往年の軽便鉄道の雰囲気が残る四日市あすなろう鉄道
長年、近鉄内部(うつべ)・八王子線として親しまれてきた路線は、2015年4月1日に第3セクターの四日市あすなろう鉄道として再出発することになった。さっそく訪問して、所要時間が17分(内部線)と8分(八王子線)というミニ路線全線を乗りつぶしてきたのでレポートしてみたい。
起点となるあすなろう四日市駅は、近鉄名古屋線と湯の山線の高架下にある。自動改札機のない昔ながらの小さな改札口を抜けると、1本だけホームがあり、その両側に電車が発着する。ごく一部の例外をのぞいて、改札側から向かって左側が内部(うつべ)行き、右側が西日野行きとなっている。昼間は、どちらも30分毎の発車で、2つ先の分岐駅日永(ひなが)までは、ほぼ15分に1本電車が走る。
ホームに出ると、まもなく折返しの西日野行きがやってきたので、これに乗り込み、まずは西日野を目指した。線路幅762mmという狭さだけあって、車体は遊園地の列車のように小さい。ちなみに、国内に現存する762mmの旅客鉄道(通称ナローゲージ)は、黒部峡谷鉄道(富山県、通称「トロッコ電車」)、三岐鉄道北勢線、とこの四日市あすなろう鉄道の3つだけ。そのうち黒部峡谷鉄道は冬季運休なので、一年中定期的に走っている762mmの旅客鉄道は2つだけ。いずれも三重県にあるとは面白い。
狭いけれどクロスシートでプチ旅行気分
通常、車体の左端に寄っている運転台も、あまりの狭さのためかど真ん中にある。先頭車両はクロスシートで、一人掛けの座席が、すべて進行方向を向いて並んでいる。電車というよりはバスのような感じだ。座席の向きは変えられない。
3両編成の真ん中の車両はロングシートだ。席に着くと、向いに座った人と膝がすれ合いそうだ。同じ線路幅の北勢線では、婚活列車を運転したというが、この狭さなら「お見合い」には適しているかもしれない(笑)
最後尾の車両も先頭車両と同じく一人掛けのクロスシートだ。進行方向とは逆向きに座ることになる。終点に着いて折り返すと、今度はこちら側が進行方向に向いた座席となる。要するにいつも先頭車に乗れば、前向きのシートに座れるということだ。