ハーレーの歴史を背負う“キングオブハーレー”とも言える存在
このロードキングを語るうえで欠かせない要素、それは“ハーレーダビッドソンというモーターサイクルが目指しているところ”という原点です。ご存知のとおりハーレーダビッドソンはアメリカが生んだモーターサイクルメーカーで、その国土は日本の約25倍とも言われる広さを誇ります。今でこそ、大型二輪免許が必要なモーターサイクルは趣味以外の何ものでもありませんが、アメリカをはじめとする諸外国にとって、大排気量のモーターサイクルにはその国(大陸)を走破するための能力が求められるものなのです。以前ご紹介した FLHTK TC ウルトラリミテッド はアメリカ大陸を走破するための究極のロングツアラーモデルで、このロードキングも同じツーリングファミリーというカテゴリーながら、スタイリングは“古き良き時代のハーレーダビッドソン”の姿をそのまま再現したもの。『ロードキング』というネーミングからも、本モデルにかけるカンパニーの想いが伝わってくるかのようです。
ロードキングが世に登場したのは1994年と、今からちょうど20年前。それまでもカンパニーは大陸横断バイクをいくつも手がけてきており、このロードキングはモーターサイクルとしての走行性能を高いレベルで保ちつつ、ハーレーダビッドソン本来のクラシカルなビジュアルを取り入れた新型モデルとして市場に投入されたのです。以降、ベストセラーモデルとして高い支持を得ています。
ハイパワーを得た「ロードキング」 それでもスタイルは変えず
“クラシカルなツーリングバイク”という点で見ると、類似モデルにソフテイルファミリーのFLSTC ヘリテイジソフテイルクラシックというモデルがあります。こちらもロードキング同様、ウインドスクリーンにサドルバッグを標準装備とするツーリングパッケージが魅力のモデルなのですが、大きな違いはヴィンテージスタイルを踏襲するソフテイルフレームではないこと(走行性能を意識したツアラーモデルであること)、そして排気量1689ccというパワフルなツインカム103エンジンを搭載していることです。年年パワーアップするツインカムエンジン。CVOモデルは一足先に1801ccという大排気量モデルへと進化していますが、スタンダードなラインナップモデルでこの排気量は相当なもの。改めて、アメリカという広大な国土を走破することが求められているがゆえ、ということに気づかされます。
前後16インチというハーレーの伝統的な足まわりにウインドスクリーンやサドルバッグ、体を包み込むような大きなシート、大容量のフューエルタンクといったツーリング仕様な装備であること、そしてパワフルなツインカム103エンジンが備わっているとなれば、どれだけ広大な世界でも十分走り抜けることは可能です。それも、かっ飛ばすような走り方ではなく、時速80kmぐらいの巡航速度で流す感覚で、風景を楽しみながら駆け抜けていくイメージが湧いてくるようなモデル、それがこのロードキングなのです。
そんな“道の王”の乗り心地はいかほどのものか。早速乗り出してみましょう。