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記事例:「なんで結婚しないの?」に答え続けるのにもう疲れました

アラフォーの“傷跡” 大人になっても生きづらい私たち 第3回

――アラフォー世代の女性たちが背負ってきた人生や悩みを話してもらうノンフィクション連載。今回の主人公は、好きな男に裏切られ、多額の借金を背負った女性。借金取りに追われて疲れきった彼女は、たったひとりで知らない土地へと逃亡、放浪。37歳になった今、ようやくひと段落つくことができたが……。
アラフォーの“傷跡”。大人になっても生きづらい私たち第3回

アラフォーの“傷跡” 大人になっても生きづらい私たち第3回

人生、何が起こるかわからない。あるとき、友人が「3年ほど行方不明だった知り合いにばったり会った」と言う。その彼女は、キャリーバッグを引きながら、東京・上野駅近辺をうろうろしていたのだそうだ。

「観察していたのよ。そうしたら、ただぼんやりたたずんでいたり、少しうろうろしたり。すぐに彼女だと確証がもてなかったんだけど、思い切って話しかけてみたら、急にはっとしたように緊張した面持ちになった。なんとか連絡先を聞こうとしたら、『これから出張なので、また連絡しますね』と行ってしまった。でも出張という雰囲気じゃなかった。ひきとめればよかった、もっと詳しく事情を聞けばよかったと今でも思ってる」

とはいえ、もともとそれほど親しかったわけでもない。あと一歩、踏み込めなかったことで、彼女の行方はまたわからなくなったそうだ。

今回の「アラフォーの“傷跡”」は、非常に似たケース。やはり一時期、行方をくらましたことのあるアサコさん(37歳)が主人公である。生きていたくなかったが死ぬこともできず、あちこちふらふらしながら過ごしていた時期はなんと4年。ようやく今、再起をかけて一歩を踏み出したところだ。

連帯保証人になり、裏切られ、そして失踪

きっかけは同僚の彼への出資。愛し合っていると、信じていたのに……。

きっかけは同僚の彼への出資。愛し合っていると、信じていたのに……。

――行方をくらましていた時期はいつごろなんですか?

アサコ:31歳の終わりから35歳になるころまでです。

――いったい何があったんですか?

アサコ:大学を出て、大阪に本社があるわりと大きな会社の東京支社に勤めていたんです。30歳になるころ、本社から来た同じ歳の男性とつきあうようになりました。彼とは同じ部署だったんですが、会社からも期待されていたし、すごく仕事もできた。しかもイケメン。その彼が私を選んでくれた、とかなり有頂天になっていました。実家が裕福らしくて、食事に行くのも高級店ばかり。誕生日には、エルメスなんかをはりこんで(奮発して)くれました。ただ、つきあい始めて半年後くらいに、彼が「独立して仕事をしたい」と言い出したんです。彼は30歳になったばかり。学生時代の友だちと会社を起こしたい、ついては出資してくれないか、と。

――で、出資したんですね。

アサコ:はい。会社を起こしたら結婚しようとも言われていたので、貯金の全額300万円を出資して、彼が銀行から借りたお金の連帯保証人にもなりました。

――それほど彼を信じていたわけですね。

アサコ:信じていたというか、好きだったから……。身も心も愛し合っていると思ってた。

――会社は無事に起こせたのかしら。

アサコ:会社は起こしたんですが、半年もたたないうちに運転資金がなくなったらしい。私はその内情をほとんど知らなかったんです。それで、気づいたら彼も友だちもいなくなってた。

――うわあ。連帯保証人になってたんですよね。

アサコ:ええ。貯金はゼロ、その上、2000万円もの借金を背負ってしまったんです。当然、借金取りに追われるようになって、会社を辞めて、水商売や風俗を転々としました。でも、そのうち疲れてしまって……ふっとどこかに行きたくなったんですよね。

――彼から連絡は?

アサコ:なかったです。警察にも相談したけど、連帯保証人になってますからね。具体的な解決策はなくて。

――どういう状況で失踪したんですか?

アサコ:当時、もうマンションにもいられなかったから、キャリーバッグひとつで女性用サウナとかマンガ喫茶とかを転々としながら働いていたんです。会社も黙って辞めちゃったし。ある日、東京駅の前を通りかかって……。お金がなくて新幹線には乗れないけど、電車を乗り継いだら、けっこう遠くまで行けるんじゃないかなあと思ったんですよね。

――で、乗ってしまった?

アサコ:ええ。東海道線に乗って熱海の近くまで行って。昼間はパチンコ屋、夜はスナックで働いていました。素性を聞かれると、また電車に乗って、もう少し遠くへ行って。そんな生活を続けて、ついに九州まで流れて行ったんです。

――親にも連絡せず?

