古民家ならではのゆとり
築約80年の落ち着きが魅力
2階にお邪魔しましょう。2階は寝室とリビング空間になっています。床は、すべて幅広の桐(きり)のフローリングです。かつての和室に残されていた欄間、床の間、床脇などが残されていて、不思議と落ち着ける空間となっています。床の間側の窓は、今の家では考えられない大きさの引き違い窓です。これは、外枠は以前のまま残し、ガラス戸の枠やガラス(省エネ性の高い複層ガラス)を交換して隙間風対策を施したものだそうです。古い家に特有の窓際の寒さは、すっかり解消されています。
美しい欄間も残されている
広めの床の間(左)と床脇(右)。床脇には違い棚の上下に2枚引き違い戸の地袋と4枚引き違い戸の天袋が造りつけられたもの
1階のキッチン部分なども通常の家より天井が高いのですが、土間だった部分はさらに天井が高く、ソファに座るとなおさら高さを感じることができます。今はまだ予定がないそうですが、いずれはこのスペースでイベントやカフェを開くなど、さまざまな使い方を考えていきたいということです。
土間部分の天井が高く、通りとはガラス戸で仕切られているため、相当な開放感を味わうことができる
商家(店舗兼住宅)建築の典型の一つで、軒が前面に大きく張り出した「出桁造り」になっている。出桁を乗せている腕木の先に銅板を張って耐久性も高めている
相原まどかさん(YUUA建築設計事務所)