ハーレーダビッドソンの壮大な歴史を物語る巨大施設
ハーレーダビッドソン モーターカンパニー社は、アメリカ・ウィスコンシン州ミルウォーキーという街にあります。ここは1903年創業時の場所でもあり、変わらずこの地でモーターサイクルを作り続け、世界に向けて魅力的なモデルを送り出しているのです。2008年7月、ちょうど創業100周年を迎えたカンパニーはここミルウォーキーに、その伝統を語り継ぐ巨大ミュージアムを建てました。それがこの『ハーレーダビッドソン ミュージアム』。ここには創業から現在に至るまで生み出された数々のハーレーダビッドソンが展示されており、今回は実際に現地を訪れた私が、その模様をお届けします。
まずはミルウォーキーの場所を見てみましょう。
アメリカ北部に巨大なミシガン湖が広がっており、そのすぐそばにあるのがウィスコンシン州最大の都市ミルウォーキー。日本から5000km以上も離れているこの地は、札幌やミュンヘンと並んで世界三大ビール生産地としても知られていますが、やはりここを有名にしているのはハーレーダビッドソン。日本からは、まずシカゴまで飛行機で飛び、そこから電車(約1時間40分)ないしバス(約2時間)で揺られて赴くというのがオーソドックスな手段です。
最寄り駅から徒歩10分、ミルウォーキーの中心部にあるハーレーダビッドソン ミュージアムは、街中を行き来する川が周辺を流れる中州のようなところにあります。広大な敷地には芝生が一面に敷き詰められたエリアやバー&レストラン、専用グッズのショップなどが併設されており、一日中いても飽きないほど見どころに溢れています。入場料は、大人(18~64歳)が18ドル、子ども(5~17歳)が10ドルという設定。創業から現在に至るまでのあらゆるハーレーダビッドソンが展示されているので、ファンの目線で見れば実にリーズナブルな価格設定ですね。
伝統の深さを感じさせる荘厳な内部
ミュージアムのエントランスはこのような感じです。まず目に飛び込んでくるのは、エントランス左側、大きく引き延ばされた創業者4名のパネルフォトでしょう。[左]左から、アーサー・ダビッドソン、ウォルター・ダビッドソン、ウィリアム・S・ハーレー、ウィリアム・ダビッドソン [右]創業当時の小屋を再現したもの (ミュージアムではなくH-D本社敷地内にあります)
1903年、ここミルウォーキーの小さな小屋で、一台の原動機付き自転車が開発されました。手がけたのは、創業メンバー4名のうちのふたり、ウィリアム・S・ハーレーとアーサー・ダビッドソン。そこにアーサーの兄弟ふたりが加わり、事業拡大を展開。当初は細々と広げていっただけでしたが、手がける製品の心臓とも言えるエンジンがグレードアップしていくにつれて大きな市場を生むようになり、ハーレーダビッドソンの名はアメリカのみならず、世界に知れるところとなっていったのです。
エントランスから2階へと階段をあがったすぐのところに展示されているのがこちら、“シリアルナンバーワン”。文字どおり、110年を超える伝統の第一歩となったハーレーダビッドソン第一号機です。当時は自転車をベースに、ガソリンで動く原動機エンジンを積んだ乗り物が主流で、今のようなオートバイの形が生まれるのはもう少ししてから。その頃の日本は明治36年、第一次大戦はもちろん日露戦争の前で、ライト兄弟が人類初の動力飛行に成功した年、と聞くと、その歴史の深さが実感できるのではないでしょうか。
続いて次ページより、ミュージアム内に展示されるハーレーダビッドソンの数々の名車をご紹介していきます。