ヴィヴィッドカラーを上品に操る
原色におじけてしまう人も珍しくありませんが、堂々と着こなせば、かえって大人の風格が備わって映ります。たとえば赤は深みのある色調を選べば、子どもっぽく見えません。上手に操るには、抜群の愛称を持つ黒と引き合わせるのが一番。グレースの赤ルックは帽子、サングラス、ネックレス、バッグをすべて黒で統一し、服の赤を際立たせています。襟の形やボタンの配置などにもクラシックなレディーの落ち着きがうかがえます。バッグに添えたスカーフの小粋なこと。ジジは「クリスチャン・ディオール」の赤いスーツの写真からインスパイアされて、赤い夏ドレスを仕立てました。現代のおしゃれスナップ写真ばかりではなく、昔のアーカイブ写真にも着こなしのヒントが眠っています。
近年の色のニュースと言えば、ブルーの復権が挙げられます。扱いが結構難しい色とされてきたブルーですが、ロイヤルブルーを軸に色の幅が増えて穏やかな装いに落とし込みやすくなってきました。同時にグリーン系も見直され、このゾーンの着こなしが楽しくなっています。グレースがまとった立ち襟のセットアップはリュクス感の高い色味で、透き通るような素肌美を引き立てています。クラウンが深い赤系の帽子をかぶせて、色を響き合わせています。豪華なイヤリングとブローチが上品さと格上感を増幅。シルエットが美しい帽子は、帽子・ヘッドピースのデザイナーであるパリのALEXANDRE BARTHET氏が特別にデザイン。彼の父はグレースの帽子を実際に担当していたそうです。
『グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札』では最初のうちはしきたりに戸惑いがちだったグレースが国家存亡の危機に直面して自分の役割や可能性に気づき始めます。彼女が意志の強さを見せ、行動力を発揮していく変化を、ニコールが見事に演じきっています。不思議にグレースの心境の変化が装いとも共振しているように見え、ファッションが内面を写し取り、意識や願望を無言のうちに表現する力をあらためて感じさせられます。品格や気高さは一朝一夕には身につかないものですが、この映画のグレースは「いつかこんな風になれたら」と素直に思わせてくれる憧れの未来像になりそうです。
『グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札』
http://grace-of-monaco.gaga.ne.jp/
10月18日(土)より、TOHOシネマズ有楽座ほか全国ロードショー
(C)2014 STONE ANGELS SAS
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