スッキリしたルックスに似合わぬ大容量の秘密
多分、カバンの理想の一つは「見た目よりも遥かに収納力がある」ということでしょう。それは、デザインや素材、内装といったカバンのあらゆる要素がうまく噛み合って初めて成立するのですが、一方で、ほとんどのカバンは、長い年月の中でそのデザインを磨き上げてきたわけで、ある程度は、見た目よりも収納力があるデザインの法則のようなものは既に出来上がっています。だから、現代のカバンにあっては、さらにアイディアと工夫を重ねないと、普通のカバンにしかならないのです。エムピウのカバンを使っていて、いつも思うのは、その見た目のスタンダードなスタイルと、使って初めて分かる見た目の持つ意味のギャップです。今回紹介する「DUNA II」も、牛革の素材の味を最大限に見せるデザインのシンプルなショルダーバッグにしか見えないし、実際、その通りで、そこに最大の魅力があるのですが、使ってみて感じるのは、やけに沢山の荷物が入る事。そして、沢山の、しかも、どちらかといえば、かさばる荷物を入れても、あまり見た目に変化がない事です。だから「本当に見た目以上」に荷物が入っているように見えます。
もちろん、そんな四次元ポケットのような事はなくて、実際は、容量の割りにコンパクトに見えるデザインと、大量の荷物を入れても形が崩れにくいという事と、革の使い方の上手さによって実現しているわけです。この「DUNA II」の前モデルの、羊の革を使った製品とデザインも仕様も、ほぼ同じなのですが、牛革の張りがあって、しっかりと箱形に成形できる点で、全く別のカバンになっています。前モデルのカジュアルな軽さも良かったのですが、「DUNA II」の、身に纏えるトランクのような使い勝手もまた違った良さがあるわけです。
考えられたショルダーバッグとしての機能
ショルダーバッグとしての機能の一つとして面白いのは、革を二つ折りにしたショルダーストラップです。長さを無段階に調整できるのはもちろん、肩への当たりの柔らかさといい、二つ折りにしているために、ストラップ全体がやや内側に傾斜していることによる、肩への収まりの良さと滑り落ちにくさなど、中々良くできたストラップなのです。革を二つ折りにするという革製品メーカーならではのデザインが、同時にショルダーストラップとしての機能性も持つというのも、エムピウのカバンらしさでしょう。ポケットを外側でなく、体に当たる内側に配置しフラップに邪魔されずに出し入れできるのも、実際に使っていて初めて分かる便利さ。実際、体に当たる側にポケットがあると、まるで服に付いたポケットのように扱えます。それこそ、ポケットに入らないと評判のiPhone 6 Plusなどを入れるのに丁度良い位置とサイズでしょう(ガイド納富はiPhone 5sユーザーなので実験は出来ないので実際のところは分からないのですが)。
内部はカバンの高さの真ん中当たりに三つ並んだオープンポケットと、その対面にファスナーポケットのみ。あとは、A4ファイルを縦にも横にも収納出来るサイズのメインコンパートメントです。このメインコンパートメントのサイズ設定が上手く、例えばマチ幅は標準ズームレンズを付けた状態のやや大きめのミラーレス一眼がスッポリ収まるサイズです。その横にA4ファイルを縦に入れる事が出来て、そのファイルの手前にタブレットやノートを収納しても、まだ、たっぷりと余裕があります。普段使いの小物類は、オープンポケットに分類して収納。ガイド納富は、ここにポケットWi-Fiと名刺入れ、イヤフォン、モバイルバッテリー、コンパクトデジカメ(オリンパス「TG-3」)を入れています。
これだけ入れてもさらにマチ幅に余裕があるので、折畳み傘やScanSnap iX100などを入れて持ち歩く事も多いです。それらを収納して、出先で次々と取り出すと、「カバンのサイズの割りに色々持ってきてるねー」と言われたりする訳です。マチ幅も、実際それほど大きい訳では無いのですが、革が柔らかい事、多少幅のあるモノを入れても裏側が膨らんでマチを作るので全体の形が崩れて見えない事、体へのフィット感が良いので、大きなカバンを持っているといった印象を与えにくい事といったあたりが、カバンをコンパクトに見せている秘密のようです。
ガイド納富の「こだわりチェック」
全体に牛革を使って、内装は布貼りと、しっかりと作られたカバンなので、決して軽くはありません。でも、ショルダーストラップの出来の良さや、カバン自体の幅が狭く体に沿うように持ち歩ける事など、肩に掛けている時の安定感が良く、使っているとさほど重さを感じないのも、このカバンの良いところ。フラップにファスナーやホックが無いため、ただフラップを持ち上げれば中にアクセスできる簡単さと、その動きをスムーズに楽に行えるように考えられた短めのフラップの長さも、歩きながら開閉すると、その丁度良さに感心します。このあたり、いつもながらのエムピウのクオリティですね。型押しなどもなく、一枚革のフラップといい、表側の縫製の少なさといい、肩から下げた時にショルダーバッグながら、ちょっと大人っぽい風情があって、ちゃんとした場所にも持っていけそうなムードに仕上がっているのも、この「DUNA II」の大きな特長の一つ。どこにでも安心して持っていけるショルダーバッグというのは、これが本当に珍しいのです。
<関連リンク>
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