日本代表・Jリーグ/サッカー日本代表 最新コラム

アギーレ新監督の日本代表の初陣を検証!

2018年のロシアW杯へ向けて、日本代表が新たなスタートを切った。ハビエル・アギーレ新監督のもとで、9月5日にウルグアイと、同9日にベネズエラとテストマッチを戦ったのだ。メキシコ人指揮官のもとで生まれ変わった日本代表の初陣を追いかけた。

戸塚 啓

執筆者:戸塚 啓

日本代表・Jリーグガイド

”ポストW杯”を告げた選手起用

経験や実績にとらわれない代表生き残りのサバイバルが、いよいよ幕を開けた。

経験や実績にとらわれない代表生き残りのサバイバルが、いよいよ幕を開けた。

札幌で行われた9月5日のウルグアイ戦は、0対2で敗れた。横浜へ舞台を移した9日のベネズエラ戦は、2度のリードを守りきれずに2対2で引き分けた。就任後初勝利は10月以降に持ち越されたが、ハビエル・アギーレ監督(55歳)はチームに冷静な視線を注ぐ。

今回のテストマッチを、メキシコ人指揮官は「選手の見極め」と位置付けていた。9月、10月、11月に2試合ずつ、合計6試合のテストマッチを通して、来年1月のアジアカップに臨むメンバーを絞り込む構想だ。

果たしてアギーレ監督は、意欲的な選手起用で“ポストW杯”の到来を告げる。 

試合前日に「ベストの11人をスタメンに選ぶわけではない」と予告したように、ウルグアイ戦ではセンダーバック坂井達弥(23歳・サガン鳥栖)とフォワード皆川佑介(22歳・サンフレッチェ広島)が先発に指名された。どちらも代表初選出の選手だ。また、2012年2月以来の代表入りとなったミッドフィールダー田中順也(27歳・スポルティング/ポルトガル)も、スタートリストに名を連ねた。

FC東京で売り出し中の武藤嘉紀(22歳)は、後半途中から出場した。イケメンの現役慶大生として注目されるドリブラーも、代表初選出である。後半終了間際には、ヴィッセル神戸の攻撃的ミッドフィールダー森岡亮太(23歳)もピッチに立った。彼もまた、日本代表のユニフォームに初めて袖を通した。

続くベネズエラ戦では、柴崎岳がスタメンで起用された。鹿島アントラーズに所属するプロ4年目の22歳は、攻守に強い影響力を持つボランチだ。ワールドカップに3大会連続で出場した遠藤保仁(34歳・ガンバ大阪)の後継者と期待されている。1対1で迎えた67分には右足ボレーを叩き込み、アギーレ監督に鮮明なる解答を示した。

後半開始から途中出場した武藤も、代表初得点を記録した。フィールドのほぼ中央からドリブルで持ち込み、相手のタックルを振り払ってゴール前へ突き進む。そのまま思い切りよく左足を振り抜くと、鮮やかにゴールネットを揺らしたのだった。「パスの選択肢もあるなかでシュートを打つことで、ゴールキーパーも迷うと思った。思い切って打ちました。最高の気分でした」と、22歳の若武者は声を弾ませた。


ブラジルW杯の主力も健在

ブラジルW杯を戦った主力も、引き続きチームの中核を成している。

ゴールキーパー川島永嗣(31歳・スタンダール・リエージュ/ベルギー)は、2試合連続でフル出場した。ベネズエラ戦では痛恨のキャッチミスで勝利を逃す一因を作ってしまったが、いくつかの決定的なシュートを防いでいる。

4人のDFで構成される最終ラインでは、左サイドバックの長友佑都(27歳・インテル・ミラノ/イタリア)とセンターバック吉田麻也(26歳・サウサンプトン/イングランド)が2試合連続でフル出場した。攻撃陣では本田圭佑(28歳・ACミラン/イタリア)が、ウルグアイ戦、ベネズエラ戦ともに最後までピッチに立った。長谷部誠(30歳・フランクフルト/ドイツ)がケガで離脱したことを受け、本田はキャプテンマークを巻いた。

■選手だけでなく基本布陣も変更
経験豊富な選手と新戦力を、アギーレ監督は4-3-3の布陣に当てはめた。4-2-3-1を基本布陣としたアルベルト・ザッケローニ前監督とは異なる戦術だ。

しかも、定位置とは違うポジションで起用された選手が少なくなかった。FC東京でセンターバックを定位置とする森重真人(27歳)は、アンカーと評される守備に軸足を置くミッドフィールダーでテストされた。トップ下と呼ばれるセンターフォワード後方で持ち味を発揮する本田は、3トップの右サイドを託された。ベネズエラ戦で先発した柿谷曜一朗(24歳・バーゼル/スイス)も、本職のセンターフォワードではなく左ウイングでプレーした。

ザッケローニ前監督当時から代表に招集されてきた選手のなかにも、新たなポジションでテストされた選手がいたのである。個人レベルでもチーム全体でもテスト的要素が色濃いだけに、結果を残すのは難しかっただろう。

■未来につながる「新しい血」
今回のメンバーには、代表発表当時にケガをしていた選手、コンディションが万全でなかった選手は招集を見送られている。ミッドフィールダー香川真司(25歳・ドルトムント/ドイツ)、右サイドバック内田篤人(26歳・シャルケ/ドイツ)、ミッドフィールダー清武弘嗣(24歳・ハノーファー/ドイツ)、フォワード原口元気(23歳・ヘルタ・ベルリン/ドイツ)らは、トップフォームを取り戻せばアギーレ監督から呼び寄せられるはずだ。ブラジルW杯に出場した青山敏弘(28歳・サンフレッチェ広島)や山口蛍(23歳・セレッソ大阪)らのミッドフィールダーも、引き続き日本代表の候補にあがってくる。

今回の2試合では、武藤や柴崎らがアピールに成功した。フレッシュな力の台頭は、チームを活性化する。「新しく代表に呼ばれた選手がいいプレーを見せ、しかも結果を残した。新しい血が注入されたことは、このチームの未来につながる」と、アギーレ監督は話す。

経験や実績にとらわれない代表生き残りのサバイバルが、いよいよ幕を開けた。
【編集部おすすめの購入サイト】
楽天市場でサッカー日本代表関連の商品を見るAmazon でサッカー日本代表関連の商品を見る
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます