au WALLETは財布の機能を補完するか
クレジットカードやマネーカード、サービスカードにポイントカードと、財布の中には様々なカードが溜まっていきます。それ自体、あまり嬉しいことではないのですが、それでも生活の中で必要なカードは増えていきます。それは財布の使い心地にも影響する、考えてみると深刻な問題なのですが、あまりきちんと考えてきませんでした。ただ、交通機関でのICカードの普及以降、カードに複数の機能を持たせるサービスが目立つようになりました。それらを上手く使うことで、カードそのものを財布的に利用できれば、それは「便利な財布」について考えることと同じ。そこまで行かなくても、財布の機能の一部分でもカードに預けられれば、ポケットの中の整理に役立つのではないかと考えました。
そういうことを考えている時に、auから、携帯電話契約者向けという制限はあるものの、「財布的なカード」をコンセプトにした、その名も「au WALLET」が登場して、丁度良いのでじっくり使ってみることにしました。これはどのくらい「財布」なのか。そして、「財布」として、どのくらい優秀なのか。といっても、既にここに書いているということは、かなり気に入ってしまったということですが、ともあれ、au WALLETの何が面白かったか、という話から。
財布の中身をau WALLETが整理してくれる
au WALLETは、一言で言えば、クレジットカードとしても使えるプリペイドカード、ということになります。そして、何であれ使えばポイントが付きます。そして、当然ですが、携帯電話の料金の支払いに利用できて、それにもポイントが付きます。付いたポイントは、プリペイドカードのチャージにも使えるし、携帯電話料金の支払いにも使えます。基本的な機能は、これだけですが、この「事前にチャージしている分しか使えないクレジットカード」というのが、使ってみると良い感じなのでした。例えば、日々のコンビニやスーパーでの買い物は、その都度少しづつなので、特に意識せずに使っていますが、これを全てau WALLETで支払うことにすることで、全体でいくらくらい使っているのかがハッキリします。これは、我ながら盲点だったのですが、ここの金額が、特に意識せずともハッキリすると、それだけで随分無駄遣いが減るんですね。しかも、支払いもコンビニだとサイン不要なので、とても速く、小銭も溜まらず、ついでに、au WALLETにも、各コンビニのカードにも両方ポイントが付きます。
何をみみっちい事を、と思われるかも知れませんが、このポイントの2重取り的なモノがあると、例えば、普段良く使うコンビニのカードだけは持っていて、他のコンビニはau WALLETのポイントでいいや、といった割り切りもしやすくなるのです(いや、これもみみっちい話ですが)。そうすることで、財布の中のポイントカードの類いをかなり整理することが出来ます。どうしてもポイントを溜めたいカード、au WALLETが使えない店のカード以外は、もうポイントはau WALLETに集約させてしまおうという計画。幸い、カードを忘れがちな紀伊國屋書店はau WALLETのポイントアップ指定店だったりして、ガイド納富は財布の中のポイントカードを、HMVカード、ビックカメラカード、イシバシ楽器カード、Tポイントカードの4枚に絞ることが出来ました。
これからのカードに重要なのはデザインとアプリ
意外に大事なことですが、カードのデザインが悪くないのも気に入りました。多分、これまでカードのデザインという部分に、それほどこだわった製品は無かったと思うのですが、今後、au WALLETやSUICAのような、普段の支払いに使う事が前提になったカードは、そのデザインも重要な機能の一つになるはずです。au WALLETが、そこをどのくらい意識したのかは分かりませんが、1色でまとめたデザインは悪くありません。落ち着いた色合いは財布と一緒に持っていても悪目立ちせず、大人が使うのに充分なデザインになっています。とにかく良くできているのは、スマートフォン用のアプリです。チャージや支払いに即座に対応するので、残金や今月いくら使ったかが面倒な操作無しですぐに確認できます。特に、一度認証すれば、後はアプリを起動するだけで、残金とポイントが表示されるのは、とても助かるのです。このあたり、プリペイドカードならではの機能ですね。カードを取り出さなくても、アプリの起動だけで現状が把握できるのは、とてもスマートだし、そこはかとなく未来を感じます。必要最小限をトップ画面にまとめたインターフェイスも秀逸。特に、チャージとポイント関連にメニューなどを開かずにワンボタンで飛べる仕様は、使う人の動線を分かって作ったインターフェイスだと思います。
この、アプリで残高を確認できるスムーズさで、au WALLETは、あらゆる財布を機能の面で越えたと言ってもいいかも知れません。現時点で、取り出して数秒で中に幾ら入っているのか、小銭の単位まで正確に把握できる財布は存在しないからです。ICカード系のように、カードで何かをタッチするという手間も要りません。単にアプリを起動するだけで、1円単位まで、現在の入金額が把握できるのです。さらに、このアプリ、au IDを使った他のサービスとも連携するので、例えば、「お、カラオケの鉄人の室料30%オフのクーポンがある」とか、「TOHOシネマズ、今なら1回映画見るだけで80ポイント付く」といった情報にとてもアクセスしやすくなっています。普段、小マメにお得情報を探さないガイド納富でも、これだけ楽に探せるなら、利用しようという気にもなります。映画なんて、お得じゃなくても行くんですから。このあたりは、完全にアプリのデザインの勝利です。