アサコ:しませんでした。私が社会人になったばかりのころ、母が亡くなったんです。そうしたら一周忌も終わらないうちに父が再婚して。それ以来、実家とは疎遠でした。私、一人っ子だから相談できるきょうだいもいなかったし。


失踪中に同棲したものの

男はこりごりだったが、「失踪してから初めて、心安らかに眠れた」のも、逃亡中に出会った男性の腕の中だった。

男はこりごりだったが、「失踪してから初めて、心安らかに眠れた」のも、逃亡中に出会った男性の腕の中だった。

――いちばん長いところで、どこにどのくらいいたんですか?

アサコ:大阪かなあ。繁華街から少し離れた場所のスナックに流れ着いたとき、素敵なママに出会ったんです。そこには1年くらいいた。そのママだけにはある程度、過去を話しました。だけど場所が大阪でしょ。会社の本社があるところだから、あるとき、街でふと知った顔を見かけた気がしたんです。それで焦って、逃げ出してしまった。

――ママにも話さないで?

アサコ:不義理しました。あのころは常に追われている感じがしてたんですよね。そのあと、中国地方を転々として、最後は福岡にたどりついた。

――転々としているときに恋人はできなかったんですか?

アサコ:男はこりごりという感じだったので、男性からの誘いがあっても、せいぜい食事止まりでした。「身持ちが固い」と店側には気に入ってもらえたみたいですが。ただ、福岡で、ある人を好きになってしまったんです。5歳年下の工事現場の作業員で、本当に気持ちの優しい人。何も聞かずに自分の部屋に住まわせてくれて、いつも手をつないで寝てくれた。毎日、一緒にいるのに、まったく手を出してこない。彼の部屋で、失踪してから初めて、心安らかに眠れたような気がします。でも、あるとき、私のほうが我慢できなくなって彼を求めたんです。

――なんだか……いい話。

アサコ:彼と一緒にいたいから、仕事も昼間の喫茶店に変えて。夜は彼と一緒にごはんを作って食べるのが楽しみだった。ずっとこんな生活でもいいなと思っていました。

自己破産して、やっと落ち着いた

「結婚するかわからないけれど、とりあえず、生きていく」と語った彼女は、やっとスタートラインに立ったのかもしれない。

「結婚するかわからないけれど、とりあえず、生きていく」と語った彼女は、やっとスタートラインに立ったのかもしれない。

――でも東京に戻って来られたんですよね。

アサコ:実は、妊娠したんですが、流産してしまって……。彼がものすごく悲しがっているのを見て、なんだか耐えられなくなったんです。なんていうのかな、この人の愛情に私は応えることができない、ずっとこの人を苦しめることになるんじゃないかと思ったら、怖くて怖くて一緒にいられなくなりました。それで逃げ出したんです。東京に戻る前、大阪で世話になったママのところに顔を出しました。今さら会える義理もなかったけど。そうしたらすごく親身になってくれて、知り合いの弁護士さんを紹介してくれて、そこから東京の弁護士さんも紹介してもらって。

――それで戻ってきて、落ち着いたんですね。

アサコ:とりあえず自己破産の手続きをしました。大阪のママがとりあえずの生活費として100万円貸してくれたんです。それで小さなアパートを借りて、近所のスナックでバイトをしながら昼間の仕事を探しました。

――すべてうまくいきました?

アサコ:数ヶ月後に自己破産できました。仕事のほうはなかなか……。今はコンビニとスナックのバイトをかけ持ちしてます。

――福岡の彼は?

アサコ:手紙を書こうと思ったけど、かえって失礼なんじゃないかと……。彼のことは本当に好きだったし、助けてもらったけど、たぶん彼にふさわしいのは私ではないと思うんです。

――この先、がんばれそうですか?

アサコ:大阪のママにお金を返すためにもがんばらないといけないと思っています。

――今振り返って、逃亡生活を含めた31歳からの7年間をどう思います?

アサコ:不実な男を好きになって騙されて、逃げて逃げての年月でしたね。自分が愚かだったんだとつくづく思います。つらくてつらくて、死んだほうがマシだと思ったこともある。だけど、やっぱり生きていれば誰かが助けてくれたり、誰かに救われたりするんですよね。「もう歳だし」って言ったら、大阪のママが「あんた、私より30歳近く若いんやで」って。この先、何ができるのかわからないし、結婚するのかどうかもわからないけど、とりあえず生きていくことが大事なんじゃないか……今はそう思っています。

アサコさんは、最後になってようやく笑顔を見せた。拠って立つところがまったく見えなかった4年間を経て、その後の3年間で「生きる」ことを自らきちんと選び取ったように見える。

それにしても、好きな男に尽くしたあげくの被害。「まさか」はいつでも起こり得る。


■【アラフォーの“傷跡”。大人になっても生きづらい私たち】連載
――次回もお楽しみに! 過去の連載はこちら。

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