裁判所に申し立てをすることなく即執行されるというわけ。このような公正証書を作成しておけば相手へのプレッシャーにもなるので、関係修復を目指す夫婦にはとくに効き目があります。

早期離婚を目指すなら裁判に持ち込むのが得策

協議離婚をしようと話し合いの場を持っても離婚の合意ができない時、または相手がまったく話し合いの場を持とうとしない時、協議離婚は成立しません。その時は、離婚を求める夫婦の一方が申立人となり、他方を相手方として家庭裁判所に離婚調停の申立てを行います。

調停離婚は5~6回が平均で、長ければ8回くらい行われます。話合いの末、離婚、別居などを決めていくのですが、はなから「絶対離婚だ!」と決めているなら、調停での話合いはすべてムダなのです。

調停は、現在1ヶ月半~2ヶ月に1回くらいのペースで行われるので、もし6回で済んでも約1年かかってしまいます。そう考えると1年がムダになってしまいますから、早く離婚したい場合は極力少ない回数で終わらせることを目指します。1回目の調停では、相手の言い分を聞いて、2回目で双方の意見がどうしても折り合わない場合は「もう絶対に離婚!」と言い張ることで調停を不調(不成立)にして、裁判に持ち込みます。

相手に考える隙を与えないことも有利になる要素

裁判に持ち込むことで、半年~1年は離婚を早めることができます。調停とは、いわば話し合いの場です。その期間をすっ飛ばして、法律で決めてもらいましょう、というのが「裁判に持ち込む」ということ。

調停のように間隔がないため、離婚したい側としては相手にいろいろと準備する時間を与えないことで、裁判が有利に運ぶ可能性もありますから。

ただし、裁判となると調停離婚とは違い、高額な費用がかかります。浮気やDVなど、相手に明確な落ち度がなければ、裁判が長引く場合もあります。ですから、物理的、金銭的に条件が揃ってはじめて有効な策といえる、というのが現状です。

結婚生活を続けるのが苦痛なほど肉体的にも精神的にもダメージを受けているのに、やり直したいと思う人、離婚と決めたら駆け出さずにはいられない人。向かうべき場所は人ぞれぞれです。どうすれば自分が今より幸せになれるのか。それを熟慮し、明確にしてから、目標に向かって前進することが大切です。

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