一時払いで契約した保険も生命保険料控除の対象に
保険料の一時払いとは、契約したときに全部の保険期間の保険料をまとめて(一時で)支払うことです。例えば、保険期間が20年の保険を契約する場合、20年分の保険料を最初に払ってしまうことです。保険料の払い方には月払い、半年払い、年払い、前納・一括払いなどがあります。中でも一時払いは、支払う保険料の総額が最も安くなる払い方です。まとめて払うと、それぞれの払い方に応じた割引率が適用されて保険料が割り引かれますが、その割引率は一時払いが最も高いからです。つまり、同じ保障を得るために支払う保険料を少なくできるということです。
一時払いできる保険の種類は終身保険、養老保険、個人年金保険、こども保険などです。これらの保険は、一時払いを含めて払い方を選択できる商品と、一時払いのみの商品があります。最近では定年退職者向けに一時払い専用の商品が販売されるようになっています。
そして、一時払いした生命保険料も、「生命保険料控除」の対象になります。
払った年に限り、全額が控除の対象になる
「生命保険料控除」とは、支払った保険料の一定額がその年の所得から控除され、所得税と住民税が安くなる税法上の特典です。生命保険料控除には「一般の生命保険料控除」、「介護医療保険料控除」、「個人年金保険料控除」の3つがあります。また、支払った年間保険料の金額によって異なる控除が受けられます(控除額は下表参照)。
控除の最高額は「一般生命保険料控除」、「介護医療保険料控除」、「個人年金保険料控除」それぞれ4万円(住民税は2万8000円)で、合計して12万円です。平成23年12月31日までに加入した旧契約は「一般の生命保険料控除」、「個人年金保険料控除」それぞれで5万円(住民税は3万5000円)で、合計して10万円(住民税は7万円)です。
個人年金保険に一時払いで加入した場合は注意
一時払いで契約した生命保険の保険料も、払った年に限りますが、全額が「一般の生命保険料控除」または「介護医療保険料控除」の対象になります。個人年金保険を一時払いで契約した場合も「一般の生命保険料控除」の対象となり、「個人年金保険料控除」の対象にはなりません。個人年金保険料控除が適用される条件のひとつに、「10年以上の期間にわたる定期的な保険料の払い込み」があるためです。
なお、外貨建て(米ドル・豪ドルなど)の保険に一時払いで加入した場合は、日本円に換算した保険料が「一般の生命保険料控除」の対象になります。
控除額には上限がある
「一般の生命保険料控除」、「介護医療保険料控除」の控除額を計算するとき、複数の保険に入っている場合は全部の保険料を合計します。既に分割払いで入っている保険の保険料で控除額いっぱいまで使っている人は、残念ながら一時払いで払った分は、税金を安くする効果はありません。会社員は年末調整で忘れずに手続きを
生命保険料控除は、会社員は年末調整で受けることになります。もし、会社に生命保険料控除を受けるための書類を提出し忘れた場合は、翌年、確定申告をすれば所得税の払い戻しを受けられます。また、自営・自由業者は確定申告が必要です。【関連記事】
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