遺言はどんなときに必要?遺言書を作成する上での注意点とは?

遺産分割において被相続人が遺言書を作成していない場合は、相続人全員による遺産分割協議が必要となります。しかし、遺産分割協議はスムーズに進まないことも多く、もめたり長期化したりしてしまうこともあります。

遺言は感謝の手紙

遺言は感謝の手紙



相続人に「遺言を書いておいてくれれば……」と言われないよう、生前対策として遺言書を作成しておくことが望まれます。

実際、遺言書を作成している人は1割程度と、少ない

相談者から「被相続人は遺言書を作成しようとしていた」という話はよく聞きますが、実際に「作成していた」というケースは本当に少なく、一般的には1割前後とも言われています。

資産家ほど遺言書の作成率は高いようですが、平成28年度司法統計によれば、調停などの遺産分割事件のうち遺産1000万円以下が33%、1000万円超5000万円以下が42%であったことから考えると、資産家でなくとも遺言書を作成しておいたほうがよいケースは多いのではないかと思われます。

遺言書を作成しておいたほうがよい主なケース4つ

ここからは、遺言書を作成しておいたほうがよいと思われる主なケースを紹介します。

●ケース1:相続人同士の仲が悪く、将来もめそう
相続人間の関係が良好であれば問題ありませんが、相続を機に関係がこじれることも珍しくありません。
  • 相続人が「多数」
  • 「妻」と「夫の兄弟姉妹」
  • 「先妻の子」と「後妻、後妻の子」
  • 「長女」と「二女」と「長男」(末っ子長男)
  • 「長女」と「二女」と「養子(長女の夫・婿養子)」
  • 相続人に「非嫡出子」がいる
●ケース2:分割協議が難しい
相続人が特殊な状況にあるなど、話合いが難しいケースです。
・相続人がそれぞれ遠方や海外などで集まれない
・認知症の相続人がいる
・引きこもりの相続人がいる
・相続人に音信不通な人、行方不明者がいる
・相続人に障害者がいる
・相続人に未成年がいる

●ケース3:特定の相続人に相続させたい
不動産の比率が高いほど平等に分けることは難しくなります。
・自分の面倒をみてくれた子に多く
・農家を継いでくれる子に農地を全て
・会社を継いでくれる子に会社の株式を全て
・障害のある子に収入物件を
・子の無い夫婦で全て配偶者に

●ケース4:相続人以外にあげたい
おひとりさまであるなどの場合、遺言書は特に重要です。
・子の無い妻で夫から相続した財産は、将来は夫の本家に戻したい
・内縁の妻に
・認知していない子に
・介護等で面倒をみてくれた人に感謝の気持ちとして
・養子にしていない配偶者の連れ子に
・自分の面倒をみてくれた妻の甥や姪に
・実際に一番面倒をみてくれた長男の嫁に

遺言書を作成するときの注意点は2つ

将来もめないように作成する遺言書。せっかく作成しても無意味にならないように注意点が2つあります。

1つ目は「遺留分に注意」で、遺留分によってもめてしまわないような分け方を書いておくことが大切です。2つ目は「遺言執行者を指定」です。例えば遺言書の通りに銀行の解約を行う際、遺言執行者の指定が無いと、相続人全員の署名と実印が必要になって解約が困難なことも。遺言執行者が指定してあれば、遺言執行者のみの署名と実印で解約ができます。

遺言書で「感謝の気持ち」を伝えられ、さらに「もめない対策」もできたとなれば、財産をもらった人はきっと心から喜び感謝するでしょう。せっかく遺した財産が仇となりトラブルになってしまわないよう、遺言書をしっかり作っておきたいものです。

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