ストリート750の魅力を引き出す最大の手段はカスタム!
クイックな走り出しにシャープなライディングフィール、滑らかな挙動など、これまでのハーレーダビッドソンとはまったく異なる視点から生まれたストリート750。あまりに真逆のアプローチであることから、既存のハーレーオーナー間では賛否両論あるモデルではありますが、先入観抜きでオートバイとして乗ってみれば、ストップ&ゴーが多い都心部でもしっかり楽しめる一台として仕上げられていることに気づけるでしょう。そのストリート750は、3カラーともモノトーン(単色)仕様。これは、新たにオーナーとなる人が自身の理想とするグラフィックに仕上げられるキャンバスであるというメッセージが込められているから。そう、ストリート750とともに歩むなら、カスタムをして楽しまねばもったいないのです。
日本ではまだデビューしたばかりなので、現在のカスタムパーツで適合するものがあるのか、そしてパーツメーカーが専用のカスタムパーツを手がけるのかは、これから。なので、「ストリート750って、どうカスタムしたら、今よりずっとカッコよくなるか」という問いに対する明確なスタイルは出ていません。とはいえ、「想像するほかない」というのも、身も蓋もない話になっちゃいますよね。
半年以上前から海外ではデリバリーが開始されており、アメリカやインドではカスタム ストリート750が続々と登場しています。こちらはアメリカのとあるショップが手がけたもので、ハーレーの歴史にその名を残す名レーサー、XR750を模した一台。唸るほかない完成度の高いストリート750、パッと見ただけなら「この姿になるなら、自分も!」と思われるかと思います。ただ、アメリカには車検制度がないこともあり、こちらの一台はエンジン以外すべてカスタムされています。それこそ、フレームまで変わっているのです。この写真を見ただけでも、カスタム費は200万円に達しているものと思います。もちろん、車両代は別途で。
ストリート750を選んだ理由が完成度を左右する
ハーレーの最新モデルが扱えるのは正規ディーラーが主となるので、当然ディーラー各店ではストリート750のカスタムプランをまさに練っている真っ最中。エンジンがコンパクトで車体も細いですから、良い意味でどんな姿にでもカスタムできる柔軟性がストリート750の魅力。カウルを付けたレーサー系、前後フォークを伸ばしたトラッカー系、無駄を削ぎ落としたチョッパー系、あえてマッシブなスタイルとするクルーザー系など、その種類は多岐に渡ります。その一方で、ハンドルやシートを換えるというボルトオンカスタムだと、選び方次第では物足りなさが出てしまうところがストリート750の弱点と言えるでしょう。40~50万円ぐらいの予算を上乗せしてフルカスタムしてしまった方が、キャラクターはもちろん見栄えにも大きな差が出てくると思います。85万円に50万円を上乗せしたら135万円。今人気ナンバーワンのXL1200X フォーティーエイトと比べても、まだ10万円ほどのお釣りが来る計算です。現時点では完成度という点でフォーティーエイトの方が勝っている感がありますが、手の加え方次第で本家をしのぐ可能性を秘めているのもまた事実。
重要なのは、“ストリート750でどう遊びたいのか”。
そして、“なぜストリート750を選ぶのか”。
前のページでも述べたとおり、このカテゴリーには価格差が大きくない各種モデルがメーカー別に揃っています。おそらく走行性能だけで言えば、MT-07やMT-09に軍配があがるでしょう。タウンユースでのコンパクトな取り回しや軽快感で言えば、230kgのストリート750に対して170kgのドゥカティ スクランブラーが優れているのは間違いありません。その他のモデルも然り。どのモデルにもメーカーの“らしさ”が含まれており、そこには独自性、いわゆるキャラクターが存在します。
ストリート750を楽しむ最大の魅力は、カスタム。ただ、オーナー自身が“遊び方”や“理想の姿”という明確なビジョンを持って走り出してやらないと、おそらくその魅力の半分も引き出せないのでは、と思うのです。
カスタムと聞くと、デコレーションなイメージを描かれる方もいらっしゃるかと思いますが、私自身は“万人向けの量産型オートバイを、オーナーのライフスタイルに合った特別な一台に仕上げること”だと考えています。もちろんデコレーションもカスタムのひとつですが、この世に一台だけ、それも自分にしかフィットしない特別な一台を手にすることは、オートバイ乗りとしてこのうえない喜びと言えます。
カスタムについてエラそうに講釈垂れている私ですが、かくいう自分の愛車はこれ。ハーレーダビッドソン スポーツスター XL1200R (2008年式)で、大阪のトランプサイクルというカスタムショップでレーサースタイルにまとめてもらいました。オートバイとしてナチュラルなポジションと軽量化を施し、スポーツスターをよりレーシーにした一台。
グラフィックは、カラーリングをヨーロッパテイストなブルーグレーとしつつ、'80年代スポーツカーに見られたデザインを取り入れています。もちろん費用も大変かかりましたが、以前にも増して乗ることが楽しくなりました。これはあくまで一例です、ひとつの目安として見ていただければ、と思います。