その1、「電車」だけではない、鉄道車両の奥深いバラエティ
線路を走る鉄道車両はすべて電車だと思っていないだろうか? 地域や路線によっては電車しか見ることができない場合もあるけれど、鉄道車両は、動力の面で電気のみならず、多様なものを使っていてバラエティに富んでいる。まずは、ディーゼルカー。電気ではなく、軽油を燃料とするディーゼルエンジンで動く。架線を張って電気を流すのは多大な費用がかかるので、列車本数の少ないローカル線はディーゼルカーが主力だ。
鉄道のルーツは、石炭を焚いて、お湯を沸かし動力とする蒸気機関車(SL)。一旦は過去の遺物として全廃となったけれど、観光用やイベント用に相次いで復活し、日時や路線限定ながらその雄姿を見ることができる。この蒸気機関車は動力のみで、乗客はSLが引っ張る無動力の客車に乗る。
こうした客車を引っ張るのは、蒸気機関車以外では、電気機関車やディーゼル機関車である。諸外国では、まだまだ機関車の引っ張る客車列車がたくさんあるけれど、ガラパゴス的な独自の発展を遂げた日本では壊滅状態で、寝台列車が相次いで廃止された今、残るのは「カシオペア」、「はまなす」、臨時列車となった「北斗星」と「ななつ星in九州」だけになってしまった。
このほか、珍しい動力としては、鉄道馬車、水力で動く登山鉄道(ドイツにある)、人車(人が客車を押す)がある。最近では、電車とディーゼルカーの方式を併せ持ったハイブリッド車両、蓄電池で動く電車(JR烏山線のアキュム)など様々な動力のものが登場している。
鉄道ファンなら、まとめて「電車」という不正確な言葉を使わないで「列車」という用語を使おう。