Vゾーン、スリット、シースルー
究極のドレスアップが期待されるメット・ガラでは、素肌もファッション演出の準主役。デコルテや胸元、脚などを巧みに露出する装いがフェミニンを薫らせます。Vゾーン、スリット、シースルーの見せ方にもさすがの工夫が感じられ、お手本にしたい気持ちに誘われます。新世代のファッションアイコンとしても脚光を浴びる女優のニコラ・ペルツ。気高さを漂わせる白のドレスは「BOSS(ボス)」の逸品。もともと社交界向け本格ドレスを得意とするデザイナーのJason Wu(ジェイソン・ウー)氏は、Vゾーンを深く切れ込ませながらも、ノーブルでイノセントな雰囲気をまとわせました。たっぷりのドレープが上半身のコンパクトさを引き立てています。
「Calvin Klein Collection(カルバン・クライン コレクション)」のレーシーなレッドドレスは網目状のシースルーが施され、女優ローズ・バーンに品格とたおやかさの両方を寄り添わせています。正面のVゾーンは深めで、官能美を醸し出しています。膝上まであるスリットもレッグラインをあでやかに際立たせました。深いレッド、丸いビジュー風飾りがオリエンタルなムードを印象づけています。
黒いレース仕上げのドレスは「Alberta Ferretti(アルベルタ フェレッティ)」の2015-16年秋冬コレクションから選ばれました。素肌を透かし見せる演出は春夏のイメージが強かったのですが、近頃は秋冬でもトランスペアレントの提案が増えてきました。女優のイモージェン・プーツがまとったドレスは手の込んだレースが繊細な美しさを演出。薄くゴシック気分を帯びていて、ミステリアスな着姿に導いています。
メット・ガラはメトロポリタン美術館の中にある衣装研究所「アナ・ウィンター・コスチューム・センター」を運営する資金を集めるソーシャルイベントです。ファッション研究を応援するプロジェクトだけに、本気のドレスアップが披露されるわけです。この催し自体がファッションの素晴らしさを発信する機会ともなっているのです。
普段はここまでのおめかしをするチャンスがなかなかないものですが、ファッション意識の高い来場者たちの装いにはモードの立ち位置や新トレンドの動向が写し取られているので、おしゃれの方向感をつかむうえで参考になります。全体的に言えるのは、ロマンティックでゴージャスなムードの復活と、気持ちを弾ませるような茶目っ気感の盛り上がり。どちらも楽観的な気分がベースになっているので、このあたりのマインドを頭に入れておけば、これからの着こなしに生かせそうです。
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