古き良き時代のハーレーを再現したモデル
1997年から2003年にかけてラインナップされたFLSTSヘリテイジスプリンガー。なんとも言えないノスタルジックな雰囲気が漂うスタイルに惚れるファンも多く、中古車市場でもとりわけ人気が高いモデルのひとつです。ヘリテイジスプリンガーに古き良き時代のハーレーを投影してしまうのは当然のこと。というのも、ハーレーの歴史のなかで「名車中の名車」と呼ばれる1948年 FLを基にデザインが組まれたモデルだからです。
当時、「ハーレーダビッドソンは壊れやすい」という悪評のもととなったエンジンが新しくなり、安心して乗れるオートバイへと進化したことから、そのエンジンありきで往年の名車を復活させようとの試みから生み出されたモデル、それがこのヘリテイジスプリンガーなのです。つまり、ノスタルジックな雰囲気を楽しみつつ不安のない旅を満喫するために、当時のハーレーダビッドソンがベストな答えとして導き出したモデルということなのです。
キモとなるのはスプリンガーフォーク
全体のスタイリングそのものからビンテージ感をにじみ出しているヘリテイジスプリンガー、なかでも大きなポイントとなるのはスプリンガーフォークと呼ばれるフロントフォークに他なりません。ハーレーでは、「テレスコピックフォーク」、「油圧式フォーク」、そしてこの「スプリンガーフォーク」と呼ばれるフロントフォークがこれまで使われてきました。前者のふたつは今なお現行モデルにも採用されているシステムですが、スプリンガーフォークは2011年のクロスボーンズを最後に未採用となっています。しかしながら、このスプリンガーフォークを知らずして同社の歴史を語ることはできないと言われるほど、ハーレーにとって切っても切り離せない存在でもあります。1920年代にはその存在が確認できていることから、100年近い歴史を持つパーツであることは明白。もちろん、こと性能面という点ではテレスコピックや油圧式に軍配があがりますが、古き良き時代のハーレーの雰囲気を楽しみたい人にとって、スプリンガーフォークは重要なポイントとなるものなのです。
そんな“失われつつある伝統”ヘリテイジスプリンガー、現在のバイク中古車市場で出回っている車両の程度や価格はいかがなものか。サウンドチェックと合わせて、次ページにてご紹介しましょう。
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