ガラケー復調? 14年度の出荷台数が前年を上回る
先日、ガラケーの人気が復活しつつあるという調査結果が話題となった。MM総研の調査によると、2014年1~12月の国内携帯電話端末の出荷台数において、フィーチャーフォン、いわゆるガラケーの出荷台数は1058万台と昨年と比べて2.1ポイント増になったという。iPhone3Gが登場し、スマートフォンが年間100万台規模で出荷され始めた2008年以降で、フィーチャーフォンの出荷台数が前年を上回るのは初めてのことだ。
スマホ人気に陰り キャリアやメーカーも「スマホ重視」路線を転換
これまで各携帯電話会社やメーカーは、スマホを中心とした端末ラインナップ、販売促進に注力してきた。なぜなら、スマホは通信料金がガラケーと比べて高いために、収益面にプラスに働くからだ。ガラケーとなれば、通話専用で使えば月額2000円程度に収まるが、スマホとなればデータ通信が頻繁に発生するため、7000円以上の通信費になることがほとんどだ。各携帯電話会社が利益を出すために、スマホを売りまくっていたという経緯がある。しかし、ここ最近になって、スマホ人気に陰りが出始めている。MM総研の調べでも、スマホにおける2014年の出荷台数は2770万台で、前年から5.3%も減り、2年連続でマイナスとなった。
これまでは、スマホは大画面化やチップセットの進化、バッテリー寿命の改善など、機能強化が図られており、それが買い換え需要につながっていたが、その進化も止まりつつある。「スマホの新製品にワクワクしなくなった」というのが出荷台数の減少につながっているのかも知れない。
一方、ガラケーに関しては、「ガラケーがいい」という根強いファンがおり、スマホには乗り換えないと言う人が多いようだ。
ガラケーは「バッテリー寿命が長い」「維持費が安い」といったメリットだけでなく「使い慣れている」「片手操作がしやすい」という点も支持されている。特に赤ちゃんを抱きかかえながら操作をしたいママたちにとっては、片手で文字入力がしやすいとあってガラケー支持者が多かったりもする。
その状況をとらえ、各キャリアやメーカーも、これまでの「スマホ重視」の路線を転換。ガラケーユーザーの為の施策を展開するようになった。
例えば、KDDIは京セラ製のガラケーで、相次いで新製品を投入。これまで「新しいのが欲しかったが、新製品がなくても選べない」と困っていたガラケーユーザーの気持ちをとらえることに成功し、かなりのヒットとなった。
しかし、ガラケー業界では大きな課題を抱えている。
“作りたくても作れない”ガラケー業界を救う「ガラホ」
ガラケーは一時期、生産数が激減したことで、部材を製造するメーカーが相次いで撤退。側面のボタンを押すとすぐに折りたたみが開くと言った「ワンプッシュオープン」などの部材が足りない状況になっている。また、ガラケーを動かすための「チップセット」も在庫が少なくなってきており、ガラケーを“作りたくても作れない”という窮地に陥りつつあるのだ。
そんななか、シャープは「ガラホ」こと「AQUOS K」を投入してきた。見た目は折りたたみのガラケーであるが、スマホのOSであるAndroidを採用し、スマホ向けのチップセットを使うことで、将来的にも部材を調達しやすい環境が整った。
AQUOS Kはガラケーユーザーのために作られており、操作性もほとんど変わらず、安心して使える設計がされている。また、AQUOS Kでは、スマホ向けのサイトを閲覧できたり、LINEなどが使えるようになっている。ガラケーは新たな進化がほとんど無かっただけに、「ガラケーで新製品が欲しい」というユーザーの気持ちをとらえることになりそうだ。
これまでは、「ガラケーがいいが、LINEを使っていないと仲間はずれになるから、仕方なくスマホデビューした」という人が多かった。AQUOS KではLINEも使えるようになるため「ガラケーで電話とメール、LINEが使えれば充分」というニーズにも対応できることとなる。
シャープではガラケーユーザーのためにAQUOS Kを開発したが、今後は、もっとスマホの操作性に近いが見た目はガラケーという製品を投入するメーカーも出て来るだろう。
2015年は「見た目はガラケー、中身はスマホ」という「ガラホ」が市場を大きく伸ばしていきそうだ。