住まいの寿命を大きく左右するメンテナンスリフォーム。タイミングが遅れてしまうと耐久性に致命的なダメージを与えてしまうのです。
そこで今回は家のことに無関心で結果的にマイホームの劣化を早めてしまったAさんと、リフォームで家を上手に長持ちさせたBさんの事例を参考に、そのお金のかけ方などを見比べてみましょう。
家のことにほぼ無関心だったAさん
Aさん(60代)は築27年の戸建て住宅を所有しています。若かりし頃に住宅を購入しましたが、必死の思いで仕事を頑張り、繰り上げ返済を急いだおかげで現在は住宅ローンも終わっており、今後の暮らしを考えてリフォームを検討することにしました。しかし、仕事に没頭しすぎたせいなのか、マイホームのメンテナンスのことなどはすっかり頭になく、ここまで家のことで修理にお金をかけたのは給湯器の交換(約30万円)と、エアコンや冷蔵庫といった家電品の交換程度にすぎませんでした。
今回リフォームを考えるにあたり、しっかりとした調査を専門業者にお願いしてみたところ、以下のようなことが判明しました。
・浴室床の亀裂から漏水があり、土台の腐食が進んでいた
・外壁の亀裂から雨水が侵入しており、建物構造部のあちこちが腐食していた
(耐震性に影響しているような構造部の劣化も発見された)
・柱の一部が腐食し、わずかであるが家が傾いていて、雨戸が開け閉めしづらくなっていた。
・断熱材が水分を吸ってボロボロになっていた
家のメンテナンスを怠っていたせいで…!
外壁の塗膜がところどころ剥がれており、建物内部への浸水が推測され、構造部の劣化状況がかなり心配な状態です。
業者から提示された工事見積りでは、Aさんが他にも要望していたリフォームプランについても反映されており、当初は以下のようなものでした。
・屋根および外壁リフォーム(構造部修理含む) 約290万円
・浴室・脱衣室リフォーム(土台部修理含む) 約170万円
・床および床下のリフォーム(床暖房含む) 約85万円
・キッチンリフォーム(間取りの変更・構造部修理含む) 約210万円
・雨戸交換その他修理 約65万円
合計 約820万円
ある程度お金がかかりそうだということでリフォーム予算を500万円と見込んでいたAさん。覚悟はしていましたが、ここまで費用がかかるとは思っていませんでした。そのためこれからの暮らしを考えて、バリアフリーのことなども取り入れていこうと考えていたAさんのリフォーム計画は、その大部分を断念せざるを得なくなりました。当初考えていたシステムキッチンはグレードを落とし、床暖房や間取りの変更をあきらめ、建物構造部の修理を優先することにしました。
その結果、今回Aさんが採用したリフォーム見積りでは以下の通りになりました。
・屋根および外壁リフォーム(構造部修理含む) 約270万円
・浴室・脱衣室リフォーム(土台部修理含む) 約145万円
・床および床下リフォーム 約40万円
・キッチンリフォーム(構造部修理含む) 約85万円
・雨戸交換その他修理 約55万円
合計 約595万円
約100万円近く予算がオーバーしてしまいましたが、これからの暮らしのことを考えるとやむを得ないといったところであり、つくづく今までマイホームのことにお金をかけてこなかったことを悔いてしまうAさんなのでした。
次のページでは、計画的にリフォームを実施していたことで建物を長持ちさせることができたBさんの事例に迫ります。