北陸新幹線富山駅直下へ乗り入れた路面電車
北陸新幹線を富山駅で降り、改札口を出ると、コンコースの目の前に路面電車乗り場がある。以前は、駅前広場の先にある大通りに路面電車の停留場があり、駅前とはいえ、荷物を持って歩いて向かうのは少々面倒であった。雨や雪でも降っていれば、屋根のない停留場で電車を待つのが苦痛でタクシーに乗ってしまう人も多かったのではないだろうか。
そこで富山市では新幹線との有機的なアクセス向上を考え、路面電車の線路を160メートル延長し、新幹線の高架下に乗り入れることとした。北陸新幹線開業と同時に路面電車の新駅が誕生、これにより極めて乗り継ぎがよくなった。
新型低床式車両セントラムが走る環状線
路面電車というと古臭い乗り物というイメージを持っている人がまだまだ多いかもしれない。しかし、富山の路面電車は欧米では一般的となっている新型の低床式車両を導入し、快適な乗り物となっている。富山にはいくつもの路面電車のルートがあり、富山駅高架下に乗り入れている3つの系統のひとつに環状線(3系統)がある。これは、2009年末に復活した路線で、愛称は「セントラム」。すべて新型低床式電車で運行している。
環状線と言っても反時計まわりの単線だ。従来からあった複線の線路を丸の内まで走り、その先の新規開業区間に国際会議場前、大手モール、グランドプラザ前という3つの停留場が開業した。中町(西町北)で在来からの路線に乗り入れ富山駅に戻ってくる。高架下の新しい富山駅開業前は完全な環状線だったが、今は富山駅が行き止まりのため、進行方向を変えて(スイッチバックして)再び環状ルートへ戻るようになった。沿線には、国際会議場、市民プラザホール、県庁、ANAホテルなど公共施設が目白押しなので環状線の利用価値は高い。
観光用のレトロ電車
従来からある南富山駅前~富山駅~大学前は旧式の車両が多いが、サントラムという低床式の3車体連接車が少しづつ増えている。一方で、旧型車両を観光用に改装したレトロ電車も、JR九州などの観光列車デザインで有名な水戸岡鋭治氏が手掛けて注目されている。
富山ライトレール(ポートラム)の今後
富山には北口から富山湾沿岸の岩瀬浜に向かう富山ライトレールもある(通称ポートラム)。この路線こそが、「富山=新型路面電車」というイメージを植え付けた画期的な路線だ。2006年にJR富山港線のかなりの区間を再利用して開業したものである。目下は南口の路面電車とは別個の孤立した路線だが、富山駅の在来線ホームが高架化されれば、前述した路面電車の富山駅に北から乗入れ、環状線などとの直通運転も予定されている。今後ますます充実する富山の路面電車からは目が離せない状況である。