子連れの熊は非常に危険。小熊がいたら親は側にいる。
カラスは産卵、子育て時期に凶暴になる
都心部でよく見かける「有害鳥獣」の代表と言えば「カラス」ですが、1年のうちに気をつけなければいけない時期があるのをご存知でしょうか? カラスは通常、3月から繁殖期を迎え、巣を作り始め、産卵、子育てを5月~7月にかけて行うとされています。この時期、カラスは雛を守るために凶暴になり、自分の縄張りに近づく人を威嚇したり、場合によっては襲ったりすることもあります。本来、カラスは攻撃的な動物ではありませんし、鳥類の中では非常に頭の良い種類でもあって、人の顔を覚えるとまで言われています。石を投げたり、花火で脅かしたりすると、復讐のために反撃してくる可能性もあります。
この時期はなるべく巣に近づかない、巣の方を見上げないなどで対応すれば良いのですが、お子さんの通学路などで被害の可能性があるなど、止むを得ない場合は巣の撤去を考えないとなりません。ただし鳥獣保護法というものがあって、野生動物は許可なく殺傷、駆除することは禁じられていますので、家の近くに巣が出来てしまった場合は必ず市役所などに相談の上、業者などの専門家に撤去をお願いするようにしてください。また、カラスは人を襲うときに後方から頭を掴んだり、突いたりする傾向があるので、厚手のひも付きの帽子(取られない)をしましょう。またカラスは羽に物が触れるのを恐れるので、肩越しにステッキや傘など、棒状の物を上空に突き出して歩いていると近づいてこないようです。
都会に進出する動物たち
近くに生息地のある山林がある住宅街では、猿やイノシシなどが出没する場合もありますが、東京などの都会でも驚くほどの「野生生物」が生息しています。近年、よく見かけられるのがタヌキ、アライグマ、ハクビシンなど。2012年の調査では23区内でタヌキだけで1000頭以上生息していると推測されています。またアライグマやハクビシンなども増加傾向にあると見られていて、これらの動物は繁殖力が非常に強く、すでに定住化している地域もあるようです。見た目の可愛さとは裏腹に、鋭い爪を持ち、噛まれて怪我をするなどの被害も出ています。
この三種類の動物は雑食性で、農作物に被害を与えるだけでなく、魚や鳥などのペットに被害を与えることもあります。また家屋に浸入して糞尿を残していったりするため、ノミ、ダニなどを繁殖させる原因になります。さらに、それらの虫などを媒介とした感染症の危険もあるので繁殖の手助けになるような餌やりは絶対に止めましょう。先日、高尾山の頂上付近で顔を出したタヌキに、お弁当の残りを上げようとしていた女性グループに注意をしましたが、生態系の破壊につながる行為は慎んで欲しいものです。
熊と相対して生き残るためには?
この数年、空前の登山ブームで老若男女、多くの人が山に入るようになりましたが、山の中では様々な動物に出会う機会があります。先日、奥多摩で二頭のカモシカに遭うことがありましたが、静かにしていたためにゆっくりとその美しい姿を観察することが出来ました。鳥、ウサギ、キツネなど、自然の中で出会う動物たちは感動を与えてくれますが、あまり出会っても有難くない動物たちも山の中には多数生息しています。イノシシ、熊など危険な大型の野生動物には、通常は出会う可能性は少ないのですが、もしも出会ってしまったらどうすればいいのでしょうか。
イノシシ、熊などに遭う可能性がある生息地に入る場合は、基本的に熊鈴などを常備しましょう。これらの動物は基本的に金属音に対して警戒しますので、近づいてくることはありません。3年前に富士山近隣の低山で体長1.5mほどの熊に出くわしてしまったのですが、熊と出会った時の基本「目を離さずに静かに後ろ向きに離れる」をしたところ十秒後には向こうから目を逸らして走って逃げてくれました。近づいてきた場合にはザックなどの荷物を投げるとそちらに興味を持ってその隙に離れることが可能になる場合があります。絶対に後ろを向いて走って逃げないように。反射的に追ってきて襲われる可能性があります。
「死んだふりをする」「木の上に登る」など熊に対する間違った対処方法が伝わっていますが、この二つは全く効果がありません。熊に襲われて助かった人に聞くと、少しでも生き残る可能性を広げるには、最終的には戦って相手の戦意を喪失させるしか方法はないようです。熊撃退には、市販されている唐辛子入りスプレーなどを持っていればベストなのですが、熊の急所である鼻を目がけ、硬質なものを当てることが出来れば、逃げていく可能性は高いと思われます。イノシシ、熊共に、子連れの場合、親は捨て身で人間に向かって来ますので、とにかく近づかないこと。熊鈴を常にザックに付けて行動することを忘れないように。