投資で失敗しないために押さえておきたいルール
資産運用で気をつけたいこと
私は、かつて銀行員として多くの資産運用に取り組む個人投資家の動向を見てきました。
残念ながら、資産運用デビューで失敗してしまう人もたくさんいます。そこで見てきた経験もふまえて、失敗しないための5つのポイントをお伝えします。
そもそも、資産運用は必要なのでしょうか?
答えはYESです。どんな人にとっても必要な時代になってきています。今、日本人がおかれている環境を考えてみましょう。まず、以前は60歳だった年金受給開始年齢が65歳に引き上げられました。今後も更なる引き上げが検討されています。また、日本の財政状況を考えると、消費税の増税は避けられません。老後資産の準備において、入ってくるお金は少なくなるのに、出ていくお金は多くなるという状況が続きそうです。
つまり、企業に勤めている人もご自身で商売をやっている人も、リタイアした方も専業主婦も資産運用を避けてはいられない。そういう時代になってきているのです。そして国は老後資産の準備は各個人でやりなさいよ!というメッセージを既に発信しています。
個人型確定拠出年金(DC)の対象者の拡充や、昨年から始まったNISA制度など、個人個人が資産運用に取り組むべき環境が整えられています。
では、資産運用を始めてみようかな、と思ったときに絶対押さえておきたい5つのポイントをお伝えします。
(1)すぐに始めよう!でも、少しずつ
資産運用と聞くとまずは色々勉強しないと、と思ってしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、コツは「やりながら覚えていく」です。泳げない人が水泳の教本を読んでも、泳げるようになりません。まずは、足の着くプール(失敗しても溺れない場所)で練習しますよね。それと同じです。やってみようかなと思ったら、失敗しても困らない金額で、すぐにでも始めることです。(2)いきなり大金を動かさない
資産運用では、一度に大金を動かさないことがポイントです。確実に泳ぎ方を身に付けるまで、潮の流れの速い海で泳いではいけません。信じられないかもしれませんが、銀行で資産運用を始める方の中には、退職金を受け取り、まとまったお金で投資デビューをされてしまう方も多くいます。泳いだこともないのに、いきなり海に飛び込んでも、うまく泳げるはずがありません。投資はまとまったお金が貯まってから始めるものだと考えている人も多くいますが、それは誤解です。毎月500円から投資出来る商品もたくさんあります。たとえば、1回の飲み代だと考えて、毎月5000円で投資してみるのも良いかもしれませんね。
(3)営業マンの言いなりにならない
資産運用を始めるにあたり、運用商品を取扱っている銀行や証券会社に相談しようという方は多いかもしれません。しかし、営業担当者は資産運用のアドバイスすることや投資教育をすることが仕事ではありません。コンサルタントという肩書きであることも多いですが、営利企業の営業マンです。金融商品の売り手が勧める商品が、本当に自分自身にとってベストな方法とは限りません。金融機関での売れ筋商品と金融機関で働く人が実際に利用している商品が一致していないということはよくあることです。書籍やインターネットを活用して客観的な情報を収集して判断することをおすすめします。
(4)資産運用で大事なのはコスト意識
資産運用で利用する投資商品には、必ず手数料がかかります。投資信託のように、手数料が明示されているものもあれば、保険商品や債券のように、明示されていない商品もあります。実は、同じような金融商品であっても、利用する金融機関や販売方法によってこの手数料は大きく異なります。お金を確実に増やせる投資商品は存在しませんが、継続的にかかるコストの差は確実に運用結果に大きな影響を与えます。余計な手数料を払わなければ、その分確実に手元に残るお金は増えます。
「資産運用のパフォーマンスを改善する、唯一確実な方法はコストの削減だ」ということを肝に銘じておきましょう。
(5)資産運用の目標を最初に確認しておく
資産運用をしていく際に、大切なことは目標の設定です。ただし、最初から詳細に決める必要はありません。ギャンブルみたいに一攫千金を狙いにいくのか、何年かかけて2倍にしたいのか、預金より多少マシな利回りでいいのか、おおまかな目標を決めておきましょう。たとえ、少ない金額であっても目標通り運用出来ているのか、確認をしながら経験を積んでいくことが重要です。
資産運用では、数年に一度は相場が大きく下落することもありますが、経験を積むことで、大きな失敗をする可能性は確実に減らせます。
コレに投資をすれば良いという万人に共通する正解はありません。これまで資産運用をしてこなかった人は、まずは気になった商品に少額で投資を始めてみましょう。始めてみることで気付くこともたくさんあります。そして、その経験が必ず財産となります。