家計簿・家計管理/家計管理の基本

ピンチ!大学進学費用が準備できない時の対処法

高校卒業後の進学にかかるお金はとても高額になります。色んな事情でまとまったお金が準備できないケースも少なくありません。しかし、お金が足りない場合でも色んな方法で準備することはできます。また、その為にはどんな条件が必要なのか、教育費を乗り越える為にも知っておくべき事をお伝えします。

二宮 清子

執筆者:二宮 清子

家計簿・家計管理ガイド

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進学率は毎年増えている

教育費の準備はできていますか?

教育費の準備はできていますか?

住宅ローン・老後資金と並び、人生の三大資金のひとつと言われる教育資金。教 育費の中でも高校卒業後の大学・短大・専門学校への進学時のお金は家計に重くのしかかります。文部科学省が発表している高校卒業後の進学率は、大学が48.1%、短大が5.8%、専門学校が17%、合計70.9%と非常に高くなっており、毎年上昇している状況です。一方就職は17.5%となっています。

以上の事からも高校卒業後の進学が確率的に高くなりますので、進学を想定したマネープランが大切になります。

大学費用は1000万円!

自宅外通学で4年制大学に進学した場合の4年間の費用を全て親が負担するとなると約1000万円にもなり、月に換算すると約20万円(年間240万円)を家計から支出することになります。
自宅外通学で4年制大学に進学した場合の費用

自宅外通学で4年制大学に進学した場合の費用


日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果」(平成26年度)、私立大学等の平成25年度入学者に係る学生納付金等調査結果を参考に二宮が作成

しかし、以下のような状況の変化で、子どもが高校生になった時点で教育費が確保されていないケースも多く見受けられます。

■教育費が不足するケース
・転職、リストラ、離婚等による収入減
・一時的な困窮により、学資保険を途中で解約した
・貯めている金額が少なかった
・医学部を希望した
・就職する予定だったが、急に進学に変更した


では、どのように子どもの教育資金をひねり出すのか?考えてみましょう。

共働きによる世帯収入アップ

主婦が働く理由の多くが子どもの教育費の負担増です。大学の費用は節約することでひねりだすことができるような小さな金額ではありません。上記のように月20万円(年間240万円)の支出を家計から出すには、それ相応の貯蓄と収入の確保が必要となり、この時ばかりは夫の収入だけでは苦しいのが現実でしょう。

できればこの時期は103万円の扶養の範囲内という枠を超え、正社員としてしっかり稼いでいきたいものです。正社員として働くことができれば、パート時より収入が増えるのはもちろんのこと、厚生年金に加入することで将来受け取る年金額も同時に増えることになります。

返済不要の給付型の奨学金の活用

奨学金というと「借りる」というイメージがありますが、近年少子化も伴い、優秀な学生を取り込みたい・応援したいという意味合いで、返済不要の給付型の奨学金制度が増えています。

<大学独自の奨学金>
入試前に予約ができる「予約給付型」は合格したら給付されるものです。難関大学や多くの私立大学がこの制度を取入れています。

<医療、福祉関係の奨学金>
国家資格を取得した後、決められた病院や施設で規定年数勤務することで借りていた奨学金の返済が免除されるというものです。

他にも数は少ないですが、地方自治体や民間企業の奨学金などがあります。
給付型の奨学金は、成績や親の年収に規定があります。更に、給付内容の良い奨学金ほど申請時期が早く、高校3年の5~6月には申請が締め切られるものもありますので、高校2年の間には進学先が確定して計画的に進めることが大切になります。

貸与型の奨学金の活用

日本学生支援機構の奨学金制度には無利子の「第一種奨学金」と、有利子の「第二種奨学金」とがあります。無利子の奨学金の方が要件は少し厳しくなります。

<第一種奨学金>
学力…高校2~3年の成績が5段階評価で平均3.5以上の者
親の年収…会社員の場合およそ800万円以下、会社員以外でおよそ400万円以下
申込み締切…7月中旬
<第二種奨学金>
学力…高校の成績が平均水準以上
親の年収…会社員の場合およそ1,100万円以下、会社員以外でおよそ700万円以下
申込み締切…11月後半

注意点は、奨学金といえども滞納したら個人信用情報機関に延滞者として登録されます。大学卒業後に返済がしっかりできる金額を想定し、借り過ぎないことも大切です。

教育ローン

最後の手段は教育ローンです。しかし、多くのご家庭が住宅ローンの返済中です。本来ならば、親自身も老後のお金を貯める時期になりますので、これ以上親自身がローンを組むことはお勧めできません。

本来は教育費は子どもが生まれた時からコツコツと貯めていきたいものです。しかし、色んな事情で貯蓄ができないこともあるでしょう。

「お金が足りない」事が原因で進学を諦めるのはとても悲しいことです。そうならない為にも高校生になったら、将来の事や進学先、それに伴う費用についても親子で話し合い、どのようにしていくのが良いのか方向性をある程度決めていくといいでしょう。

家族の家計状況を等身大で子どもに伝えることも大切なことです。家族の生活が破綻することなく、子どもの将来が輝かしいものにしていく為には、親が子供に準備してあげれること、子ども自身が努力するべきこと、お互いの歩み寄りが1000万円という教育費を乗り越える唯一の術かもしれません。特に奨学金制度には「成績」が重要視されることがわかっているだけでも、子どもにとっては勉強する意義が伝わるのではないでしょうか。

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