詰め込まれたのはライディングプレジャーそのもの
スペックなどはすでに発表済みで、前評判も高く、幸いにもひと足早く現物を見る幸運に恵まれていたこともあって、試乗前から期待値は相当な高さに達していました。それゆえ、実際に乗ってみないと分からない気づきで評価を下げてしまうのでは、という思いもあったのです。結果としては、その心配が杞憂だったと思えるほどハイレベルなモデルでした。
決して操りきれないレベルなどではなく、初めて大型バイクに乗る人でも「これなら全然怖くない!」と思える優しさを備えているのです。軽やかでありながら足まわりのグレードが高いので、そこそこのスピードで走っていても転倒する気がまったくしない抜群の安定感が最大の魅力と言えるでしょう。他メーカーのモデルと乗り比べたときにこそ、スクランブラーの真の実力を知ることができると思います。
スポーツバイクを手がけるメーカーとしてのプライドを見せつけつつ、現代のシーンに求められるスタイルとイタリアらしいプロダクトが融合したストリートバイク。「そんなに美味しいものをすべてミックスしたモデルが生み出せるものなのか」という課題に対してドゥカティが示したベストアンサーと言っていいでしょう。あらゆる遊び方に対して“ちょうどいい”を示してくれる優しい万能バイク、それがスクランブラーです。
この総合力でこの価格はお買い得!
さて、気になる価格ですが……ベーシックな『ROSSO DUCATI』(赤)で999,500円と、100万円を切ってきました。そのほか、今回試乗した『62 YELLOW』(黄色)で1,014,500円、さらに特有のキャラクターに仕上げられた『FULL THROTTLE』、『URBAN ENDURO』、『CLASSIC』のそれぞれが1,199,500円と、「え?本当に?」と聞き返してしまうほどの価格設定に。
例えば、今人気絶頂のヤマハ MT-09だと、ABS装着モデルで899,640円。性能は互角以上と言えますので、あとは差額の約10万円にどんな価値を見出すか。海外ブランド、イタリアンメーカーということに加え、スクランブラーというモデルのキャラクターを考えれば、さしたる差とも思えません。
ハーレーダビッドソンで見れば、103万円という価格設定のXL883RやXL883Lが比較対象になるでしょう。そこで気になる性能面ですが、“日本人が操る”という点で比較すれば、間違いなくスクランブラーの方が操りやすい。重量もXL883Rは264kgと、80kg近い差が。最後はライドフィールだと思うので、気になる方は乗り比べをしてみることをオススメします。
理想の姿を具現化したスクランブラー
ファッションカルチャーを楽しませる懐の深さを併せ持ちながら、オートバイに乗る楽しさや快感……“ライディングプレジャーとは何ぞや”という問いに対する答えをも示してくれている存在と言えます。気になる方にはぜひ試乗してみていただきたいですね、「大型バイクって重いってイメージ。とても扱えない」という印象を一変するとともに、ドゥカティというブランドに対して新たな印象を抱かれることでしょう。
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[DUCATI SCRAMBLER SPECIFICATIONS]
全長/2,100 - 2,165 mm
全幅/845mm
全高/1,150mm
ホイールベース/1,445mm
シート高/790mm
車両重量/
[Icon & Full Throttle]186kg
[Urban Enduro]192kg
[Classic]192.5kg
エンジン型式/L型2気筒 2バルブ デスモドロミック 空冷
排気量/803cc
燃料タンク容量/13.5L
フロントタイヤ/ピレリ製MT 60 RS 110/80 ZR18
リアタイヤ/ピレリ製MT 60 RS 180/55 ZR17
【メーカー希望小売価格(消費税込)】
[ROSSO DUCATI] 999,500円
[ICON 62YELLOW] 1,014,500円
[FULL THROTTLE] 1,199,500円
[URBAN ENDURO] 1,199,500円
[CLASSIC] 1,199,500円
(2015年6月現在)