持つ物と持たざる者の差が!金融資産額は2年で140兆円増加
順調に増えている家計の貯蓄
マクロデータかもしれませんが、自分の家計と比較することで平均以上(人並み以上)なのかどうかを判断する1つの指針になるはずです。
2015年6月の公表された同年3月末現在の家計が保有する金融資産残高は、1708兆円と統計を取り始めてから初の1700兆円乗せとなりました。2014年3月末の残高が1623兆円ですから、1年で85兆円も家計の金融資産が増えたことになります。増加率は対前年同期比5.2%と、2014年中は2%台に甘んじていた増加速度が、再び加速した感があります。
前年同期を上回るのは18四半期連続ですから、かれこれ4年半も家計の金融資産残高は増加していることになります。加速度的に金融資産残高が増えているのは喜ばしい限りですが、その内訳をみると円安・株高による資産効果(価格の上昇)がその背景になるようです。持つ物と持たざる者の差がますます顕著になっていると考えられます。
株式・投資信託は2割超の増加
初の1700兆円台に乗せた家計の金融資産残高の内訳を見て行くことにしましょう。家計の金融資産残高の内、最も多いのは現金・預金で変わることはありません。対前年同期比より2.2%増加し883兆円となりました。残高に占める割合は51.7%と過半数を占めていますが、その割合は低下しています。現金・預金は増加しているのですから、株式や投資信託などの増加速度がそれだけ早いということになります。
その株式ですが、資金循環統計の大枠では「株式・出資金」となっています。対前年同期比では21.5%増の184兆円、残高に占める割合は10.8%になっています。株式だけに限れば、同20.0%増の100兆円となっています。100兆円は初かと思いきや、2007年6月末にも100兆円を超えていたようです。
投資信託の増加率は株式・出資金を若干上回り、対前年同期比21.6%増の95兆円となっています。資産残高に占める割合は5.6%です。また、外貨建て資産は対前年同期比17.2増の43.7兆円です。資産残高に占める割合は2.6%と低いものの、株式・出資金、投資信託、外貨建て資産を合わせた合計は322.7兆円。資産残高に占める割合は19%と2割に迫る勢いです。
現金・預金をしっかりと確保しつつも、徐々に貯蓄から投資へと資産を振り向けていることがうかがえます。また、株式・出資金、投資信託の対前年同期比の増加率が20%を超えているのは、それだけ円安・株高の進行が早かったと言えるでしょう。2013年も20%を超える増加率でしたが、日経平均株価の水準には最も安い時で1万398円、高い時で1万6320円ですから、株価水準から考えれば驚異的な上昇が続いていると言えるでしょう。
債券だけは減少が加速
順調に増加を続けている家計の金融資産残高ですが、唯一減少しているのが債券です。対前年同期比7.1%と大幅に減少しています。資産残高に占める割合も1.6%、金額にして27兆円しかありません。金利が低いことから新たに債券を購入しようと言う意識が希薄なうえ、満期償還を迎えた資金もほとんど再投資されていないことが要因でしょう。債券が残高を増やすのは、1にも2にも金利の上昇と言えますが、日本銀行が金融緩和のアクセルを踏み込んでいる限りは、金利の上昇は期待できそうにありません。つまり、債券の減少は当面続くと予想されるのです。
また、保険・年金準備金の対前年同期比の増加率も、1年振りに2%を超え2.1%となりました。昨年末からの長期金利の低下を背景に、貯蓄効果の高い保険がかなり売り止めとなりました。その売り止め前の駆け込み加入があっとことが背景と思われます。
皆さんの家計の金融資産残高は1年間でどのくらい増えましたか?