スタイルを一新した人気の限定ハーレー
ハーレーダビッドソンのカテゴリーでも日本人に親しみ深いファミリー、ダイナ。2015年ニューモデルとして、屈指の人気モデルであるFXDL ローライダーのデビューが話題を集めましたが、限定生産モデルとしてこのFXDBB ストリートボブ リミテッド(以下 リミテッド)も日本上陸をはたしました。キャラクターだけで見れば、ローライダーとは異なった個性を持ち合わせていることが伺えます。その名からも伺えるとおり、ベースモデルとされるのは2014年もラインナップされているダイナ随一の人気モデル FXDB ストリートボブ。ツインカム96エンジンを心臓とするスポーツ走行性能を備えたビッグツインで、うずたかく持ち上げられたエイプハンガー(ハンドルバー)、ブラックアウトしたレースが印象的なスポークホイール、シルエットを重視したコンパクトなソロシートにチョップドリアフェンダーなどを持ち合わせたチョッパースタイルが特徴的。ハーレーダビッドソンと聞いてイメージされる王道スタイルのもっともオーソドックスなものですね。
ハーレー特有のトルクを味わえるツインカムのパワーとチョッパーライクなスタイリングから、映画『イージー・ライダー』に登場するキャプテンアメリカ号のように、ダーティに見せながら悠々と走るところに魅力を感じるモデルです。名前に“ストリート”と入っていることから、アメリカではこれほど大柄なオートバイでありながらも街中を流しながら走るのが主とされるようです。
ベースモデルとは似ても似つかない攻撃性
今回デビューしたリミテッドですが、その名を聞かずにスタイルだけ目をやると、とてもストリートボブがベースとは思えない攻撃的なスタイルが印象的です。「どこが?」という点について、ディテールをチェックしていきましょう。シートはフラットでスタンダードなのですが、その乗り方を決定づけているのはハンドルとステップ位置。まずハンドルですが、FXDF ファットボブに装着されているドッグボーンライザー&ドラッグバーという、いわゆる一文字型ハンドルが採用されています。このドラッグバーというのはその名のとおり、アメリカのモータースポーツ競技『ドラッグレース』がその由来で、直線でのスピード勝負をすることから曲がることをほぼ放棄したスタイルなのです。
右折する際、ハンドルを掴む右手を手前に引くと、自然と左手は前へと引っ張られます。ドラッグバーだと一文字のため、通常のスタイル以上に遠くへ引っ張られるのです。それが“コーナリングに不向き”と言われる所以です。
そしてフォワードコントロールとされるステップ位置。こちらはFXDWG ワイドグライドと同じ仕様とされています。どう見ても身長180cmぐらいの方を見越したものとしか思えないワイドグライドのステップがそのまま採用され、なおかつ腕が伸び切るであろうドラッグバーという組み合わせは、FXSB ブレイクアウトに匹敵するタイト極まりないポジションになることは想像に難くありません。すでに乗る前から操る難しさがよぎるこのモデル……。そんなリミテッドにいよいよ乗ってみることとします。