直進安定性が魅力のクルーザーバイク
引き起こすとやや重ったるいファットボーイロー。兄貴モデルと比べてもハンドル位置などがやや低い設定なので、このへんの力のかかり具合がファットボーイローといったところでしょうか。
ひとたび走り出せば、200ミリという「クルマか!」と、ツッコみたくなる極太リアタイヤと300キロ超えの重量が抜群の直進安定性を生み出し、他のバイクでは得られない重戦車のような走りを味わわせてくれます。特に高速道路でのストレートでその能力が最大に発揮されると言えますね。
翻って、コーナリングはあまり得意分野ではないようです。それもそのはず、リアタイヤがこれほど太ければコーナーで倒し込むのもひと苦労。「まったく倒し込めない」というわけではありませんが、倒し込む際に「よし、曲がっていくぞ」と意識した操作が必要になるのです。
似て非なるソフテイルスリムと比較すれば一目瞭然
ファットボーイローの性質を探るうえで、比較対象として面白い存在になるのがFLS ソフテイルスリムです。ファットボーイローの総重量が330kgなのに対し、ソフテイルスリムは318kgと、その差は12kgにもおよびます。これは10kgのお米袋よりもまだ重いということ。実際にお米を持つ身で考えれば、これは相当な重量差です。
ホイールそのものを埋め尽くすディッシュホイールとスリムのスポークホイール、17インチと16インチ、そしてタイヤの太さも重量差を生み出す大きな要因です。タイヤの重さって普段はあまり意識することはありませんが、計ってみるとちょっとしたサイズ差で1kg以上変わることも。
実際にスリムの押し引きを経験した身としては、12kgという重量差は受け流せないものだと言えます。というのも、オートバイの押し引きには神経も体力も使いますから、軽やかであることが何より一番。自分がオーナーになり、後々自ら押し引きすることを考えると、ちょっと億劫な気分になってしまいます。ただ、それでも「ファットボーイローに乗りたい!」のであれば、その重さを許容しての購入をご検討いただきたいのです。
と、まるでデメリットだらけのようなファットボーイローですが、その魅力はまったく違ったところにあります。それを次ページにてご紹介しましょう。
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